雪も積もれば冬となる～悪役公爵家に愛されちゃった！？～

学園編

85.”シュウセツの我儘”

　それから、ドランさんは併設されている従魔用品が揃っているお店に案内してくれた。やっぱり、お店の中も大きくて広かった。

「ここから、私はお暇させて頂きますわ。もし　何かあれば、店にいる従業員に気軽に話しかけて下さいませ」
「あぁ、分かった」
「それでは、失礼しますわ」

　そう言って、ドランさんは去っていった。きっと組合長だからいろいろとお仕事が大変なんだろうなと思う。だから心の中で、頑張ってください！と応援した。
　お店の中には、お客さんはいないけど、一定の感覚で店員さんがいた。皆同じ服を着ていたから、それが制服何だろうな。

「好きに見ても良いぞ。気になったものがあれば言ってくれ」

　俺はルダン様に背中を押されて、シュウセツと共にお店の中を見て回ることにした。
　首輪以外にも鎖、檻、従魔用の武器、種族別のご飯、おやつがあった。珍しいものが多くて目移りしてしまう。

「ナ～ゴ」

　シュウセツはあるおやつの前で、何度も鳴いている。

「何か欲しいものでもあった？」
「ナ～ゴ」

　そこにあったのは、黄色い猫じゃらしのような草だった。

「これ？」
「にゃ～ご」

　手に取って、ふりふりと振るとそれに合わせて、シュウセツが床に寝っ転がり、腹を見せた。流石にこれはだらしない。誰も見ていないと分かっていても、これはマナー違反だから怒らなきゃ。

「シュウセツ！起きて！」

　シュウセツはぐっと遠ざけると身体をくねらせて、不満の声を上げた。

「ンナゥ～」
「起きて！」
「ニャオォ」

　悪い事したからといって、俺が手を上げようとは思うことは無い。
　代わりに起きないシュウセツの顔にぐっと近づいて、「メッ！」と怒るとシュウセツは悲しそうな顔をして渋々起き上がった。言う事を聞いてくれたから、頭を良い子良い子と撫でてあげる。
　全部、ルダン様やメル様がしてくれた事を真似ているだけだけど、これで良いと思っている。

「ルダン様に買っていいか聞いてみるから、ね？」
「にゃん！」

　俺の言葉に分かりやすく元気を取り戻す。瞳がキラキラしてるけど、そんなにこれが気に入ったのかな？何でもないような猫じゃらしっぽいのに。

「あと首輪も見ようね」

　俺は猫じゃらしもどきを持ったまま首輪が並んである方に向かう。
　首輪にも沢山種類があり、１つ１つシュウセツに当てながら吟味する。色は、やっぱり赤がいいかな。あと、ゴテゴテしてないもの。
　首輪の中には、宝石がいっぱい着いているのもあるが、流石にそれは趣味が悪いと思った。