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公爵家編
43.ガーデン
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屋敷を直すまでの間、俺は別の部屋に移ることになった。そこは俺の為に作られた温室であるガーデンと繋がっている部屋だった。
ガラス張りのガーデンには、ピクニックの時に見た芝生のような花、メレソウが敷きつめられ、まだ実がなっていないフラガやミトセの植木鉢がいくつか置いてあった。俺が好きな植物をここに置いていいらしい。
部屋には、大きなベッドやシュウセツの寝床、勝ってもらったガラスのボールが置いてある。他に欲しい家具があったら、順次追加するみたいだ。
勿論、ルダン様もここで一緒に寝る。元々、あの部屋はルダン様のものだったから寝る所が無くなってしまったし、今更、別々だと言われたら、俺はショックを受けた筈だ。
あの温もりはもう手放せないから。
日差しが入るガーデンで俺はメレソウの上に座って、メイ様を待っている。シュウセツは芝生の上でガラスのボールで遊んでいる。
メイ様は腕を火傷して、入学式を出られなかった。今も、療養中として学校には通っていない。
カランとドアベルが鳴ったので、立ち上がって、出迎える。そう、俺は一人でも歩けるようになったのだ!
「おはよう、ウェイン」
「オハヨ!メル様!」
メル様の腕は、包帯でグルグルと巻かれていて痛そうだ。けれど、メル様は俺の事を抱っこしようとするから、慌てて離れる。
「メル様、メッ」
「もう。ちょっとくらい良いじゃない」
ぷっくりとほっぺを膨らませて、怒るけど全然怖くない。そのほっぺをちょんと触って、メル様の真似をする。
「メル様、カワイ!」
「もう。可愛いのはウェインよ!」
メル様に飛びつかれて、その勢いのまま後ろに倒れた。流石に踏ん張る力はまだ無い。
地面が柔らかなメレソウで良かった。おかげで、痛みも無かった。シュウセツも下敷きになっていないようで安心した。
「ふふっ、触り心地の良い肌になってきたわね」
上に乗っかれたまま、俺の顔の輪郭をなぞる。柔らかな笑顔を見せるメル様は、ゲームのスチルよりも綺麗で可愛かった。
「メル」
「っ!」
メル様は、ルダン様に首元を掴まれて引き剥がされる。俺はルダン様がガーデンに入ってきた事に気づきもしなかった。
持ち上げられたメル様の姿は、シュウセツと似てていて、俺は思わず、クスクスと笑ってしまった。
びっくりした様子のメル様だったが、すぐに咳払いをして取り繕う。俺も身体を起こして、2人を見守る。
「コホン、お父様、下ろしてもらえますか?」
「メル、ふざけ過ぎだ」
「あら、嫁入り前の女性の身体を傷物にした慰謝料と考えれば安いものでなくって?」
「邪魔したメルが悪いだろう。そもそも私はウェインを傷付けるつもりは無かった」
「はぁ、それはそうかもしれませんが、あんな魔力で、しかも精神が不安定なまま部屋に突撃されたら、警戒するでしょう?」
首元を掴まれたまま会話する2人は、シュールな光景になっている。
「……そうだな。メル、彼を守ってくれてありがとう」
離されたメル様は、スカートにフワッと空気を含ませながら着地した。
「やっぱりお父様は、ズルいですわ~!そう言われたら、許すしかありませんわ!」
メル様が満足そうに笑う顔に、俺は心が満たされていった。
ガラス張りのガーデンには、ピクニックの時に見た芝生のような花、メレソウが敷きつめられ、まだ実がなっていないフラガやミトセの植木鉢がいくつか置いてあった。俺が好きな植物をここに置いていいらしい。
部屋には、大きなベッドやシュウセツの寝床、勝ってもらったガラスのボールが置いてある。他に欲しい家具があったら、順次追加するみたいだ。
勿論、ルダン様もここで一緒に寝る。元々、あの部屋はルダン様のものだったから寝る所が無くなってしまったし、今更、別々だと言われたら、俺はショックを受けた筈だ。
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メル様の腕は、包帯でグルグルと巻かれていて痛そうだ。けれど、メル様は俺の事を抱っこしようとするから、慌てて離れる。
「メル様、メッ」
「もう。ちょっとくらい良いじゃない」
ぷっくりとほっぺを膨らませて、怒るけど全然怖くない。そのほっぺをちょんと触って、メル様の真似をする。
「メル様、カワイ!」
「もう。可愛いのはウェインよ!」
メル様に飛びつかれて、その勢いのまま後ろに倒れた。流石に踏ん張る力はまだ無い。
地面が柔らかなメレソウで良かった。おかげで、痛みも無かった。シュウセツも下敷きになっていないようで安心した。
「ふふっ、触り心地の良い肌になってきたわね」
上に乗っかれたまま、俺の顔の輪郭をなぞる。柔らかな笑顔を見せるメル様は、ゲームのスチルよりも綺麗で可愛かった。
「メル」
「っ!」
メル様は、ルダン様に首元を掴まれて引き剥がされる。俺はルダン様がガーデンに入ってきた事に気づきもしなかった。
持ち上げられたメル様の姿は、シュウセツと似てていて、俺は思わず、クスクスと笑ってしまった。
びっくりした様子のメル様だったが、すぐに咳払いをして取り繕う。俺も身体を起こして、2人を見守る。
「コホン、お父様、下ろしてもらえますか?」
「メル、ふざけ過ぎだ」
「あら、嫁入り前の女性の身体を傷物にした慰謝料と考えれば安いものでなくって?」
「邪魔したメルが悪いだろう。そもそも私はウェインを傷付けるつもりは無かった」
「はぁ、それはそうかもしれませんが、あんな魔力で、しかも精神が不安定なまま部屋に突撃されたら、警戒するでしょう?」
首元を掴まれたまま会話する2人は、シュールな光景になっている。
「……そうだな。メル、彼を守ってくれてありがとう」
離されたメル様は、スカートにフワッと空気を含ませながら着地した。
「やっぱりお父様は、ズルいですわ~!そう言われたら、許すしかありませんわ!」
メル様が満足そうに笑う顔に、俺は心が満たされていった。
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