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4章
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しおりを挟む「ん。それで、欲しい情報は昨日送られてきたリストで全部?」
(いきなりオラオラしてる!?)
『はい。追って増えるかもしれませんが、今のところ我が国が最優先で欲しい情報は、昨日のリストの通りでございます』
(我が国ー!!初めて生で聞いた!!)
「ん。金は用意できた?」
『はい。ご指定されました金額の五十二億円、総額用意できております』
「ブホ!?(ご、五十二億!?てか要求の仕方が身代金のそれ!)」
「鼻血鼻血」
「す、すびばせん。あまりの金額に毛細血管が弾け飛びました(ボソッ)」
目を充血させる有栖にティッシュを渡す。
「半分は前払い。データを渡し終わったらもう半分振り込んで」
『承知致しました』
ノエルが少しスマホを弄り、再度耳に付ける。
「確認した。今からデータを送る。確認出来たら連絡して」
『承知致しました』
ピっ。
一方的に切ったノエルが席に着く。
「向こうが見てる間に、すらいむにもノエル達の隠している動画を見せる。
殆どはノエルとまさでよくされる質問を予測して、新しく作った動画だけど、中にはショッキングなのもある。今の内に慣れて」
「あ、はい。グロいのは耐性あるから大丈夫ですけど……(ボソッ)」
――一時間後、
「うぁぁあああ人一人殺っちゃってんじゃないですかぁぁぁぁあっ!やっぱりこの人達ヤバかったよぉぉおっ」
新たな情報を頭に叩き込まれた有栖が、悲鳴を上げ床を転がり回っていた。
「勝手に死んだ。ノエルは何もやってない。(さっきもいっぱい死んだけど)」
「そうだそうだ、こいつの自業自得だ。(さっきもいっぱい死んだけどな)」
「それに何ですかあの象!?あんなの暴れたら終わりじゃないですか!!何とかしてくださいよ!!」
「無理」
「無理だな」
「……え?……まささんとノエルさんでも勝てない?」
「ちびりそうだったな」
「まさはちびってた」
「ちびってない。ノエルがちびってた」
「ちびってない」
「あああああっ!!日本オワタァァアアッ!!」
ちびったちびってない論争を繰り広げる二人に、床を転がる有栖。
その空間は正に、カオスと成り果てたのだった。
「はぁ……。日本の命運は置いといて、魔法以外の力があることには、素直に驚きました(ボソッ)」
「そうだな。俺はちびってないけどな」
「ん。ノエルもちびってないけど」
「ちょっと二人共黙って下さい(ボソッ)」
有栖が顎に手を当て考える。
「……このcellという能力、人によって千差万別なら、相手の記憶や脳内を盗み見ることが出来る人がいてもおかしくないですよね(ボソッ)」
「まあそうだな。こんな力が出てきちまったからには、不可能を断言するのはもう無理だろうな」
「……じゃあ、何の抵抗手段も持たない私に、こんな極秘情報を与えたの、ちょっとヤバくないですか?(ボソッ)」
「だな。顔バレしたら真っ先に狙われるな」
「そんなぁぁ」
震えながら涙目になる有栖。
「だから一切表には顔出さなくていいし、電話の際もボイチェンしていい。それに俺達のコンピューター責任者になったんだ。最低限の力は身に着けてもらう」
「で、でも、私魔法なんて使えないですよ(ボソッ)」
「さっきの動画の中で言ってたろ。魔法を使える程の出力が無くても、魔力を扱えない人間はいないんだよ。この特区では尚更な。
どんなに微弱な魔力でも、鍛えればそれなりに増えるし、纏えばナイフくらいは防いでくれる。一緒に強くなろうぜ!」
「ぉぉおお!」
有栖の目に光が宿る。が、
「でもどんなに頑張っても、勝てない奴には勝てない」
「おぉぉ?」
ノエルが優しい笑みを浮かべ、彼女の前に立つ。
「その時は、情報を奪われる前に、……」
(ゴクっ)
「……自害、ね」
「キュゥ――」
有栖は目の前が真っ暗になった。
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