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学園編
78.ディアスさん
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不安な事をいっぱいに手紙に書いて、ある人の部屋に訪れた。コンコンと扉をノックして、ドキドキと待つ。
扉が開かれて、出てきた青年に手に持った手紙をズイッと差し出す。
「あ、の。これ、ルダン様に送って下さい」
「了解しましたッス!」
青年は嫌な顔一つせず、ニコリと笑って受け取った。
彼は隣のクラスにいるディゾル家の諜報員だ。攻略対象を見張るために、一緒に入学してくれた。彼の名前はディアス。諜報部隊の次期頭首になるらしい。
薄い赤い色で、口元に右側に横に走るように傷がある。そのせいで口を開けると、口の中が人より大きく見えてしまう。
しかも諜報部隊ということで、イーズ君という生徒の付き人のフリをしながら通ってる。なんだか、本当にスパイみたいでカッコいい。
「返事は明日になるッスけど良いッスか?」
「ハイ、大丈夫です。ありがとうございます」
ジッとディアスさんに見つめられる視線に気づいて、首を傾げる。
「ところでアンタ、夜にこんな男の部屋を来て良いんスか?」
俺は意味が分からず、「へ?」と間抜けな声を出した。ガシッと顎を掴まれ、顔を近づけられる。その強さに口がぶにゅっとタコのようになった。
「仮にも女性なんだから、夜に男の元に来んなって言ってるンスよ。食っちまうッスよ?」
ガバリと口を大きく上げる。それはまるで捕食する肉食動物のようだった。そこで俺はうっかり、自分がメル様のメイドとして来ていることに忘れていた事に気付いた。
ディアスさんはガブリとかぶりつく素振りして、歯と歯がぶつかりガチンと鳴る。それを聞いて、俺はビクッとする。
ディアスさんに凄まれ、コクコクと頭を縦に振る。
「ご、ごめんなさい……」
「分かってくれるなら良いんすよ。俺が御主人に怒られるのは嫌ッスから」
ディアスさんはパッと手を離して、両手を上げる。それはまるで降参しているようにも、もうこれ以上しないと意思表示にも見えた。
「ほら。そろそろ帰らないと、メル様が迎えに来ちまうッス」
部屋に戻るように促される。彼は、部屋に訪れた時と同じ笑顔を見せた。何故かゾッとして、俺は一目散に自分の部屋に戻った。自室では、メル様が出迎えてくれた。
「あら?血相変えてどうしたの?」
俺はメル様に今までの事を話すと、キョトンとしてから「アハハハ!」と笑われた。
「そうね!ディアスが正しいわ!次は一緒に行きましょうね」
確かにメル様と一緒なら怒られないかも。そう思うと、波立った心が落ち着いた。
扉が開かれて、出てきた青年に手に持った手紙をズイッと差し出す。
「あ、の。これ、ルダン様に送って下さい」
「了解しましたッス!」
青年は嫌な顔一つせず、ニコリと笑って受け取った。
彼は隣のクラスにいるディゾル家の諜報員だ。攻略対象を見張るために、一緒に入学してくれた。彼の名前はディアス。諜報部隊の次期頭首になるらしい。
薄い赤い色で、口元に右側に横に走るように傷がある。そのせいで口を開けると、口の中が人より大きく見えてしまう。
しかも諜報部隊ということで、イーズ君という生徒の付き人のフリをしながら通ってる。なんだか、本当にスパイみたいでカッコいい。
「返事は明日になるッスけど良いッスか?」
「ハイ、大丈夫です。ありがとうございます」
ジッとディアスさんに見つめられる視線に気づいて、首を傾げる。
「ところでアンタ、夜にこんな男の部屋を来て良いんスか?」
俺は意味が分からず、「へ?」と間抜けな声を出した。ガシッと顎を掴まれ、顔を近づけられる。その強さに口がぶにゅっとタコのようになった。
「仮にも女性なんだから、夜に男の元に来んなって言ってるンスよ。食っちまうッスよ?」
ガバリと口を大きく上げる。それはまるで捕食する肉食動物のようだった。そこで俺はうっかり、自分がメル様のメイドとして来ていることに忘れていた事に気付いた。
ディアスさんはガブリとかぶりつく素振りして、歯と歯がぶつかりガチンと鳴る。それを聞いて、俺はビクッとする。
ディアスさんに凄まれ、コクコクと頭を縦に振る。
「ご、ごめんなさい……」
「分かってくれるなら良いんすよ。俺が御主人に怒られるのは嫌ッスから」
ディアスさんはパッと手を離して、両手を上げる。それはまるで降参しているようにも、もうこれ以上しないと意思表示にも見えた。
「ほら。そろそろ帰らないと、メル様が迎えに来ちまうッス」
部屋に戻るように促される。彼は、部屋に訪れた時と同じ笑顔を見せた。何故かゾッとして、俺は一目散に自分の部屋に戻った。自室では、メル様が出迎えてくれた。
「あら?血相変えてどうしたの?」
俺はメル様に今までの事を話すと、キョトンとしてから「アハハハ!」と笑われた。
「そうね!ディアスが正しいわ!次は一緒に行きましょうね」
確かにメル様と一緒なら怒られないかも。そう思うと、波立った心が落ち着いた。
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