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公爵家編
3.変わらぬ日々
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体を震わせながら、今日も日課の外出だ。雪はまだ止まない。
窓は塞ぎ終わってるが、時々風で破けたりするので、修復の為に木の皮を剥ぐのと、食料探し、その為諸々を探すためだ。
寒くてもやらなきゃ生けていけない。
木の皮を爪で引っかき、少しだけ剥けた部分を持ってゆっくりと引っ張る。幅は大体、俺の手のひらサイズ。それをいくつか作って、塔の中にしまう。
その後また外に出て、積もった雪を手で除けて花と探していると、ぴっと手が切れた。あー、またアカギレが出来た。
靴や服は木の皮で編めたが、残念ながら手袋は編めなかったので、アカギレは無限のように出来ていた。
ポタポタと赤い血が流れ、白い雪に染みを作る。俺はそれを気にも止めずに、あさり続ける。
手が思うように動かなくなって、今日は無理かと諦めようとした頃、赤いバラのような花を見つけた。
今日はツイてる!!
俺はその花を摘んで、塔の中に戻った。
この赤いバラのような花は、|睡混花(すいこんか)といって、花びら1枚を口に含むと眠りに落ちることが出来るすぐれものだ。
ゲームの中では、他にもいくつかの材料を混ぜて、魔物を眠らせるポーションになる。多分、ポーションにした方が効果があるんだろうけど、ここにはそんなもの無いし、普通に水に浮かべるだけだと効果が薄くなるんだよね。
なんで、俺が睡混花が必要になるのかって言うと、実は、不眠症だから。
俺は、いざ寝るとなると、次の日とかの不安で不安で目が冴えてくるタイプなんだよね。好きなように起きてたら、体力は減る一方だし、それこそ死活問題になるので、この睡混花を使うんだ。本当なら、これが無くても寝れるくらい精神が太いと良いんだけどね。
塔の中に入って、寝床に睡混花を置いておき、ガタガタ震える手で、要らなくなった木の皮や木の枝を壁の隅に小さな山を作る。その山に、昨日粉々にしていた春の妖精の花を少しふりかけて、最後に冬火の枝を置く。
すると、ゆっくりとパチパチと弾ける音がして小さな火が出来た。
その火の上にブリキのバケツを上を置く。その中には、しおれた雪の雫と、少量の水が入っている。
雪の雫は、雪の上で育ち、雪を栄養に花を咲かす。
バケツの中に雪を入れて、雪の雫を外から根っこごと持ってきて植えれば、簡単に育ち、咲いた花からは、余分な栄養が流れ出てくる。
その流れ出てくる水分がそれが今の俺の主食だ。
蜜の木は残念ながら、雪の雫より見つけられないので、そっちは見つけたらラッキーぐらいにしか思ってない。
火が消える頃には、水はほんのりあたたかくなっている。
俺はそのバケツに口をつけて、中の水を飲む。
何の味もしない、ただの水だ。しかし、しっかりと口の中を潤す。
バケツの中に入っている冬の雫は、食べてしまう。これも美味しくも不味くもない。
手を合わせて、今日の食事を終える。
その後は、すぐに寝床で横になる。木の皮で編んだ掛け布っぽいもので身体をつつみ、睡混花の花を口に含んだ。
明日こそ、雪が止んでくれたら良いな。目を瞑って、やってくる眠気に身を委ねた。
窓は塞ぎ終わってるが、時々風で破けたりするので、修復の為に木の皮を剥ぐのと、食料探し、その為諸々を探すためだ。
寒くてもやらなきゃ生けていけない。
木の皮を爪で引っかき、少しだけ剥けた部分を持ってゆっくりと引っ張る。幅は大体、俺の手のひらサイズ。それをいくつか作って、塔の中にしまう。
その後また外に出て、積もった雪を手で除けて花と探していると、ぴっと手が切れた。あー、またアカギレが出来た。
靴や服は木の皮で編めたが、残念ながら手袋は編めなかったので、アカギレは無限のように出来ていた。
ポタポタと赤い血が流れ、白い雪に染みを作る。俺はそれを気にも止めずに、あさり続ける。
手が思うように動かなくなって、今日は無理かと諦めようとした頃、赤いバラのような花を見つけた。
今日はツイてる!!
俺はその花を摘んで、塔の中に戻った。
この赤いバラのような花は、|睡混花(すいこんか)といって、花びら1枚を口に含むと眠りに落ちることが出来るすぐれものだ。
ゲームの中では、他にもいくつかの材料を混ぜて、魔物を眠らせるポーションになる。多分、ポーションにした方が効果があるんだろうけど、ここにはそんなもの無いし、普通に水に浮かべるだけだと効果が薄くなるんだよね。
なんで、俺が睡混花が必要になるのかって言うと、実は、不眠症だから。
俺は、いざ寝るとなると、次の日とかの不安で不安で目が冴えてくるタイプなんだよね。好きなように起きてたら、体力は減る一方だし、それこそ死活問題になるので、この睡混花を使うんだ。本当なら、これが無くても寝れるくらい精神が太いと良いんだけどね。
塔の中に入って、寝床に睡混花を置いておき、ガタガタ震える手で、要らなくなった木の皮や木の枝を壁の隅に小さな山を作る。その山に、昨日粉々にしていた春の妖精の花を少しふりかけて、最後に冬火の枝を置く。
すると、ゆっくりとパチパチと弾ける音がして小さな火が出来た。
その火の上にブリキのバケツを上を置く。その中には、しおれた雪の雫と、少量の水が入っている。
雪の雫は、雪の上で育ち、雪を栄養に花を咲かす。
バケツの中に雪を入れて、雪の雫を外から根っこごと持ってきて植えれば、簡単に育ち、咲いた花からは、余分な栄養が流れ出てくる。
その流れ出てくる水分がそれが今の俺の主食だ。
蜜の木は残念ながら、雪の雫より見つけられないので、そっちは見つけたらラッキーぐらいにしか思ってない。
火が消える頃には、水はほんのりあたたかくなっている。
俺はそのバケツに口をつけて、中の水を飲む。
何の味もしない、ただの水だ。しかし、しっかりと口の中を潤す。
バケツの中に入っている冬の雫は、食べてしまう。これも美味しくも不味くもない。
手を合わせて、今日の食事を終える。
その後は、すぐに寝床で横になる。木の皮で編んだ掛け布っぽいもので身体をつつみ、睡混花の花を口に含んだ。
明日こそ、雪が止んでくれたら良いな。目を瞑って、やってくる眠気に身を委ねた。
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