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公爵家編
51.ルダン様は勉強中
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くしゃみをしただけで、心配してスーツの上着をかけてくれた。上着はカイロでも入っているかのように暖かい。
その後、ガーデンの自室まで連れていかれ、ソファの上にルダン様にまたがるように座る。
「寒かったな」
「ダイジョウブ」
「今、風呂を用意してもらっているからな。沸いたら一緒に入って暖まろう」
「ゥン」
ルダン様は、俺と会話をしながら、俺の髪を解いていく。丁寧だから、痛みはない。
「ウェイン、寂しかったか?」
俺は声に出さずに頷いた。ルダン様は、手櫛で髪を梳いていく。
「そうか。……言い訳にしかならないんだが、避けている訳では無かったんだ。ただ私は、今、勉強中なのだ」
「ベンキョーチュー?」
「そうだ」
あのルダン様が、勉強中なんて思いもよらなかった。だって、なんでも1人で出来そうな人なのに。
ルダン様は、右肩の方に俺の髪を垂らす。そのまま目を逸らすこと無く合わせてくれる。
「ナニヲ、ベンキョー、シテルノ?」
俺の質問にルダン様は、苦笑した。
「私は今まで心臓が燃えるような感情を知らなかったんだ。だから、今、勉強をしている」
ルダン様の話を聞いて、俺は不思議に思った。
燃えるような感情?それはどんなもの何だろう?怒り?とか?
「シンゾウガ、モエチャウノ?」
「あぁ、出来るなら、私はウェインもそうであって欲しい」
つまり、俺も怒れってこと?
「オコリ、タクナイ」
俺はそのまま思ったことを口にした。するとルダン様は、吹き出して笑った。
「フッ、ハハッ、違う。そうじゃない。ウェインも勉強しなきゃダメだな」
俺の考えを否定してホッとする。でも、怒りじゃないなら、燃えるような感情ってなんだろ?
「ベンキョー、スル!」
「そうだな。この感情を私が君に伝えられる時にそうして欲しい」
「?」
それはどういう意味なんだろ?
「マダ、ダメ?」
その問いにルダン様は答えることなく、抱きしめられて持ち上げられた。そのまま、ポスンとベッドに押し倒される。ルダン様が覆いかぶさり、顔中にキスをされた。
「もう少しだけ、待ってくれ」
おでこに、瞼に、目尻に、ほっぺに、最後は口に。啄むようにチュウされる。
心がポワンとして、何も考えられなくなった。反対に身体はビクッビクッと震える。背中に回ったルダン様の手が動き、その刺激が痺れるような感覚になる。
お互いに瞳と瞳を見交わした。はぁと、俺の吐く息が熱を持っているように感じた。
「そろそろ、お風呂に入ろうか」
ルダン様が、上から退いて手を引かれる。しかし、ガクッと力が抜けて立っていられない。慌てて、ルダン様が支えてくれた。
「大丈夫か?」
「ダ、ダイジョウブ」
その後、ドキドキしながらお風呂に入り、ルダン様に抱きしめられながら眠った。
その後、ガーデンの自室まで連れていかれ、ソファの上にルダン様にまたがるように座る。
「寒かったな」
「ダイジョウブ」
「今、風呂を用意してもらっているからな。沸いたら一緒に入って暖まろう」
「ゥン」
ルダン様は、俺と会話をしながら、俺の髪を解いていく。丁寧だから、痛みはない。
「ウェイン、寂しかったか?」
俺は声に出さずに頷いた。ルダン様は、手櫛で髪を梳いていく。
「そうか。……言い訳にしかならないんだが、避けている訳では無かったんだ。ただ私は、今、勉強中なのだ」
「ベンキョーチュー?」
「そうだ」
あのルダン様が、勉強中なんて思いもよらなかった。だって、なんでも1人で出来そうな人なのに。
ルダン様は、右肩の方に俺の髪を垂らす。そのまま目を逸らすこと無く合わせてくれる。
「ナニヲ、ベンキョー、シテルノ?」
俺の質問にルダン様は、苦笑した。
「私は今まで心臓が燃えるような感情を知らなかったんだ。だから、今、勉強をしている」
ルダン様の話を聞いて、俺は不思議に思った。
燃えるような感情?それはどんなもの何だろう?怒り?とか?
「シンゾウガ、モエチャウノ?」
「あぁ、出来るなら、私はウェインもそうであって欲しい」
つまり、俺も怒れってこと?
「オコリ、タクナイ」
俺はそのまま思ったことを口にした。するとルダン様は、吹き出して笑った。
「フッ、ハハッ、違う。そうじゃない。ウェインも勉強しなきゃダメだな」
俺の考えを否定してホッとする。でも、怒りじゃないなら、燃えるような感情ってなんだろ?
「ベンキョー、スル!」
「そうだな。この感情を私が君に伝えられる時にそうして欲しい」
「?」
それはどういう意味なんだろ?
「マダ、ダメ?」
その問いにルダン様は答えることなく、抱きしめられて持ち上げられた。そのまま、ポスンとベッドに押し倒される。ルダン様が覆いかぶさり、顔中にキスをされた。
「もう少しだけ、待ってくれ」
おでこに、瞼に、目尻に、ほっぺに、最後は口に。啄むようにチュウされる。
心がポワンとして、何も考えられなくなった。反対に身体はビクッビクッと震える。背中に回ったルダン様の手が動き、その刺激が痺れるような感覚になる。
お互いに瞳と瞳を見交わした。はぁと、俺の吐く息が熱を持っているように感じた。
「そろそろ、お風呂に入ろうか」
ルダン様が、上から退いて手を引かれる。しかし、ガクッと力が抜けて立っていられない。慌てて、ルダン様が支えてくれた。
「大丈夫か?」
「ダ、ダイジョウブ」
その後、ドキドキしながらお風呂に入り、ルダン様に抱きしめられながら眠った。
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