雪も積もれば冬となる~悪役公爵家に愛されちゃった!?~

コータ

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公爵家編

45.メル視点

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 お父様は、あの屋敷全焼未遂事件以来、ウェインと接する時、はたから見てぎこちなくなった。その事に自分でも気づいていない。
 せめてもの救いはウェインも気づいていない事だわ。

「お父様、いい加減、お気づきになって下さいな」

 私はつい、口に出してしまった。
 今、お父様は、ウェインの為の洋服を発注書を作っていた。

「何をだ」

 お父様は、生い立ちや魔導具ゆえに自覚出来ない。本当なら自分で気づいてもらいたかったのだけれど。

「お父様は、ウェインの事をどう思っていらっしゃいますの?」
「ウェイン。彼の事は好ましく思っている」

 私はホッと息を吐く。そこは自分で理解してもらわないと、流石に先に進めないわ。

「では、私の事はどうですか?」
「メルは家族だと思っている」
「そうですわね。私はお父様の家族ですわ。……例えばですけども、私が傷つけばどう思いますか?」
「契約破棄だな」

 契約とは、ディゾル家の一族に産まれた瞬間から国と契約させられるものだ。
 それを破棄するというのは、国に反逆するという意味になる。しかし、私はその程度。

「お父様。ウェインが傷つけばどうですか?」
「は?」

 お父様は手に力を込めて、持っていた紙に皺を作る。そう、考える事も嫌なのね。

「……はぁ、メル。冗談もほどほどにしろ」
「ですが、お父様。ウェインの為ですのよ」「ウェインの?」
「そうですわ。次の質問ですわ。お父様は、何故、そこまでウェインを気にしているのですか?」

 お父様は少し考えて答える。

「さっき好ましく思っていると言ったろう」
「質問を変えますわ。私とウェイン、結婚するとしたら、どう思いますか?」

 私の言葉を聞いて、お父様は紙を燃やしてしまった。殺気もうっすらと、漂ってくる。けれど、あの事件の時より恐ろしくない。私が本気では無いということを知っているから。

「ふふっ、ではお父様とウェインが結婚するのだとしたら?」
「!?……私とウェインが?」

 お父様は挙動不審になり、口を開いては閉じる。

「これでご理解いただけたかしら?家族に向ける愛とウェインに向ける愛が違うということに」
「……あぁ、なんとなくは」
「そうですか。では、コチラをお読み下さい」

 私はメイド達に指示してが机に置いたのは、私の部屋から持ってきた小説だ。

「これはウェインにとっても、お父様にとっても重要な事が書かれています」
「ウェインや私にとって?」
「そうです」
「分かった。読んでおこう」

 私がお父様に渡したのは、ただの小説ではない。恋愛小説だ。
 これで多少は自覚してくれれば良い。

「早くウェインにお母様になってもらいたいわぁ」

 部屋から出て、独り呟く。
 そのためにも早く、自覚させてプロポーズさせて無いと。私は野望の為に暗躍するのだった。
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