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血統鑑定士の災難【本編】
33 教皇の私室にて④
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ロアンはトゥマエレからの奉仕に身体をヒクンと小さく痙攣させ、小さく喘いだ。
全身が気怠く力が入らず、エドゥバルドへと凭れ掛かり大きく呼吸を繰り返しては、エドゥバルドからの「よく頑張ったな」と頭を撫でる手をただ茫然と受け入れていた。
その細やかな触れ合いも今のロアンには淫靡な毒となり、身体が震える。
大きく繰り返される呼吸が次第に整っていくが、まだロアンの視線は定まらずにいた。
今までにない快楽の波を一身に受け経験したことの無い大きな絶頂を迎えたのだからと、未だに呆然としているロアンの頬にエドゥバルドは軽くキスをした。
「ロアン、もう今日は休め」
「そうね。そして、私達から逃げようとするよりも、最適な方法を探してみて」
心の在り方一つで変わるわ。とトゥマエレは手早くロアンの身形を整えて、汗ばんだ額にキスを落とす。
2人の言葉にロアンは小さく「はい」と答えて、何とか立ち上がりふらふらと歩きだす。
「いや、待て待て待て!」
「リリちゃん、駄目よ!そのまま出たらっ」
「?」
歩き出し、1人で部屋を出ようとするロアンに2人は慌て出し、駆け寄り止めるが、ロアンは何故?と首を傾げて2人をぼうっと見るだけ。
エドゥバルドとトゥマエレの懸念など当人には解らないものだ。
「待て待て、待て、ロアン。私室まで送るから」
「そうよ。いくら近くだからって何が起きるか解らないんだからっ。1人で出歩いちゃ駄目っ」
今ロアンの身に纏う雰囲気は淫靡そのもの。
目尻はほんのりと染まり、潤む目元に、赤く染まった頬、唇は2人から執拗に可愛がられてぷっくりと腫れて色付いている。
腰が立たず、ふらふらと定まらない足元。
どうぞ美味しく頂いてください。と言っている様なロアンを一人歩かせてはなるものか、とエドゥバルドがロアンの顔を隠すように抱き込み腰を支え、トゥマエレは周りに神経を巡らせた。
即座にロアンを私室へと放り込み、自分達でも王太子殿下だろうとも、誰も部屋に入れるな、対応するな。と確りと念を押すように言い聞かせ、中から鍵が掛かった事を確認し、やっと2人は一安心したのだった。
時は戻り、教皇私室。
「ちょっと、エド。それ、どうするつもりよ」
テーブルに突っ伏したまま問いかけ指差してくるトゥマエレの指の先を辿り、エドゥバルドは自身の身体の変化に漸く気付き、短く驚きの声を上げた。
「やだ、リリちゃんのあられもない姿を思い出して、気付かないまま勃起?・・・思春期の少年じゃあるまいし・・・あなた、今何歳なのよ・・・」
ガバリと身を起こすと、トゥマエレは残念な目でエドゥバルドを見て、呆れたようにため息を吐いた。
「あれから抜いてこなかったの?・・・昔みたいに発散させてあげられないわよ?」
「馬鹿野郎。あんなもん、若気の至りだ。・・・絶対に二度と世話にはならん。・・・仕事していたら治まっていたしな。抜く必要が無いと思っていたんだが・・・」
ロアンに出会う前、まだこの国の情勢は落ち着いておらず、周辺諸国との小競り合いがあった頃、エドゥバルドは戦場の中で枢機卿に就任直前のトゥマエレと出会い、昂ぶった己を鎮めるために身体を重ねた頃もあった。
それを言われてエドゥバルドは苦虫を噛んだような表情を浮かべて、絶対にない。と言い切り、トゥマエレへシッシッと手を振った。
「なによぅ・・・。娼館も無理だからね?ま、こうして言わなくても既に解っていると思うけど」
「あぁ・・・、ロアン以外では役に立たんだろ。・・・トゥマだってそうだろう?」
「えぇ、もう無理ね。1度心を通わせて触れ合ってしまえば最後、もうリリちゃん以外は要らないの」
トゥマエレの言葉に、エドゥバルドは自分の中に確りと芽生え根付いた、ロアンだけを求める想いを認めて素直に同意した。
ロアンと出会い、今日の心を通わせる以前、己を律しロアンへの想いを封じていたエドゥバルドは、まるでロアンを振り切る様に恋人と呼べる相手を男女問わず作っていた頃があった。
それこそロアンが言う、心が通わない身体だけの関係を持った者も何人も居た。
近頃はどちらかと言うと後者の方ばかりだったが。
「『エドゥバルド様が解らないの・・・。私を愛していると言ってはくださるけれど、それを実感できない』」
「・・・なんだそりゃ」
「告解という、人生相談に来たとある女性の言葉よ。似たような相談を何人も受けた事があるわ。・・・でも、絶対に同時複数はないのよね。それだけは感心したわ」
「俺の対人事情、筒抜けじゃねえか・・・」
突然、誰かの真似をしだしたトゥマエレに訝しげにエドゥバルドが問えば、告解室に訪れ、涙ながらに吐露していった人々が居たと告げられてエドゥバルドは頭を抱えた。
「人は違えど、私が暇つぶしで告解室で待機している時に限って来るのよね。何度、告解って何だったかしら?って首を捻ったわ」
「・・・教皇が暇つぶしで告解室に入るなよ・・・だが、なんか・・・すまん。」
「いいじゃないの。意外と人気なのよ?間近に会える教皇」
「やめてやれ。司祭の胃に穴が開く前に」
トゥマエレとエドゥバルドはその頃、幾度となく噂が流れた事があったので、トゥマエレはそれを思い出し、「牽制でもしたかったのかしらね?」と顎に人差し指を置いて、んー?と呟いた。
エドゥバルドもその噂を知っている。全否定したが。
ロアンへの想いを何とか振り切ろうと足掻いた結果が、エドゥバルドへの想いに枕を濡らした者を何人も続出させて、地味にトゥマエレへと迷惑をかけていた様だった事にエドゥバルドは素直に謝罪した。
実際に、「貴方が解らないわ。私の事など一つも好きではなかったのよ」とか「教皇様が本命なら、私に勝ち目はないわね」とフられたこともあった。
その当時は前者にはきちんと恋人として接していたにも拘らず、心外だと憤り、後者には意味が解らん。と去っていく後ろ姿を見送った事もあったが、前者に対しては、エドゥバルドの心には本人の自覚なく、ロアンただ一人を住み着かせていたのだろうと今は納得している。
全身が気怠く力が入らず、エドゥバルドへと凭れ掛かり大きく呼吸を繰り返しては、エドゥバルドからの「よく頑張ったな」と頭を撫でる手をただ茫然と受け入れていた。
その細やかな触れ合いも今のロアンには淫靡な毒となり、身体が震える。
大きく繰り返される呼吸が次第に整っていくが、まだロアンの視線は定まらずにいた。
今までにない快楽の波を一身に受け経験したことの無い大きな絶頂を迎えたのだからと、未だに呆然としているロアンの頬にエドゥバルドは軽くキスをした。
「ロアン、もう今日は休め」
「そうね。そして、私達から逃げようとするよりも、最適な方法を探してみて」
心の在り方一つで変わるわ。とトゥマエレは手早くロアンの身形を整えて、汗ばんだ額にキスを落とす。
2人の言葉にロアンは小さく「はい」と答えて、何とか立ち上がりふらふらと歩きだす。
「いや、待て待て待て!」
「リリちゃん、駄目よ!そのまま出たらっ」
「?」
歩き出し、1人で部屋を出ようとするロアンに2人は慌て出し、駆け寄り止めるが、ロアンは何故?と首を傾げて2人をぼうっと見るだけ。
エドゥバルドとトゥマエレの懸念など当人には解らないものだ。
「待て待て、待て、ロアン。私室まで送るから」
「そうよ。いくら近くだからって何が起きるか解らないんだからっ。1人で出歩いちゃ駄目っ」
今ロアンの身に纏う雰囲気は淫靡そのもの。
目尻はほんのりと染まり、潤む目元に、赤く染まった頬、唇は2人から執拗に可愛がられてぷっくりと腫れて色付いている。
腰が立たず、ふらふらと定まらない足元。
どうぞ美味しく頂いてください。と言っている様なロアンを一人歩かせてはなるものか、とエドゥバルドがロアンの顔を隠すように抱き込み腰を支え、トゥマエレは周りに神経を巡らせた。
即座にロアンを私室へと放り込み、自分達でも王太子殿下だろうとも、誰も部屋に入れるな、対応するな。と確りと念を押すように言い聞かせ、中から鍵が掛かった事を確認し、やっと2人は一安心したのだった。
時は戻り、教皇私室。
「ちょっと、エド。それ、どうするつもりよ」
テーブルに突っ伏したまま問いかけ指差してくるトゥマエレの指の先を辿り、エドゥバルドは自身の身体の変化に漸く気付き、短く驚きの声を上げた。
「やだ、リリちゃんのあられもない姿を思い出して、気付かないまま勃起?・・・思春期の少年じゃあるまいし・・・あなた、今何歳なのよ・・・」
ガバリと身を起こすと、トゥマエレは残念な目でエドゥバルドを見て、呆れたようにため息を吐いた。
「あれから抜いてこなかったの?・・・昔みたいに発散させてあげられないわよ?」
「馬鹿野郎。あんなもん、若気の至りだ。・・・絶対に二度と世話にはならん。・・・仕事していたら治まっていたしな。抜く必要が無いと思っていたんだが・・・」
ロアンに出会う前、まだこの国の情勢は落ち着いておらず、周辺諸国との小競り合いがあった頃、エドゥバルドは戦場の中で枢機卿に就任直前のトゥマエレと出会い、昂ぶった己を鎮めるために身体を重ねた頃もあった。
それを言われてエドゥバルドは苦虫を噛んだような表情を浮かべて、絶対にない。と言い切り、トゥマエレへシッシッと手を振った。
「なによぅ・・・。娼館も無理だからね?ま、こうして言わなくても既に解っていると思うけど」
「あぁ・・・、ロアン以外では役に立たんだろ。・・・トゥマだってそうだろう?」
「えぇ、もう無理ね。1度心を通わせて触れ合ってしまえば最後、もうリリちゃん以外は要らないの」
トゥマエレの言葉に、エドゥバルドは自分の中に確りと芽生え根付いた、ロアンだけを求める想いを認めて素直に同意した。
ロアンと出会い、今日の心を通わせる以前、己を律しロアンへの想いを封じていたエドゥバルドは、まるでロアンを振り切る様に恋人と呼べる相手を男女問わず作っていた頃があった。
それこそロアンが言う、心が通わない身体だけの関係を持った者も何人も居た。
近頃はどちらかと言うと後者の方ばかりだったが。
「『エドゥバルド様が解らないの・・・。私を愛していると言ってはくださるけれど、それを実感できない』」
「・・・なんだそりゃ」
「告解という、人生相談に来たとある女性の言葉よ。似たような相談を何人も受けた事があるわ。・・・でも、絶対に同時複数はないのよね。それだけは感心したわ」
「俺の対人事情、筒抜けじゃねえか・・・」
突然、誰かの真似をしだしたトゥマエレに訝しげにエドゥバルドが問えば、告解室に訪れ、涙ながらに吐露していった人々が居たと告げられてエドゥバルドは頭を抱えた。
「人は違えど、私が暇つぶしで告解室で待機している時に限って来るのよね。何度、告解って何だったかしら?って首を捻ったわ」
「・・・教皇が暇つぶしで告解室に入るなよ・・・だが、なんか・・・すまん。」
「いいじゃないの。意外と人気なのよ?間近に会える教皇」
「やめてやれ。司祭の胃に穴が開く前に」
トゥマエレとエドゥバルドはその頃、幾度となく噂が流れた事があったので、トゥマエレはそれを思い出し、「牽制でもしたかったのかしらね?」と顎に人差し指を置いて、んー?と呟いた。
エドゥバルドもその噂を知っている。全否定したが。
ロアンへの想いを何とか振り切ろうと足掻いた結果が、エドゥバルドへの想いに枕を濡らした者を何人も続出させて、地味にトゥマエレへと迷惑をかけていた様だった事にエドゥバルドは素直に謝罪した。
実際に、「貴方が解らないわ。私の事など一つも好きではなかったのよ」とか「教皇様が本命なら、私に勝ち目はないわね」とフられたこともあった。
その当時は前者にはきちんと恋人として接していたにも拘らず、心外だと憤り、後者には意味が解らん。と去っていく後ろ姿を見送った事もあったが、前者に対しては、エドゥバルドの心には本人の自覚なく、ロアンただ一人を住み着かせていたのだろうと今は納得している。
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