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公爵家編
66.星空の下で
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パーティーが終わり、俺は後片付けもせずガーデンに向かった。一応、手伝おうと思ったが、薄いショールを羽織らせられて追い出された。
外は冬らしく肌寒い。小さく吹く風で寒くならないようにしっかりとショールを両手で押える。
ガーデンから橙色の明かりが漏れていた。ガーデンから続く自室に光源はあるが、ガーデン自体には、無かった気がする。何事かと思って早足で向かう。
ガーデンのドアを開けると、フワリと蜂蜜の匂いが香る。中ではキャンドルが灯っており、甘い匂いが充満していた。
「あったかい」
風が吹かない事やキャンドルの火が灯っていることによって、ガーデンの中は充分温かくなっていた。キャンドルに照らされる花たちも相まって、まるでイルミネーションのような景色だった。
待つ時間も無く、彼はやって来た。ルダン様はなぜか、赤い燕尾服から、白から赤のグラデーションの燕尾服に着替えていた。
「良かった。起きていてくれたんだな」
コクリと頷いた。ちょっと前までの俺なら寝ちゃったかも知れないが、少し眠いけど、起きていられるくらいには元気になったのだ。それもこれもルダン様達のお陰だ。俺を見捨てず、世話をしてくれたから。
「ウェインは、覚えているか?私が勉強していると話した事を」
「はい」
何故かルダン様はガーデンの入口の所にいて、距離が離れている状態で話し始めた。
「私はようやく君への感情を理解した。聞いて欲しい。話を聞いて、軽蔑してくれても構わないが、せめて、最後まで聞いてくれ」
ルダン様は話しながら近づいてきた。
「私は最初、君の魔力に惹かれた。私の痛みや苦しみを取り除いてくれる者として、利用していたんだ」
ルダン様が進むたびに、キャンドルの火が1つずつ消えていく。
「しかし、君の表情を見て、触れる度に知らぬ感情が溢れた。家族のように思う感情もあったが、それとはまた別のもの。焦がれ、締め付けられるような感情だった」
最後の1つが消えて、ルダン様の表情が暗くて見えなくなった。ルダン様が立ち止まり、緊張するかのように深呼吸する。
「私は君に恋をした。私のような者がするなんて、愚かかもしれないが、初めて恋を、したんだ。同性だとか立場がどうとか、そういう事を抜きにして、どうか考えて欲しい」
ルダン様の顔を見るために、見上げると、ガラスの天井には満点の星空が映し出されていた。まるで、ルダン様自体が輝いているように見えた。
「どうか、私の伴侶になってくれ」
外は冬らしく肌寒い。小さく吹く風で寒くならないようにしっかりとショールを両手で押える。
ガーデンから橙色の明かりが漏れていた。ガーデンから続く自室に光源はあるが、ガーデン自体には、無かった気がする。何事かと思って早足で向かう。
ガーデンのドアを開けると、フワリと蜂蜜の匂いが香る。中ではキャンドルが灯っており、甘い匂いが充満していた。
「あったかい」
風が吹かない事やキャンドルの火が灯っていることによって、ガーデンの中は充分温かくなっていた。キャンドルに照らされる花たちも相まって、まるでイルミネーションのような景色だった。
待つ時間も無く、彼はやって来た。ルダン様はなぜか、赤い燕尾服から、白から赤のグラデーションの燕尾服に着替えていた。
「良かった。起きていてくれたんだな」
コクリと頷いた。ちょっと前までの俺なら寝ちゃったかも知れないが、少し眠いけど、起きていられるくらいには元気になったのだ。それもこれもルダン様達のお陰だ。俺を見捨てず、世話をしてくれたから。
「ウェインは、覚えているか?私が勉強していると話した事を」
「はい」
何故かルダン様はガーデンの入口の所にいて、距離が離れている状態で話し始めた。
「私はようやく君への感情を理解した。聞いて欲しい。話を聞いて、軽蔑してくれても構わないが、せめて、最後まで聞いてくれ」
ルダン様は話しながら近づいてきた。
「私は最初、君の魔力に惹かれた。私の痛みや苦しみを取り除いてくれる者として、利用していたんだ」
ルダン様が進むたびに、キャンドルの火が1つずつ消えていく。
「しかし、君の表情を見て、触れる度に知らぬ感情が溢れた。家族のように思う感情もあったが、それとはまた別のもの。焦がれ、締め付けられるような感情だった」
最後の1つが消えて、ルダン様の表情が暗くて見えなくなった。ルダン様が立ち止まり、緊張するかのように深呼吸する。
「私は君に恋をした。私のような者がするなんて、愚かかもしれないが、初めて恋を、したんだ。同性だとか立場がどうとか、そういう事を抜きにして、どうか考えて欲しい」
ルダン様の顔を見るために、見上げると、ガラスの天井には満点の星空が映し出されていた。まるで、ルダン様自体が輝いているように見えた。
「どうか、私の伴侶になってくれ」
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