105 / 114
学園編
102.手紙
しおりを挟む
執務室でルダン様の膝の上に乗せられて、前にはルダン様の机がある。その机の上に、何も書かれていない手紙が置かれていた。
おばあ様は、ディゾル家の屋敷から離れた所の湖が近くにある涼しい場所に住んでいるらしい。卒業したら、ルダン様といらっしゃいと言われ、まだ行ったことが無い。
湖には綺麗な魚が泳いでいて、釣りが出来て、しかも美味しいらしい。刺し身でも食べられるから1度は食べてみたい。でも、醤油なんて見たこと無いからどうやって食べるんだろう?
はっ違う!手紙の事を考えなきゃ!
横道に逸れた思考を戻し、俺が何を書こうか悩んでいる最中に、ルダン様は、俺の腹の前で交差する腕をゆっくりと締めながら、首に唇を寄せる。
チュッチュッと、首にちゅうをするからくすぐったくて仕方がない。髪は結んであるので、首が見えてしまっているせいでいたずらをしたくなったんだろう。こういう所はやっぱり親子なんだなぁと思う。
「ダメです!止めて下さい!」
注意するとルダン様は、
「今まで離れていたんだ。少しくらい良いじゃないか」
と文句を言う。少し胸がキュンとしたが、ここは心に鬼にする。
「でもダメです!集中出来ないです!」
「そうか」
ルダン様は了承してくれたと思いきや、まだ止めてくれなかった。
「ルダン様!」
「仕方が無いな」
再三注意してようやく止めてくれた。俺は集中出来るようになった。
ルダン様のアドバイスを貰いながら、書いていく。
「ここはこう書いたほうが良い」
ルダン様は白い紙に文を書いて、俺はそれを手本にする。
「こうですか?」
「あぁ、そうだ。上手いぞ」
頭を撫でて褒めてくれる。でも、字の上手さは真似られるもんじゃない。何度も練習すれば、ルダン様のように字が綺麗になるのかな?
「ちゃんと読めますか?」
不安になって、ルダン様に尋ねる。ルダン様は「ん~」と、声を出しながら呼んでいく。俺はドキドキしながら待った。
招待状という名の手紙には、学校であった事についてとおばあ様への御礼の言葉と、それからその感謝にこちらに来て欲しいと書いた。
簡単な内容だけど、文字を書くのって結構大変な事だ。字が汚くて読めないのもそうだが、他にも俺の場合は、文にバド語が混ざってしまい、誰かに注意してもらわないと気付けないから、最後は彼に確認してもらっている。
ルダン様に手紙を出す分には問題無いけど、おばあ様には出せないからね。
「大丈夫だ。読める」
「ありがとうございます」
ルダン様に合格を貰い、俺は自信が持って封筒の中に入れた。
おばあ様は、ディゾル家の屋敷から離れた所の湖が近くにある涼しい場所に住んでいるらしい。卒業したら、ルダン様といらっしゃいと言われ、まだ行ったことが無い。
湖には綺麗な魚が泳いでいて、釣りが出来て、しかも美味しいらしい。刺し身でも食べられるから1度は食べてみたい。でも、醤油なんて見たこと無いからどうやって食べるんだろう?
はっ違う!手紙の事を考えなきゃ!
横道に逸れた思考を戻し、俺が何を書こうか悩んでいる最中に、ルダン様は、俺の腹の前で交差する腕をゆっくりと締めながら、首に唇を寄せる。
チュッチュッと、首にちゅうをするからくすぐったくて仕方がない。髪は結んであるので、首が見えてしまっているせいでいたずらをしたくなったんだろう。こういう所はやっぱり親子なんだなぁと思う。
「ダメです!止めて下さい!」
注意するとルダン様は、
「今まで離れていたんだ。少しくらい良いじゃないか」
と文句を言う。少し胸がキュンとしたが、ここは心に鬼にする。
「でもダメです!集中出来ないです!」
「そうか」
ルダン様は了承してくれたと思いきや、まだ止めてくれなかった。
「ルダン様!」
「仕方が無いな」
再三注意してようやく止めてくれた。俺は集中出来るようになった。
ルダン様のアドバイスを貰いながら、書いていく。
「ここはこう書いたほうが良い」
ルダン様は白い紙に文を書いて、俺はそれを手本にする。
「こうですか?」
「あぁ、そうだ。上手いぞ」
頭を撫でて褒めてくれる。でも、字の上手さは真似られるもんじゃない。何度も練習すれば、ルダン様のように字が綺麗になるのかな?
「ちゃんと読めますか?」
不安になって、ルダン様に尋ねる。ルダン様は「ん~」と、声を出しながら呼んでいく。俺はドキドキしながら待った。
招待状という名の手紙には、学校であった事についてとおばあ様への御礼の言葉と、それからその感謝にこちらに来て欲しいと書いた。
簡単な内容だけど、文字を書くのって結構大変な事だ。字が汚くて読めないのもそうだが、他にも俺の場合は、文にバド語が混ざってしまい、誰かに注意してもらわないと気付けないから、最後は彼に確認してもらっている。
ルダン様に手紙を出す分には問題無いけど、おばあ様には出せないからね。
「大丈夫だ。読める」
「ありがとうございます」
ルダン様に合格を貰い、俺は自信が持って封筒の中に入れた。
12
お気に入りに追加
342
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる