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公爵家編
44.絵本“運命の神様”
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リハビリも順調に進み、長い時間でも立てるようになった頃、俺はルダン様の執務室で、勉強の一環として音読会を始めることになった。
執務室には、ルダン様の専用の机があり、そこに山程の書類が積み重なって、それと格闘するルダン様。その部屋の隅にソファがあり、そこに俺達は座っている。
ルダン様が仕事をしている間、俺はここで絵本の朗読をしなきゃいけない。もし分からなければ、隣のメル様に教えてもらっている。シュウセツは、近くのバスケットの中でお昼寝中だ。
俺が声を出していても仕事に集中しながら、聞いているなんてルダン様はとても器用だ。
今日の絵本は、"運命の神様と女の子"。絵はまるで子供が描いた絵で、ちょっと怖い絵だった。
「ムカシ、ムカシ」
それから始まる物語。
この絵本の内容は、簡単に言うと、運命の神様が、一目惚れした女の子の恋の為に運命をやり直すものだ。
「ウンメイノ、カミサマハ、モウイチド、ヤリナオシマシタ」
女の子は、やり直す度にたった一人に恋しては嫌われてしまう。絵本の中の女の子は、ハートを半分に折って泣いている。
女の子が好きな運命の神様は、それが可哀想でやり直す。運命の神様の見た目は、男の子で、車輪のようなものを持っていた。それを回すと、世界が逆に回って、やり直すことが出来るらしい。
でも運命の神様は、やり直せはするのに、運命を変えることは出来ない。
そして最後、ある日、運命に願い運命の神様が見えるようになった女の子は、今まで献身を知って、運命の神様のお嫁さんになる。最後の挿絵には車輪の絵が大きく書かれていた。
イリング王国の絵本は、“炎の魔神”や“聖女”など恋の話は多い。
「オシマイ」
俺にとって、これがハッピーエンドとは思えないけど、ルダン様達にとってこの絵本は定番な物語らしい。
パタンと絵本を閉じて読み終わると、2人はパチパチと拍手してくれた。
「よく読めるようになったわね」
「とても『上手』だ。よく出来たな」
今回、俺は間違えずに読めたことに得意気に胸を張った。俺だってこれぐらい出来るんだよ。
ずっと読んでいて、喉が乾いてケホッと咳が出た。
「紅茶を飲んで」
メル様が背中を擦って、テーブルに置いてあった紅茶を渡してくれた。
有り難く受け取り、コクリと飲んで喉を潤す。今日の紅茶はガーデンのフラガを作っているので甘酸っぱくて美味しい。
紅茶の温かさにホッとする。
「さて、お父様の仕事が終わるまでお庭でお茶会にしましょ」
俺はメル様に促されて、執務室を後にした。
執務室には、ルダン様の専用の机があり、そこに山程の書類が積み重なって、それと格闘するルダン様。その部屋の隅にソファがあり、そこに俺達は座っている。
ルダン様が仕事をしている間、俺はここで絵本の朗読をしなきゃいけない。もし分からなければ、隣のメル様に教えてもらっている。シュウセツは、近くのバスケットの中でお昼寝中だ。
俺が声を出していても仕事に集中しながら、聞いているなんてルダン様はとても器用だ。
今日の絵本は、"運命の神様と女の子"。絵はまるで子供が描いた絵で、ちょっと怖い絵だった。
「ムカシ、ムカシ」
それから始まる物語。
この絵本の内容は、簡単に言うと、運命の神様が、一目惚れした女の子の恋の為に運命をやり直すものだ。
「ウンメイノ、カミサマハ、モウイチド、ヤリナオシマシタ」
女の子は、やり直す度にたった一人に恋しては嫌われてしまう。絵本の中の女の子は、ハートを半分に折って泣いている。
女の子が好きな運命の神様は、それが可哀想でやり直す。運命の神様の見た目は、男の子で、車輪のようなものを持っていた。それを回すと、世界が逆に回って、やり直すことが出来るらしい。
でも運命の神様は、やり直せはするのに、運命を変えることは出来ない。
そして最後、ある日、運命に願い運命の神様が見えるようになった女の子は、今まで献身を知って、運命の神様のお嫁さんになる。最後の挿絵には車輪の絵が大きく書かれていた。
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「オシマイ」
俺にとって、これがハッピーエンドとは思えないけど、ルダン様達にとってこの絵本は定番な物語らしい。
パタンと絵本を閉じて読み終わると、2人はパチパチと拍手してくれた。
「よく読めるようになったわね」
「とても『上手』だ。よく出来たな」
今回、俺は間違えずに読めたことに得意気に胸を張った。俺だってこれぐらい出来るんだよ。
ずっと読んでいて、喉が乾いてケホッと咳が出た。
「紅茶を飲んで」
メル様が背中を擦って、テーブルに置いてあった紅茶を渡してくれた。
有り難く受け取り、コクリと飲んで喉を潤す。今日の紅茶はガーデンのフラガを作っているので甘酸っぱくて美味しい。
紅茶の温かさにホッとする。
「さて、お父様の仕事が終わるまでお庭でお茶会にしましょ」
俺はメル様に促されて、執務室を後にした。
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