雪も積もれば冬となる~悪役公爵家に愛されちゃった!?~

コータ

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公爵家編

37.仲直り

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 落ち着いたのはそれからすぐだったが、シュウセツと会ったのは3日後になってしまった。

 俺の心が安定していなかったのと、どんな顔をして良いのか分からなかったから会えなかった。けれど、毎日扉の外で何度も「み~、み~」と鳴く声が聞こえ、ようやく踏ん切りがついた。

 朝、目が覚めると、メル様がバスケットをベッド上に置いくれる。バスケットを覗くと、シュウセツが中で一生懸命にそこから出ようとしていた。
 俺に気がつくと、シュウセツは嬉しそうに「みー!」と元気よく鳴いた。まるで、俺が叩こうとしたことは気にしてないみたいに。

『ごめんね。怖かったよね』

 そっと手を差し出すと、シュウセツは手のひらなに頭を擦り付ける。
 俺がしようとしたことは無くならないけど、シュウセツが怖がってる様子は無くてホッとする。

 ルダン様がそっとシュウセツを持ち上げて、俺の膝の上に乗せてくれる。
 あの時はぷっくりしたお腹になっていたのに、今ではアバラが見えそうな程にへこんでいる。

 ルダン様達は、食事をさせないような非道な人達ではないのに、どうしてこんなにも痩せてるの?

 手にじゃれついた後は、ガッシリと捕まえられて指を咥えられ、チューチューと吸われる。本当に何か吸われている感覚があって首を傾げる。

『あれ?』

 モジョモジョと身体を動かしたり、手を開いたり閉じたりしているが、離そうとはしない。徐々に膨れていくシュウセツのお腹。どういうことなのか、分からないけど、シュウセツが元気になるのなら良かった。

「ふふっかわい」

 メル様がお腹をちょんちょんとする度に、威嚇したいシュウセツは、しかし吸うことも止められないらしく指を口に入れたまま、「シャー」と鳴く。そんな状態だから、威嚇しても全然怖くない。まぁ、吸っていないときの威嚇も怖くは無いけどね。
 どんなにメル様に邪魔されても歯は立てなかった。俺は『良い子、良い子』と撫でてあげる。
 威嚇されているのが楽しいメル様は繰り返してちょっかいをかけた。

「メルサマ、ヤッ!」
「ふふっ、ウェインもかわい」

 俺はシュウセツが可哀想になって止めたが、メル様には効果が無かったみたいだ。今度は対象が俺になって、ツンツンと頬を触ってくる。いつもなら気にしないが、今はちょっと止めてほしい。

「メル、止めなさい」
「はぁい」

 ルダン様にその指を掴まれて、ようやく止めてくれた。
 その頃には、シュウセツはお腹いっぱいで夢の中に旅立っていた。スゥスゥと寝息が聞こえるが、手は離してくれなかった。
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