71 / 114
公爵家編
68.ルダン様の全て
しおりを挟む
起きた頃には、俺は既にパジャマに着替えていて、隣には俺を見つめるルダン様が。
恥ずかしくて、布団に潜ろうとすると、ルダン様が阻止して、代わりに顔中にちゅうをしてきた。
そのまま口に、長く深くちゅうをする。でも、それは昨日のように激しいものではなく、穏やかなものだった。
それとなく、口を離して、ふぅふぅと息を整える。
「このままだと危ないな」
そう言って、ルダン様は俺を抱え上げ、ソファに移動した。
彼の腕の中で寛いでいると、俺は忘れていたことを思い出した。
「お仕事!遅刻デス!急がなきゃ!」
「今日のお仕事はお休みだ」
動き出そうとした俺を、ルダン様はギュッと抱きしめて阻止する。
「お休みデスカ?」
「そうだ。今日は私とゆっくりと話そう。嫌か?」
「嫌じゃないデス」
それから俺達は遅めの朝食を取って、話し合いをすることになった。
ルダン様から話してもらったことは、ゲームにも無かった話だった。
ルダン様のお母さんはルダン様を産んだ時に下半身を焼かれて死んでしまったらしい。そして、ルダン様が泣くと炎が溢れてしまうので、感情を抑える魔導具をつけている。
魔道具は痛みを伴う物で、まるでこの世界に取り残されたような孤独感が付き纏う。でも、俺が傍にいることでその痛みも孤独感も和らぐらしい。それを聞いて、少しホッとした。
ルダン様の場合は赤ん坊の頃からだったけど、それはディゾル家の一族であれば、物心つく頃にはつけるらしい。例えば、メル様も、実は薄く血が繋がっているグレイさんやアビゲイル先生、厨房のおばちゃんもそうなんだって。
何故、感情に釣られて炎を出しちゃうのかというと、炎の魔神の血が流れているから。
そして、魔神の血が流れているディゾル家は、国との契約で生涯を国に捧げなくてはいけないらしい。唯一、その契約が破棄できるのはルダン様達に危害を加えた時だけ。
だから、結婚も本当は自由に出来ないんだって。でも、ルダン様はメル様という子供がいるから俺と結婚出来るって言っていた。
ディゾル家の後継ぎはメル様が産んだ男児を貰うらしい。しかも、メル様はそれを承知の上で。
あと、メル様を産んだ母親は、愛の無い生活に耐えかねて失踪したらしく、つい最近になって、見つけて離婚が成立したんだって。
それから、ディゾル家には騎士団と諜報部隊があつて、それぞれのリーダーを後で紹介してくれるらしい。
他にも、俺を引き取った理由も話してくれた。
最初はバド王国が秘密裏に、イリング王国の闇オークションに俺が入った箱を出した。
その理由も隠さずに教えてくれた。それは俺という呪いの存在を敵国に渡し、呪いを解放させるつもりだったらしい。
それを知ったイリング王国は、ルダン様に呪いを買い取らせ、ディゾル家に厄介払いしたと思っているみたいだ。
イリング王家は、どうもディゾル家を敵対し始めているとも言っていた。
あと、俺のことも話してくれた。俺は既に18歳で、とっくに成人しているらしい。自分の事なのに全く知らなかった。メル様と同じ年齢だと、ずっと思ってたから。
本当なら知っちゃいけないだろう事も、ルダン様は話してくれた。それでいて、俺に尋ねる。
「これでも私の伴侶になってくれるか?断ってくれても構わない。どんなことがあろうとも、どんな答えだろうとも、私達はウェインを守るから安心してくれ」
「ルダン様も俺の話を聞いて、考えてクダサイ」
ここまでルダン様が話してくれたなら、俺も覚悟を決めよう。
『本当に俺で良いのか、と』
万が一、俺の全てを話して、ルダン様に捨てられたら、誰もいないところで、誰にも迷惑かけないところで死のう。
恥ずかしくて、布団に潜ろうとすると、ルダン様が阻止して、代わりに顔中にちゅうをしてきた。
そのまま口に、長く深くちゅうをする。でも、それは昨日のように激しいものではなく、穏やかなものだった。
それとなく、口を離して、ふぅふぅと息を整える。
「このままだと危ないな」
そう言って、ルダン様は俺を抱え上げ、ソファに移動した。
彼の腕の中で寛いでいると、俺は忘れていたことを思い出した。
「お仕事!遅刻デス!急がなきゃ!」
「今日のお仕事はお休みだ」
動き出そうとした俺を、ルダン様はギュッと抱きしめて阻止する。
「お休みデスカ?」
「そうだ。今日は私とゆっくりと話そう。嫌か?」
「嫌じゃないデス」
それから俺達は遅めの朝食を取って、話し合いをすることになった。
ルダン様から話してもらったことは、ゲームにも無かった話だった。
ルダン様のお母さんはルダン様を産んだ時に下半身を焼かれて死んでしまったらしい。そして、ルダン様が泣くと炎が溢れてしまうので、感情を抑える魔導具をつけている。
魔道具は痛みを伴う物で、まるでこの世界に取り残されたような孤独感が付き纏う。でも、俺が傍にいることでその痛みも孤独感も和らぐらしい。それを聞いて、少しホッとした。
ルダン様の場合は赤ん坊の頃からだったけど、それはディゾル家の一族であれば、物心つく頃にはつけるらしい。例えば、メル様も、実は薄く血が繋がっているグレイさんやアビゲイル先生、厨房のおばちゃんもそうなんだって。
何故、感情に釣られて炎を出しちゃうのかというと、炎の魔神の血が流れているから。
そして、魔神の血が流れているディゾル家は、国との契約で生涯を国に捧げなくてはいけないらしい。唯一、その契約が破棄できるのはルダン様達に危害を加えた時だけ。
だから、結婚も本当は自由に出来ないんだって。でも、ルダン様はメル様という子供がいるから俺と結婚出来るって言っていた。
ディゾル家の後継ぎはメル様が産んだ男児を貰うらしい。しかも、メル様はそれを承知の上で。
あと、メル様を産んだ母親は、愛の無い生活に耐えかねて失踪したらしく、つい最近になって、見つけて離婚が成立したんだって。
それから、ディゾル家には騎士団と諜報部隊があつて、それぞれのリーダーを後で紹介してくれるらしい。
他にも、俺を引き取った理由も話してくれた。
最初はバド王国が秘密裏に、イリング王国の闇オークションに俺が入った箱を出した。
その理由も隠さずに教えてくれた。それは俺という呪いの存在を敵国に渡し、呪いを解放させるつもりだったらしい。
それを知ったイリング王国は、ルダン様に呪いを買い取らせ、ディゾル家に厄介払いしたと思っているみたいだ。
イリング王家は、どうもディゾル家を敵対し始めているとも言っていた。
あと、俺のことも話してくれた。俺は既に18歳で、とっくに成人しているらしい。自分の事なのに全く知らなかった。メル様と同じ年齢だと、ずっと思ってたから。
本当なら知っちゃいけないだろう事も、ルダン様は話してくれた。それでいて、俺に尋ねる。
「これでも私の伴侶になってくれるか?断ってくれても構わない。どんなことがあろうとも、どんな答えだろうとも、私達はウェインを守るから安心してくれ」
「ルダン様も俺の話を聞いて、考えてクダサイ」
ここまでルダン様が話してくれたなら、俺も覚悟を決めよう。
『本当に俺で良いのか、と』
万が一、俺の全てを話して、ルダン様に捨てられたら、誰もいないところで、誰にも迷惑かけないところで死のう。
20
お気に入りに追加
342
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる