雪も積もれば冬となる~悪役公爵家に愛されちゃった!?~

コータ

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学園編

79.リラさんとの対話!

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 ディアスさんの言う通り、ルダン様からの返事の手紙は次の日に返ってきた。

 手紙には、リラが転生者である可能性が高いとのことと、もし危険なことがあればメル様の傍を離れないようにと、それから接触はなるべく控えるようにと書かれていたはずなのに。どうしてこうなった。

 俺の目の前には、メル様とリラさんが。
 メル様は俺を後ろに隠して、俺はメル様の背中越しにリラさんを睨みつける。
 もしメル様に何かしたら俺がただじゃおかないぞ!

 リラさんはメル様を誰もいないところに、呼び出した。勿論、俺がメル様を一人きりにするわけ無いから、着いてきたわけだ。
 呼び出された場所は学園の中庭のガゼボ。ここはゲームの中では、攻略対象と二人きりになれる場所だった。

「貴女も転生者なの?だから、色々対策してたんでしょ?」

 メル様はその事に関して何も言わなかった。そもそも、転生者は俺だし、その事について俺はメル様に何も教えていなかったし。
 何も言わなかったメル様を肯定したと勘違いし、リラさんは話を進めていく。

「このウェインって、魔王のウェインでしょ?」

 慌てて俺がリラさんに声をかけようとすると、メル様に口を押さえられて、俺が何も言わないようにと、目で圧をかけてくる。
 リラさんは俺をつま先から頭の天辺まで品定めするように見て、「ふぅん」と興味なさそうに声を漏らした。

「貴女、ウェイン狙い?それなら、良かったわ。私、オーガスト狙いなの。協力して欲しいとは言わないけど、良いかしら?」
「良いとはどういう意味ですか。婚約者を奪っても良いという事ですか?それは私達が決めることではありません」

 メル様は俺が聞いたことの無い冷たい声で話す。

「えっ、ちょっとマジで言ってんの?良いじゃない。ウェインもいることだしさぁ。もしかして、ゲームで出来なかったハーレムとか目指してるの?残念だけど、それは無理よ?私の方が、彼らの好感度を満遍なく上げているから」

 まるで凄いでしょと自慢するように、リラさんは胸を張る。

「ウェインで我慢しなさい。悪役令嬢が出しゃばって良いことじゃないの。分かるでしょ?」

 メル様が彼女に、怒り始めていることが肌で感じる。黙ったままのメル様に機嫌を良くしたリラさんは、ビシッと、人差し指でメル様を指差す。
 
「あ、それと、自暴自棄になって、誘拐の手引とか人体実験とかしないでよ?もし、そんな事してるなら、私、ストーリー通りにするからね!」

 話が終わり満足したリラさんは、俺達を置いて去っていった。俺は彼女の背中をぼうっと見送った。

「あの子、やっぱり無礼ね?燃やしてしまおうかしら」

 言葉にぎょっとしてメル様を見ると、顔はいつも通りの優しい笑顔なのに、俺を押さえている反対の手には、ルダン様が暴走した時に出していた炎の剣があった。
 俺は彼女の剣をふうふうと息で冷まして、消散させた。それを見たメル様は、不満そうだった。メル様、ごめんなさい。でも、貴女には悪役令嬢になって欲しくないんです。俺はそう心の中で謝った。
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