雪も積もれば冬となる~悪役公爵家に愛されちゃった!?~

コータ

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学園編

82.”初デート”

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 初デートは、それはメル様が学校から長期休暇で帰ってきて数日経った日だった。何故そんなにも遅れたのかと言うと、俺は体調が崩れ、ルダン様は仕事が立て込んでしまい、出かける日が無かったからだ。なんというか、ツキがない。
 メル様もその事に関して、何とも言えない顔をしていた。でも、メル様が帰ってきてくれたおかげでおめかしを手伝ってもらうことが出来た。

 紅貝で化粧をして、髪も整えて、服はルダン様が新調してくれたものを着る。服は白色で、グレイさんの執事服に似ているような違うような?そこに赤いレースのマントを羽織る。レースには赤い花の刺繍がしてあり、ディゾル家の紋章だと言う。
 アクセサリーは、ルダン様とお揃いのイヤリングと指輪、それに前髪にヘアクリップを着けた。

「どうデスカ?」
「かわい!凄く可愛いわ!これなら、お父様もメロメロよ!」

 メル様に太鼓判を押されて、俺は顔を赤らめた。本当にメロメロになってくれるだろうか?そうだったら嬉しいなぁ。

 支度が出来た俺は、ルダン様が待つ玄関に向かう。
 ルダン様は、あのパーティと同じ服だった。カッコいいけども、あれ?と不思議に思う。だって、俺の服はよく新調するから、ルダン様はおしゃれで服にお金をかける人だと思っていたのに。
 メル様から「あれがお父様の一張羅なのよ」と耳打ちされ、さらに謎は深まった。

「ウェイン、行こうか」
「ハイ!」

 ルダン様にスッと手を差し伸べられ、俺はそんな疑問をポイッと捨てて、その手を取る。そのまま外に出て、馬車に向かう。

「ウェイン、行ってらっしゃい。」
「いってキマス!」

 振り向けば、メル様が手を振ってくれた。俺は手を振り返し、馬車に乗る。ルダン様がサポートしてくれるおかげですんなりと馬車の段差で躓く事無く乗れた。
 シュウセツは先に片方の椅子を占領して、ふてぶてしく丸くなっていた。俺が近くに来ても静かで、どうやらグースカと寝ているようだった。

 馬車に乗るのは久しぶりだった。ガタゴトと揺れ始める。ワクワクしながら、馬車の窓から外を見る。景色はゆっくりと変わっていく。
 落ち着きない俺の手を、隣に座っていたルダン様はその大きな手で覆い、ゆっくり開かせて絡めるように繋いだ。

「楽しみだな」
「……ハイ」

 ワクワクした気持ちが一変して、ドキドキと心臓が高鳴り、早く着いて欲しい気持ちとまだ着いて欲しくない気持ち、その両方で胸がいっぱいになった。会話は無く、静かだったけどその静けさが心地よかった。
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