雪も積もれば冬となる~悪役公爵家に愛されちゃった!?~

コータ

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学園編

94.合同授業3

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 オーガスト様の指示通りに列になって、森の中を歩く。奥に入っていくと、徐々に太陽の光が届かなくなり、リラさんの魔法で辺りを照らしてくれてもらわないと進めないような状況だった。

「右から一角兎が来ます」

 ヘザンさんの声で皆は右側に注意を向ける。
 ガサガサと茂みからウサギが飛び出してきた。ウサギの頭には一本の角が生えている。赤くまんまるなお目々は宝石かのようだ。
 俺は思わず、「可愛い」と呟いてしまう。そのせいでじろりとオーガスト様に睨まれてしまい、失言だったと口を塞ぐ。

「気を抜くなよ!ウサギと言っても、魔物には変わりないからな!」
「「「「はい!」」」」

 一角兎がぴょんと前に飛んで、オーガスト様は後ろに下がる。着地した瞬間を狙って、オーガスト様は剣を振り下ろした。動けなくなった所をすぐにエリルさんが魔法で火を放つ。

「ピギャッ」

 ウサギの小さな断末魔が聞こえ、肉の焼けた匂いが辺りに広がった。
 あっという間に、最初の戦闘が終わった。

「スゴイですわ!オーガスト様!」

 リラさんにパチパチと拍手されて、オーガスト様は満更でも無さそうに「大した事はない」と照れていた。
 その隣で死んだウサギを解体するヘザンさん。

「ここから捌くと、魔石が取りやすく、皮を傷めなくて良いんです。今回は燃えてしまったので、皮はお金にはなりませんが、角が良い状態なので、売れると思います」

 それをエリルさんとラドさんが「へぇ」と興味深そうにしていた。

「確かにこの角であれば、加工品として高く売れそうですね」
「例えば?」
「職人にもよりますが、ペンダント、置物とかですかね」
「へぇ」

 俺は彼らの会話に混ざること無く、見てしまった初めての魔物討伐に気分が悪くなっていた。自分で胸を押さえて「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせる。

「丁度いい焼き加減なので、皆で食べてみませんか?」
「そりゃあ良い!」
「魔物の肉は上手いと聞くからな」
「本当ですか?頂きますわ!」
「魔物の肉は腐りやすいですから、食べられるのは、こういう機会の時しか無いですからね」

 取り分けた肉を皆でもぐもぐと食べ始める。俺にも分けてくれたが、首を振って断った。
 俺が断って少し空気が悪くなる。本当なら食べて、交流したほうが良いと分かってはいるけど、もし食べてしまったら、多分、吐いてしまうから無理だ。

 メル様やルダン様に助けて欲しいけど、そこはぐっと我慢する。いつまでも頼っていちゃダメだ!頑張れ!俺!

 食べ終わり、魔石やその他の戦利品をリラさんの空間収納の魔法の中に入れてまた歩き始めた。
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