8 / 114
公爵家編
5.診察?
しおりを挟む
扉から男の人2人と白衣を来た人、多分、お医者さんが入ってきた。
お医者さんは俺の身体を起こし、初老の男性がベッドの縁に座らせるように俺の身体を移動させる。身体に力が入らなくて、背骨が無くなったみたいにフラフラすると、男性が背中と肩を支えて、倒れないようにしてくれた。
お医者さんは膝を床につけて、俺の着ているシャツのボタンを外し、身体を触っていく。
お医者さんの手は熱を持っているかのように熱い。その手が心臓の当たりで止まり、目を瞑って、異常がないか確かめているようだ。これがこの世界の診察なのかな?
お医者さんは茶色の髪を後ろに束ねている。支えてくれている男性の髪には、灰色の髪に白髪混ざっていた。
『君、名前は?』
お医者さんは多分、何かを尋ねた気がした。けど、理解出来ない。声を聞いて、お医者さんが女性だった事に気づいた。こういう人を麗人と言うのかな?
なんてどうでも良いことを考えていると、お医者さんは、人差し指で自分を指して、『アビー』と同じ言葉を繰り返すから、それが名前だと分かる。
「アビー?」
『そう、君は?』
また首を傾げると、アビーさんは、自分を指して『アビー』と告げて、俺を指差した。それを幾度か繰り返すと、俺も自分の名前を聞きたいのだと理解する。
「ウェイン」
『ウェイン、良い名だね』
俺の声は、掠れていた。久しぶりに誰かと喋った気がする。アビーさんにウェインと、呼ばれたけどその続きの言葉が分からなくて首を傾げる。
「……君はバド王国出身ですか?」
背中を支えてくれていた男性が、俺の分かる言葉で話しかけてくれたので、俺はコクリと頷く。
「そうですか。私はグレイとお呼びください」
またコクリと頷く。グレイさんの声は優しくて、棘がない。
「目の前の方は、ルダン様。その隣の女性はルダン樣のお子であるメル様です」
近くにいたはずのメル、さん、が俺の眼の前のルダンさんの隣にいる。
手をひらひらとさせるメルさん、ルダンさんはニコリと笑ってくれた。
確かにルダンさんとメルさんは親子だと分かるほど似ていた。メルさんはお父さん似なのだろう。ルダンさんも赤い瞳と赤い髪を持っていた。ただメルさんより暗い赤な気がした。
『おはよ?寝坊助さん』
メルさんが俺に喋りかけてくれたのに、やっぱり意味は分からない。
「お腹は空いてませんか?」
グレイに尋ねられて俺は頭を縦に振る。
『アビゲイル様、ウェイン様のお食事は何を用意すればよろしいですか?』
『固形は食べられず、嘔吐してしまうと思います。なので、流動食が良いでしょう』
『了解しました』
今度はアビーさんとグレイさんが会話する。よく分からない言葉が、右の耳から左の耳に抜けていく。
アビーさんが俺のシャツのボタンを止め、グレイさんがベッドに横たわらせてくれる。それから、優しくシーツを掛けてくれた。
「今からお食事をご用意させていただきますね」
グレイさんはそう言うと、部屋を出ていく。俺はふわりと身体を包まれ、ウトウトと眠くなる。
その横で3人の会話している声を子守唄にしながら、俺は眠りについた。
お医者さんは俺の身体を起こし、初老の男性がベッドの縁に座らせるように俺の身体を移動させる。身体に力が入らなくて、背骨が無くなったみたいにフラフラすると、男性が背中と肩を支えて、倒れないようにしてくれた。
お医者さんは膝を床につけて、俺の着ているシャツのボタンを外し、身体を触っていく。
お医者さんの手は熱を持っているかのように熱い。その手が心臓の当たりで止まり、目を瞑って、異常がないか確かめているようだ。これがこの世界の診察なのかな?
お医者さんは茶色の髪を後ろに束ねている。支えてくれている男性の髪には、灰色の髪に白髪混ざっていた。
『君、名前は?』
お医者さんは多分、何かを尋ねた気がした。けど、理解出来ない。声を聞いて、お医者さんが女性だった事に気づいた。こういう人を麗人と言うのかな?
なんてどうでも良いことを考えていると、お医者さんは、人差し指で自分を指して、『アビー』と同じ言葉を繰り返すから、それが名前だと分かる。
「アビー?」
『そう、君は?』
また首を傾げると、アビーさんは、自分を指して『アビー』と告げて、俺を指差した。それを幾度か繰り返すと、俺も自分の名前を聞きたいのだと理解する。
「ウェイン」
『ウェイン、良い名だね』
俺の声は、掠れていた。久しぶりに誰かと喋った気がする。アビーさんにウェインと、呼ばれたけどその続きの言葉が分からなくて首を傾げる。
「……君はバド王国出身ですか?」
背中を支えてくれていた男性が、俺の分かる言葉で話しかけてくれたので、俺はコクリと頷く。
「そうですか。私はグレイとお呼びください」
またコクリと頷く。グレイさんの声は優しくて、棘がない。
「目の前の方は、ルダン様。その隣の女性はルダン樣のお子であるメル様です」
近くにいたはずのメル、さん、が俺の眼の前のルダンさんの隣にいる。
手をひらひらとさせるメルさん、ルダンさんはニコリと笑ってくれた。
確かにルダンさんとメルさんは親子だと分かるほど似ていた。メルさんはお父さん似なのだろう。ルダンさんも赤い瞳と赤い髪を持っていた。ただメルさんより暗い赤な気がした。
『おはよ?寝坊助さん』
メルさんが俺に喋りかけてくれたのに、やっぱり意味は分からない。
「お腹は空いてませんか?」
グレイに尋ねられて俺は頭を縦に振る。
『アビゲイル様、ウェイン様のお食事は何を用意すればよろしいですか?』
『固形は食べられず、嘔吐してしまうと思います。なので、流動食が良いでしょう』
『了解しました』
今度はアビーさんとグレイさんが会話する。よく分からない言葉が、右の耳から左の耳に抜けていく。
アビーさんが俺のシャツのボタンを止め、グレイさんがベッドに横たわらせてくれる。それから、優しくシーツを掛けてくれた。
「今からお食事をご用意させていただきますね」
グレイさんはそう言うと、部屋を出ていく。俺はふわりと身体を包まれ、ウトウトと眠くなる。
その横で3人の会話している声を子守唄にしながら、俺は眠りについた。
36
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
日本で死んだ無自覚美少年が異世界に転生してまったり?生きる話
りお
BL
自分が平凡だと思ってる海野 咲(うみの
さき)は16歳に交通事故で死んだ…………
と思ったら転生?!チート付きだし!しかも転生先は森からスタート?!
これからどうなるの?!
と思ったら拾われました
サフィリス・ミリナスとして生きることになったけど、やっぱり異世界といったら魔法使いながらまったりすることでしょ!
※これは無自覚美少年が周りの人達に愛されつつまったり?するはなしです
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生当て馬召喚士が攻め度MAXの白銀騎士に抗えません
雪平
BL
不幸体質大学生の青年が転生したのは魔術師ファンタジーBLゲームの世界だった。
当て馬として生まれたからには攻略キャラの恋の後押しをする事にした。
しかし、この世界…何処か可笑しい。
受け主人公が攻めに、攻め攻略キャラが受けになっていた世界だった。
童顔だった主人公は立派な攻めに育っていた。
受け達に愛されている主人公は何故か当て馬に執着している。
傍観者で良かったのに、攻めポジも危ぶまれていく。
究極の鉄壁一途な白銀騎士×転生当て馬召喚士
ゲームを忠実にするためには、絶対に受けとしてときめいてはいけない。
「君といられるなら、俺は邪魔する奴を排除する」
「俺はただの当て馬でいい!」
※脇CP、リバキャラはいません、メインCPのみです。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
目覚めたそこはBLゲームの中だった。
慎
BL
ーーパッパー!!
キキーッ! …ドンッ!!
鳴り響くトラックのクラクションと闇夜を一点だけ照らすヘッドライト‥
身体が曲線を描いて宙に浮く…
全ての景色がスローモーションで… 全身を襲う痛みと共に訪れた闇は変に心地よくて、目を開けたらそこは――‥
『ぇ゙ッ・・・ ここ、どこ!?』
異世界だった。
否、
腐女子だった姉ちゃんが愛用していた『ファンタジア王国と精霊の愛し子』とかいう… なんとも最悪なことに乙女ゲームは乙女ゲームでも… BLゲームの世界だった。
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる