罪の風~忘却の言葉~

夏の地蔵

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私は正しい

私は公務員をしている

集合団地の管理について

歩き回っていた

共通スペースに置く人が多い

なので消防スペースがいざというときに使えないので

そういうお知らせの紙と

説明していたが

守らない人が多く

置いてあるものをわざと蹴った

聞こえるようにほら危ないじゃないと

だがそれが苦情につながった

しかも私の特徴を丁寧に

ボブかおかっぱの黒髪の黒縁メガネの金色の腕時計していましたと

それのせいで酷く怒られたのだ何もしない上司に


なんで私が怒られなきゃならないのよ

ファミレスの店員、コンビニの店員、ゲーセンの店員、配達員にも腹が立っていた

名前を聞いては書いて貰っていた

「ほら書きなさいよ!あんた達が悪いのよ」


私が正しいの!

そんな日々を過ごしていたら

黄色の絵の具を踏んづけた

何よコレ本当にクズ増えたわね

ーなまえかいてあげるねー

えっ?なに子供?

ふと足下をみると黄色の絵の具はなかった


数ヶ月後

何件かの金融機関から覚えのないお金について

連絡が来た

私の名前を書いた娘さんが母に頼まれたと

娘は小学校にいるイタズラか?

そして怪しんだ警察が話を聞きに来た

金融関係の人が通報したらしい

その時バックが落ちてしまい

私に酷い対応した店員の名前が書かれた紙がばら撒かれた

それを見た警察はもっと怪しみ署で話をしましょうかと説明

母も来てその紙は娘が店員にクレームをつけ名前を聞いて無理矢理書かせた物ですと

泣きながら謝っていた

母はなんて言うこというんだろう?悪いのは店員なのに

警察からは金融関係は関連がないのね

あと店員さんにムカついたから無理矢理名前書かせるのは

犯罪になるよ立派な強要罪だからね

店員さんに被害届け出されてないからいいけど

と言われ解放された


法律がおかしい

店員の件は娘だってもういいよって切れてたんだから

あー腹立つ

ーかいたよー

次の日私は逮捕された

死亡届に名前を書いたので

保険金目当てかと疑われ未遂罪になった

母は泣いて話してくれた

娘は安堵した顔で父親に引き取られていったと

娘のもういいよは

私に向けてだったのだ

ーよかったねー
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