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公爵家編
59.反動
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気持ち悪い!
俺は吐き気を催して、身体を起こした。
「ぐっ」
急に起き上がった為、目眩も相まり更に気持ち悪さが増し、抑えきれず、吐き出してしまった。ビシャッと胃液が広がり、胃酸の臭いが漂う。
吐かないように口を押さえると、ガタガタと身体が震える。そんな俺の手を外して握り、背中をさすってくれる人がいた。ルダン様だ。でも、そんなことを気にしていられない。
「ウェイン、気持ちが悪いなら吐いてしまえ」
止まない吐き気のまま嘔吐し、ベッドを汚した。胃の中が無くなっても、吐き気は続く。涙も鼻水も涎も、顔の穴という穴から垂れ流す。あまりにも辛くて、握ってくれる手に力をいっぱい入れて握り返す。
多少落ち着くと身体がふらつき、ルダン様が寄りかからせてくれた。彼はベルを鳴らして、グレイさんが呼ばれる。
グレイさんが入ってくると、ルダン様は俺に水を飲ませた後、俺を抱えてお風呂場に移動した。
既に浴槽にはお湯が溜まっており、服なんていなかった俺達はそのままお湯に入っていく。あの時と同じように沢山の衣草が入っていた。
俺はルダン様の上に乗り、向き合って座っている。
温かなお湯にようやく吐き気と目眩も治まって、ふぅと一息ついた。
「全くウェインは目が離せない」
「……ゴメンナサイ」
ルダン様のいつものあの穏やかな顔ではなく、怒っている顔だった。俺は目を合わせられなくて、俯いてゴシゴシと顔を擦る。
言い訳するなら本当こんなはずじゃなかった。でも結果的には、こうなってしまった。これでは、心配も迷惑もかけてしまって、恩返しもクソもない。
「良いか、やるなとは言わない。だが何かするのなら、私達の前でしてくれ。君が私の知らないところで苦しんでしまうのは、私が耐えられない。分かったな?」
「ハイ」
顔を擦る手を掴まれ、痛いくらいに手を握られた。優しい彼がどれほど心を痛めてくれたのか伝わってきて、罪悪感が襲ってくる。
「分かってくれたのなら良い」
俺が頷くと、ルダン様や声が柔らかくなり、寒いだろうと、彼は手でお湯を掬い、俺の肩にかけてくれた。
「少し冷たくなってしまったな」
顔に触れて、前を向かせる。ルダン様は顔を近づけ、俺と口を合わせた。ぐっと腰を引き寄せられて、右手は頭を、背中全体に左腕を回す。身体が触れ合っている所から、じわりと熱が移る。
息さえもつかせぬ程にチュウされる。苦しくて、口を開けるとルダン様の舌が中に入ってきた。
「んッ」
すり合わせるように舌が絡まる。ピリピリと電気のような感覚が広がっていく。
ルダン様にとって、この行為はきっと身体を温める為だけの意味しか持っていないだろうに、俺の心は欲深く、別の意味を求めていた。
口を離されて、身体から力が抜ける。くたりとルダン様に寄りかかり、耳が心臓の音を拾う。俺と同じように、ドクドクと早く強く鳴っていた。暖かい。生きている。そう感じられて、俺は、安心して意識を手放した。
俺は吐き気を催して、身体を起こした。
「ぐっ」
急に起き上がった為、目眩も相まり更に気持ち悪さが増し、抑えきれず、吐き出してしまった。ビシャッと胃液が広がり、胃酸の臭いが漂う。
吐かないように口を押さえると、ガタガタと身体が震える。そんな俺の手を外して握り、背中をさすってくれる人がいた。ルダン様だ。でも、そんなことを気にしていられない。
「ウェイン、気持ちが悪いなら吐いてしまえ」
止まない吐き気のまま嘔吐し、ベッドを汚した。胃の中が無くなっても、吐き気は続く。涙も鼻水も涎も、顔の穴という穴から垂れ流す。あまりにも辛くて、握ってくれる手に力をいっぱい入れて握り返す。
多少落ち着くと身体がふらつき、ルダン様が寄りかからせてくれた。彼はベルを鳴らして、グレイさんが呼ばれる。
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既に浴槽にはお湯が溜まっており、服なんていなかった俺達はそのままお湯に入っていく。あの時と同じように沢山の衣草が入っていた。
俺はルダン様の上に乗り、向き合って座っている。
温かなお湯にようやく吐き気と目眩も治まって、ふぅと一息ついた。
「全くウェインは目が離せない」
「……ゴメンナサイ」
ルダン様のいつものあの穏やかな顔ではなく、怒っている顔だった。俺は目を合わせられなくて、俯いてゴシゴシと顔を擦る。
言い訳するなら本当こんなはずじゃなかった。でも結果的には、こうなってしまった。これでは、心配も迷惑もかけてしまって、恩返しもクソもない。
「良いか、やるなとは言わない。だが何かするのなら、私達の前でしてくれ。君が私の知らないところで苦しんでしまうのは、私が耐えられない。分かったな?」
「ハイ」
顔を擦る手を掴まれ、痛いくらいに手を握られた。優しい彼がどれほど心を痛めてくれたのか伝わってきて、罪悪感が襲ってくる。
「分かってくれたのなら良い」
俺が頷くと、ルダン様や声が柔らかくなり、寒いだろうと、彼は手でお湯を掬い、俺の肩にかけてくれた。
「少し冷たくなってしまったな」
顔に触れて、前を向かせる。ルダン様は顔を近づけ、俺と口を合わせた。ぐっと腰を引き寄せられて、右手は頭を、背中全体に左腕を回す。身体が触れ合っている所から、じわりと熱が移る。
息さえもつかせぬ程にチュウされる。苦しくて、口を開けるとルダン様の舌が中に入ってきた。
「んッ」
すり合わせるように舌が絡まる。ピリピリと電気のような感覚が広がっていく。
ルダン様にとって、この行為はきっと身体を温める為だけの意味しか持っていないだろうに、俺の心は欲深く、別の意味を求めていた。
口を離されて、身体から力が抜ける。くたりとルダン様に寄りかかり、耳が心臓の音を拾う。俺と同じように、ドクドクと早く強く鳴っていた。暖かい。生きている。そう感じられて、俺は、安心して意識を手放した。
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