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第二章
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しおりを挟む数日後、奈津がレインボウを訪れた。ハルを見つけてくれた礼と、それからハルのことを火葬したことを告げた。そして。
「私、ね高槻を出ようと思って」
「え……?」
「ここにはハルちゃんとの思い出が多すぎるから。ずっとハルちゃんのことを思い出して泣いちゃう。でもきっとハルちゃんはそんなこと望んでないって、そう思うから」
きっと奈津にもハルの思いが届いたのだろう。死んでもなお、ずっとそばにいたハルの奈津を想う気持ちが。だから香澄には「そうですか」としか言えなかった。
「ありがとね、香澄ちゃん。ハルを見つけてくれて」
「見つけたのは、私じゃなくてテンテンですから」
「ううん、それでも。香澄ちゃんがずっと探してくれたこと凄く嬉しかった。香澄ちゃんがハルちゃんを連れて帰ってきてくれたから、私はハルちゃんにお別れすることができた香澄ちゃんがハルちゃんのことを大事に大事にバスタオルに包んできてくれたことが本当に嬉しかった。だから、ありがとう」
涙を我慢することができず、微笑みを浮かべる奈津に香澄はただ首を振るだけだった。
最後の日にまたお別れを言いに来るね、そう言い残し奈津は帰って行った。
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