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学園編
110.リラ視点
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メルとオーガストの会話に参加できず、ただ聞いているだけだった。
メルが部屋に出て、私は慌てた。
「ちょっと、メル様とお話しています!」
「リラ!?」
オーガストが私を止めようとするが、彼を無視して、部屋を出たメルを追いかける。
グリフが現れたとき、私はこれはストーリーなんだから、倒せるんだって思っていた。
けれど魔法が効かず、魔物に見下された時、初めてこれはゲームの中では無いことをようやく気づいて心の底から恐怖した。
腰が抜けていなかったら、きっと皆を見捨てて逃げていただろう。
私だって努力した。愛されるために、誰かを救えるように。でも、この世界は最後にはゲームのストーリー通りに動くんだってそう思ってた。最後には、ハッピーエンドになるんだって。
それが甘い考えだったと分かってしまった。だから、私はちゃんと考えた。この世界の事。私の事。メルの事。オーガストの事。ウェインの事。
考えて、考えて、そして出した答えは一つだった。
「メル様!」
廊下を歩いていたメルを呼び止める。足を止めてくれたけど、振り返りはしないメルに私は宣言する。
「私!もっと頑張ります!貴女に認めて貰えるように!それで、絶対オーガスト様のお嫁さんになってみせます!だから!」
攻略とかそういうのを抜きにして、私はオーガストと結婚したい。傍にいたい。支えて上げたい。私が出した答えはそれだった。
自分を捨てて逃げることも考えたけど、オーガストの手は離せないと思った。
だって、私、彼に恋したのは本当だから。
彼が熱で倒れていた時に初めて会い、それから会う度に愛おしいと思う感情が積もっていった。それをゲームだから、好感度だからと逃げて、自分の感情から目を背けていた。でも、もうちゃんと私である為に、私はリラだということに逃げない。
「だから、正々堂々と持てるもの全てを使ってオーガストの婚約者の立場になってみせます。それでもっと強くなって、彼に訪れる危険から守って幸せにしてみせます」
私は、そう宣戦布告した。
すると、メルは振り返り、私に一枚の招待状を差し出した。
「アナタをお茶会に招待しますわ。どうぞ、お越しください」
メルの表情はいつもと変わらない。敵意の一つも感じられない。
彼女を見てると、心が乱される。まるで道端の石を見ているような瞳だった。その目に見つめられると、自分が本当にそうなってしまうかのようだ。
「……はい」
震える手で招待状を受け取った。招待状からふわりと花の香りが漂う。
「詳細は後ほど、ご連絡致しますわ」
そのお茶会で、私はゲームでは知りようがなかった話を聞かされたのだった。
メルが部屋に出て、私は慌てた。
「ちょっと、メル様とお話しています!」
「リラ!?」
オーガストが私を止めようとするが、彼を無視して、部屋を出たメルを追いかける。
グリフが現れたとき、私はこれはストーリーなんだから、倒せるんだって思っていた。
けれど魔法が効かず、魔物に見下された時、初めてこれはゲームの中では無いことをようやく気づいて心の底から恐怖した。
腰が抜けていなかったら、きっと皆を見捨てて逃げていただろう。
私だって努力した。愛されるために、誰かを救えるように。でも、この世界は最後にはゲームのストーリー通りに動くんだってそう思ってた。最後には、ハッピーエンドになるんだって。
それが甘い考えだったと分かってしまった。だから、私はちゃんと考えた。この世界の事。私の事。メルの事。オーガストの事。ウェインの事。
考えて、考えて、そして出した答えは一つだった。
「メル様!」
廊下を歩いていたメルを呼び止める。足を止めてくれたけど、振り返りはしないメルに私は宣言する。
「私!もっと頑張ります!貴女に認めて貰えるように!それで、絶対オーガスト様のお嫁さんになってみせます!だから!」
攻略とかそういうのを抜きにして、私はオーガストと結婚したい。傍にいたい。支えて上げたい。私が出した答えはそれだった。
自分を捨てて逃げることも考えたけど、オーガストの手は離せないと思った。
だって、私、彼に恋したのは本当だから。
彼が熱で倒れていた時に初めて会い、それから会う度に愛おしいと思う感情が積もっていった。それをゲームだから、好感度だからと逃げて、自分の感情から目を背けていた。でも、もうちゃんと私である為に、私はリラだということに逃げない。
「だから、正々堂々と持てるもの全てを使ってオーガストの婚約者の立場になってみせます。それでもっと強くなって、彼に訪れる危険から守って幸せにしてみせます」
私は、そう宣戦布告した。
すると、メルは振り返り、私に一枚の招待状を差し出した。
「アナタをお茶会に招待しますわ。どうぞ、お越しください」
メルの表情はいつもと変わらない。敵意の一つも感じられない。
彼女を見てると、心が乱される。まるで道端の石を見ているような瞳だった。その目に見つめられると、自分が本当にそうなってしまうかのようだ。
「……はい」
震える手で招待状を受け取った。招待状からふわりと花の香りが漂う。
「詳細は後ほど、ご連絡致しますわ」
そのお茶会で、私はゲームでは知りようがなかった話を聞かされたのだった。
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