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公爵家編
40.報告者視点
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ウェイン・バディッド。出身国はバド王国。バディッド王家に属する。
父イデオ・バディッドと、母シリー・バディッドの間に生まれ、身体は病弱だった。
雪の魔力を持つウェインは、迫害と異常な教育を受ける。
8歳で死んだとされているが、雪の塔に監禁されており、そこで呪いを受けたと思われる。
直接呪いをかけたであろう呪術士達は死んでおり、呪いに関しての詳しい情報を掴めなかった。しかし、呪いはバド王国の季節の一つである冬に関したものであると推測出来る。
理由としては、ウェインが雪の塔に監禁された翌年から今年に至るまで、バド王国の王都では雪が降っておらず、気温も下がっていないからだ。それと同時に、雪の塔には誰も立ち入れない程の大雪が降ったとされている。
監禁された期間は10年。これは雪の塔の雪が止むまでの期間でもあった。
その後、ウェインは金属の箱に押し込められて、魔導具として秘密裏にオークションに出された。
ウェインにつけられていた物は、国際法で禁じられた身体を封じる封印の魔導具であり、閉じ込めた箱はダークライトの素材で出来ていた。
バド王家の思惑として、ウェインの呪いを遠ざけたかった事、そして敵国である我が国に呪いを解き放つ事の2点が上げられる。
「こんな感じっすかね」
「そうか」
報告を受けたルダンは手に力を入れて、大事な書類に皺を作る。やがて端からチリチリと焦げついていく。
「それにしても、バド王国って言う国はなんもかんもがお粗末っすねぇ。呪術士達を殺しても、色んなところで噂が広がってましたよ。ハハッ馬鹿っすよね」
「……ウェインは、雪の塔とやらにたった一人で10年閉じ込められていたのか」
「えぇ。それは確実っすよ」
「そうか」
ぼわりと炎が部屋中のアチラコチラで上がる。
詳しい情報を受け取って、ルダンは激しい怒りを覚えた。
呪いがかかっていることも知っていた。体罰を受けていたことも、食事がままならなかった事も知っていた。
しかし誰もいない塔に、一人で生きていた事は知らなかった。ウェインの笑顔の下にどれ程の孤独が隠されていたのか、ようやく知り得て、異常な程の感情が湧き上がる。
怒り、悲しみ、憎悪。そういったどす黒い感情が入り混じって、炎の強さが増す。
炎は部屋の中のあらゆる物を炭にするのではなく、溶かして、より熱を持つ粘性のある流動体にしていく。
ルダンは部屋を出ていった。身体につけていた感情を抑える封印の魔導具を壊して、向かう先は……。
一人残された報告者は、自分が怪我をしないように慎重に部屋を出る。
「うわぁ、御主人めっちゃ怒ってるじゃん。初めて見たんですけど……。しかし、そんな怒ることかねぇ?あんな敵国の呪いを持つ子供なんて殺しちゃえば良いのに……。大切にする必要なんて無いじゃん」
報告者は、怒るルダンを不思議に思った。
父イデオ・バディッドと、母シリー・バディッドの間に生まれ、身体は病弱だった。
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その後、ウェインは金属の箱に押し込められて、魔導具として秘密裏にオークションに出された。
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「こんな感じっすかね」
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「それにしても、バド王国って言う国はなんもかんもがお粗末っすねぇ。呪術士達を殺しても、色んなところで噂が広がってましたよ。ハハッ馬鹿っすよね」
「……ウェインは、雪の塔とやらにたった一人で10年閉じ込められていたのか」
「えぇ。それは確実っすよ」
「そうか」
ぼわりと炎が部屋中のアチラコチラで上がる。
詳しい情報を受け取って、ルダンは激しい怒りを覚えた。
呪いがかかっていることも知っていた。体罰を受けていたことも、食事がままならなかった事も知っていた。
しかし誰もいない塔に、一人で生きていた事は知らなかった。ウェインの笑顔の下にどれ程の孤独が隠されていたのか、ようやく知り得て、異常な程の感情が湧き上がる。
怒り、悲しみ、憎悪。そういったどす黒い感情が入り混じって、炎の強さが増す。
炎は部屋の中のあらゆる物を炭にするのではなく、溶かして、より熱を持つ粘性のある流動体にしていく。
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「うわぁ、御主人めっちゃ怒ってるじゃん。初めて見たんですけど……。しかし、そんな怒ることかねぇ?あんな敵国の呪いを持つ子供なんて殺しちゃえば良いのに……。大切にする必要なんて無いじゃん」
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