麗文探究帖

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【和文編】 明治から昭和の時期の文から

明治から昭和の文から その一

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一、「欷歔(ききょ)=すすり泣き」(白秋『邪宗門』)

・社交上の交わりを繰り返し、かりそめの面の奥に大の大人の鎧の内を反響させる、哀れな子供の欷歔の声が聞こえる。




二、「璆鏘の音(きゅうそうのおん)=玉や金属の美しい音、また詩文の美しい響き」(漱石『草枕』)


・高々と埃を纏い、再び見出す者を静かにこの修道院で待ち続けていた、古代の文人たちの写本には、今の窮屈でまた廃れた文体とは地を隔てた流麗な文章が綴られており、読めばたちまち狭い書庫は璆鏘の音で満ちるのであった。



三、「そそける=髪がほつれる。布、紙がけばたつ」(鷗外『うたかたの記』)

・海はさざなみに、その人の髪も汐を呑んだこの風にそそけ立ち、どちらも美しい光を真砂の浜に撒いていた。




四、「藻屑の匂い=海、磯の香り」(鏡花『海異記』)

・小舟を出だし、沖にあっては遠い、この藻屑の匂いは船出、旅の始まりの勇ましい匂いである。




五、「赫赫たる(かくかく)=赤々と照りつけること、武名などの名声のとどろくこと」(荷風『江戸芸術論』)

・夏の熱暑についぞ気付かぬが、秋も終いといった頃合いに時々空も深く澄み渡り、燦々と陽の注ぐ日には、赫赫と照りつける陽のありがたみを知る。夜には寒いこの頃の散歩を涼しく心地よいものにするのは、この恵みのゆえなのだ。
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