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我が子として育てた子供から溺愛される魔女は惚れさせてみせろと課題を出した 4

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「ふぅ……。」
満足そうに息を付いた蘭夏は少し気だるげに起き上がると
「身体、拭いてくれない?」
「用意してますよ。失礼します。」
「用意してたの?ありがと。後でお風呂にも入らないと。髪の毛もあなたのでベタベタだし。」
結局盛り上がりすぎたのか。ろくに食事も休憩もせず、気付けば丸々1日次の日の深夜まで行為に及んでいた。止めたのもジャックが空腹でお腹が鳴ったからだったのだ。
空腹だから止めただけではない。それなりに満足したから止めただけだ。
「シャワー浴びてくるわ。先に食べてて良いから。」
「…………。ありがとうございます。」
あの雰囲気はまだ続いてるなと誰にも言わないで思った。ふと思い返すと。魔女や魔法使いに闇魔女は蘭夏以外誰もいない。
魔法使いとしてそれなりに色んな魔女たちと出会ったが。蘭夏以外の闇魔女がいる話も聞いたことは無かった。
「…………もしかして。」
シーツを替えて新しいのを敷く。闇魔女は彼女以外、蘭夏以外いないのでは無いのか。そう思った。シーツを交換すると食事を温め、蘭夏がシャワーから出るまで待って何時ものように一緒に食事したら自分もシャワーを浴びるとベッドに入った。食事していても、あの雰囲気を纏わせたままの彼女に聞いてみた。

「ふーん……。なるほどね。」
「言いたくないならムリには聞かないです。」
「別に?良いわ。満足させてくれたから答えるわね。話は長くなるけど良いかしら。」
はい。と言って頷くと蘭夏は遠い昔を思い出す目をした。そして
「あなたの予想通りよ、ジャック君。今はもう。闇魔女は私以外にはもういない。どのくらい昔かしら。少数だけれど闇魔女も、闇魔道士もいたのだけれど。」
「やっぱり。」
可笑しいと思っていた。どうしてこんなに魔女がいるのに、闇魔女がいないのか。彼女以外いなかったからという自分の推測は当たっていた。
「闇魔女はね、穢れた魂と過ぎたる欲を持つ人間の女が。眷族として闇魔道士に堕とされてなるのよ。」
「え……。つまり、先生は。」
「そう。ただの人間の女だったの。魔女に憧れてた、人間の女。けど。あの人からしたら眷族にするには丁度良い人間だったのよ。」
先生が言うには、先生がまだ人間だった頃。色々な街や村の若い良い男から綺麗だと持て囃されていたらしい。もちろん自分が住んでいた男からも。
最初こそはそんなこと無いと謙遜していたらしい。だが婚約者がいる、恋人がいる男も自分に夢中になり。自分は色んな男からしたら高嶺の花なのだと思うようになっていったらしい。
「高嶺の花と言われて、色んな男を寝取っては。色んな男と関係をもって、より男から見て魅力的な女になるために自分を磨いてもいたわ。まあ、おかげで色んな女たちからは恨まれていたけど。そんなの、負け犬たちが騒いでる程度に思ってたのよね。経験人数が何十人かしら。もう多すぎて数えるのも止めた頃に彼が。私を眷族に、自分の力を与えたのよ。穢れた魂、穢れた身体。過ぎたる欲を持つお前こそが魔女になるに相応しい。とね。それを聞いて、魔道士と名乗った彼に言われて喜んだわ。私はその為に色んな男と関係を持ったからね。」
「…………もしかして。最初から。」
「ええ。多分あなたが予想してる事と同じよ。言ったでしょ?魔女に憧れてたって。魔女になるには穢れた魂と身体と、何かしら過ぎた欲を持つ強欲な人間で無いといけないの。憧れてた魔女になれる。彼は私の眷族になるが、魔女になる気はないかと問いかけたの。だから私は彼に二つ返事で快諾したわよ。」
そこまで説明したらゴロリと寝返りをうつ。その目はどこか憂いがあった。
「けど、まさか彼が闇魔道士で。魔女は魔女でも闇魔女になるとは。思ってなかったわ。魔女になった時に人間としての私は死んで、最初から私はいない事にもなっていたのよ。魔女になってもちゃんと人間だった記憶はあったから生まれ育った村に帰ってみたら。みんな。私を見るなり逃げ出したのよ。男の精を命を根こそぎ吸い枯らして、奪い取る闇魔女が来たって。それからはあっという間だった。人間の間で新たな闇魔女が生まれたと拡まってね。もう私は何処にも居場所が無くなったわ。」
「…………。だから。」
ずっと可笑しいと思っていた。先生の住む城の敷地内には人気がずっと無かった事が。敷地内は広いのに何故誰も見なかったのか。
「他の魔法使いたちとしても、私という闇魔女は厄介なのよ。言ったでしょ?色んな魔法使いから言い寄られても、最後まで手を出されなかったって。そんなの当たり前よ。精を奪い取る方法は、私の胎内に出す。それだけだもの。けれど魔法使いも好奇心の塊のような種族だから。怖いもの見たさで闇魔女の私としてみたいなのよね。」
これには何も言えなかった。蘭夏はこれまでずっと孤独だった。そんな時に自分が現れたんだと。最後に気になっていた事を聞いた。
「そう、だったんですか。これで最後にします。あの感じてた雰囲気はどうすれば無くなりますか?」
「…………さぁ?」
分からないのよ、私でも。と言うとあの妖艶で淫靡な雰囲気を纏わせたらジャックに身体を密着してきて、スルリと腰を撫でる。
「思い返しても。魔女として100年以上生きてきて私をこんな風にさせたのはあなただけなのよ。昔生き残っていた闇魔道士や闇魔女も。一度こうなったら前の状態に戻る方法が無いって私に言ってたわ。だから闇魔女と闇魔道士は恐れられたの。もう生き残りは私だけよ。けれど、可笑しいのよね。」
あなただけの精しか欲しいとは思えないのよ。
それを聞いたジャックは耳を疑った。何故なら闇魔道士も闇魔女も眷族や使い魔として自分の好みの人間の男や女を自分の食事としての相手だけではなく、自分の欲を満たす為に、暇潰しとして楽しむためだけの相手を連れ去る。たった1人の相手だけで満足できるわけが無い。
「さてと。聞きたいことは無いの?」
「ええ、今のところもう無いです。」
「そう。また満足させてくれたら気になる事あったら教えるわ。私からも良いかしら。これまで自分を育ててきた優しいと思い込んでいた私がこんな女で幻滅してないの?」
そう聞かれてポカンとした。全く思った事無いからだ。これからも幻滅したりするだろうかとさえ思う。
「幻滅?…………。してないです。」
たとえ蘭夏の昔がそうだったとしても。自分を育ててきた先生は。間違いなく優しかったのは事実だから。自分だけでも側にいようと思い抱き締めると
「先生が昔どんな人であったとしても。捨てられていた幼い俺を、ここまで育ててきた先生は優しい方なのは事実ですから。敢えて言うなら先生にこんな一面があったんだなって思った程度ですよ。」
「…………。ふふ。」
本当に優しい子ねと胸にくっついてきた。まるで甘えてるようにも見えたジャックは軽く瞼にキスをする。
「何だか気分が良いわ。それに心地良いし。」
「なら、少し休みますか。」
「そうね。だけど、ただ寝るのは楽しくないから。最中でのお話でもしようかしら。」
人でいうところのピロートークをしながら夜明けまで話した。軽く身体に触れたりした二人は甘い空気に包まれていた。明るくなってきてそろそろ起きる頃
「中々楽しめたわ。今後も期待してるわね。課題の事、忘れないでね?」
「ありがとうございます。満足させられるように向上しますね。」
今後も期待してると言われたら期待に応えないと。
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