上 下
11 / 18

最愛の夫だった義理の兄に再び溺愛される 10

しおりを挟む
羅漢と過ごした時間は、本当に夢みたいで幸せな時間だった。あっという間に羅漢と泊まった2日は過ぎて日常に戻る。また行こうなって、言ってくれた。それだけで頑張れる気がする。
「…………。ううーん……。決まらないなあ。」
とはいえ、結構深刻な問題がある。進路の事だ。決まってないのはオレくらい。まあ、他にもいるけど。
4月も決まってないから白紙で出したんだ。もちろん、白紙で出した理由も先生に言った。行きたい学校もやりたい仕事も無かった。
どうしても大学は出ないといけないものかなあ。先生からパンフレット貰ったけど今一つ行きたい大学だとか学校が無い。もう悩みまくってあっという間に2回目の進路調査票を提出しないといけない時期になった。もう行き詰まって進路調査票を提出した光晴に相談したら
「行きたい学校とか会社とか無いヤツは結構いたりするよ。アインは夢無いの?」
「ある、けど。羅漢の夢潰したくないから、良いんだよ。」
羅漢はオレと違ってしっかりした夢があった。羅漢はどうして大学に行かないで就職したのか聞いたら。
将来やりたい事があるって。仕事してるのは資金を貯める為にしてるって。
オレは夢はあるのはあるけど。その夢は羅漢と田舎に住んで、農業する事だから。羅漢は今の仕事も辞めなきゃいけない、羅漢の夢だって邪魔しちゃうから諦めないといけない。そう思ってたのに。
「それ、アイツに言ったの?」
「ううん……。」
「言ってもいないのに諦めるなよ。話すだけ話してみろよ。やらないで後悔するよりさ。やって後悔する方が良いって。」
「…………光晴。ありがと。」
言うだけ言ってみよう。そう思って羅漢に話してみた。羅漢は
「何か隠してるなって思ってたらそういう事か。確かにオレは夢あるって言ったけど。アインの夢を犠牲にしてまで叶えたいと思わない。今のオレの夢はアインと幸せに過ごしたい。アインが田舎で暮らしたいなら仕事だって辞める。」
「だけど……!オレ……。」
羅漢はそう言ってるけど、オレはその優しい言葉に甘えていいの?良いわけが無いって思ってたら羅漢は何か考えたら
「……。なら。家庭菜園するか?」
羅漢が言うにはこうだった。今の仕事を続けながらオレは羅漢と暮らして家の事しながら家庭菜園する。
「そうしたらアインも農業とまではいかないけど野菜作れるし、オレも生活を変えないといけないって事も無くなるだろ?両方叶えたって良いじゃないか。オレはトレーナーになれる。アインは野菜作れる。どっちか我慢しないといけないなんて考えなくていい。」
「………………。うん…………。」
羅漢に話してみて良かった。羅漢には夢があるから。だからオレは邪魔しないように我慢しないといけないって、自分の夢は諦めないといけないって思ってたから。
それで考えた進路は農業大学にしようと思った。父さんがどうしても大学の卒業資格はあった方が良いって言ってたから。

それでオレと羅漢と父さん母さん揃っての家族会議することに。オレたちの言い分に父さんは
「なるほどな。」
「正也さんとしてはどうかしら。家庭菜園すると言っててもちゃんと大学も進学するって言ってるし。」
「もちろん大学出たら仕事を何もしないとか考えてないよ。ちゃんとパートもするし。」
羅漢としては専業主夫として家にいてほしいと思ってる事とか話すと父さんと母さんは。
「お前たちの人生なんだ。自由にしなさい。」
「そうよ。私たちの再婚も私たちの人生だからって許してくれたしね。」
「「ありがと。」」
それで今度は作物の栽培に向いてる大学を探して見学した。ただ都内にはあったけど全寮制だった。他県にもあったけどやっぱりどこも全寮制。
「ううーん、全寮制かぁ……。」
基本入学してからの在学中は寮で暮らす決まりみたい。理由は休みの日でも交代で野菜の管理をしないといけないから。問題はお金ではなくて平日は羅漢と会えない。
「……………………。」
大学生になったら羅漢と暮らせると思ってたから。ちょっと残念。まあそれも2年間だけど。大学の事を話してみたら羅漢は
「そうか。オレもちょっと残念だな。アインが進学したら暮らせるって思ってたし。」
「羅漢……。オレ、嬉しいな。」
羅漢も高校卒業したら暮らせると思ってたのに。平日だけど一緒に暮らせないのが残念って思っててくれて嬉しかった。オレと同じこと考えてくれてたって。
「オレと同じこと考えてくれてたって、嬉しくて。オレ、休みになったら羅漢の部屋に泊まりにくるから!」
「ああ。待ってる。ビデオ通話もしような。」
「うん!そしたら寂しくないよね。」
そうだよ、今はスマホさえあればビデオ通話できるもん。そう半ば無理やり納得した。

そうと決まったら進路調査票を書いて提出したら受け入れられた。進路先は都内の農業大学の野菜専攻。
それからは受験に本腰入れた毎日。先生はオレの成績なら問題ないって言ってたけど。
ちゃんと勉強はしておいた。オレが受験する野菜専攻は理系に詳しくないといけないから。オレ、理系苦手なんだよな。羅漢は理系得意だったみたいで仕事で忙しいのに教えてくれた。野菜の三大栄養の窒素リン酸カリウムの影響も頭に叩き込んだし。アルバイトを辞めて勉強の毎日。食事とかは母さんと父さんが用意してくれた。受験の時くらい甘えなさいって。
あっという間に一般入試の時期になって受験した。合格できるようにお参りだってしてきたし。
受験が終わって、合格発表の日。オレは。
「……………………。あった……。」
やったーーー!!とメチャクチャ喜んだ。早速写メを羅漢と父さんと母さんに送ったら最初に返信してくれたのは羅漢だった。
《おめでとう。アインが頑張ったから合格できたんだ。》
そう書いてくれた。次は父さんで。たった一行だけど。
《おめでとう。よく頑張った。》
父さんらしい返信だった。母さんからは。
《本当におめでとう。これから頑張るのよ。》
合格発表が終えてすぐ卒業式になってオレたちは晴れて大学生になったり就職したりした。光晴は
「頑張れよ。どこに行っても俺はアインの親友だし味方だからな。」
「うん。今までありがと。」
小学生の時から一緒だった光晴は都内の有名大学に進学した。将来海外留学もするって。これからはバラバラの、別の道を歩いていくけど。オレたちが親友なのは変わらない。
春休みになって早速寮に荷物を運んだり、作業着とかを用意することになった。
寮にはちゃんとベッドがあって勉強に集中出来るように個室になってる。だからオレはこの大学を選んだ。他の農業大学の寮は二人一組だとかの部屋だから。
まあ、これに慣れたけど。新入生にオレが入ってきて
「え!?女の子!?」
「やば、俺好み。」
農業大学って全体的に男多いみたいだから数少ない女が入学してきて喜んでるけど。
「悪いけどオレ男だから。」
驚かれたけどそれでも構わないって言ってきたら。
「オレの彼氏さ。ボクシングしてて結構強いよ?オレに手を出されたって知ったら男だったらヤバイからね。」
おかげでオレに手を出すヤツはいなかった。
寮生活は楽しかった。すぐ他の専攻でも友達もできたし。一緒に食堂でご飯食べたり風呂も入ったりした。もちろん羅漢とのメールとかビデオ通話も欠かしてない。だけど
5日もしないのはキツかった。オレは個室なのを良いことに毎晩アナニーした。高校の卒業式の後、羅漢の部屋での事を思い出しながら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

平凡腐男子なのに美形幼馴染に告白された

うた
BL
平凡受けが地雷な平凡腐男子が美形幼馴染に告白され、地雷と解釈違いに苦悩する話。 ※作中で平凡受けが地雷だと散々書いていますが、作者本人は美形×平凡をこよなく愛しています。ご安心ください。 ※pixivにも投稿しています

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

手作りが食べられない男の子の話

こじらせた処女
BL
昔料理に媚薬を仕込まれ犯された経験から、コンビニ弁当などの封のしてあるご飯しか食べられなくなった高校生の話

君が好き過ぎてレイプした

眠りん
BL
 ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。  放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。  これはチャンスです。  目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。  どうせ恋人同士になんてなれません。  この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。  それで君への恋心は忘れます。  でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?  不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。 「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」  ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。  その時、湊也君が衝撃発言をしました。 「柚月の事……本当はずっと好きだったから」  なんと告白されたのです。  ぼくと湊也君は両思いだったのです。  このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。 ※誤字脱字があったらすみません

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

処理中です...