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三章 銀色の乙女、裸にひんむかれた御礼をする。
しおりを挟む私は服屋さんで下着姿に仮面を被っていると言うシュールな格好で豪華な部屋の中に居る。
ルリシスちゃんとシルビアから服を剥かれ裸にされたあと体のサイズを採寸された。
身長、体のサイズ、共にいつの間にか予定通りの成長を遂げたらしく採寸された数値が聞き覚えのあるものばかりだった。
たぶん身長はもう少し伸びますね。
「あらためてサイズを計るとジュエルは凄くスタイルが良くなってますね!!」
「うんうん、胸も大きさもバランスが良い上に脚も長いし羨ましいよ!!」
「ええ、このような良いスタイルを持った人を久し振りに拝見しましたよ!!」
きゃっきゃっと騒ぐ女性陣については行けず着せ替え人形、もしくはマネキン状態の私は大人しくされるがまま色々な服を着させられました...
「不思議に思ったのですが、仮面を外した方が良くないですか?仮面を被っていると変質者の様な気分になるのですが....。」
仮面を外し、ひと息つくと周りを見渡す。
「なるほど....、御友人と使用人の方から仮面を被っている理由は聞いていたのですが確かに人目を引きますね...。」
ユミールさんがそう言いながら頷いている。
もうこの反応に馴れている私は
「ですから仮面を被っているのですよね。いつになったら素顔で居られるようになるのでしょうね。」
「成人すれば大丈夫だよ!!!たぶん。」
「そうですね、ダグラス様やセリーヌ様も成人までは過保護にしましょうと言っておりましたから!!」
初めて聞きましたよ!?とと様達のその話!!
「男性に見える体に合った洋服も御用意しましたので帰りの際はそれを着てお帰りください。」
ユミールさんがポンポンと男物の服を畳んでいる。
「じゃあ、ジュエルちゃん。私達が選んだので良いんだよね?」
「ええ、良いですよ。」
私の返事を聞くと選んだ服の所へ行き、シルビアとルリシスちゃんがガールズトークをしはじめた様だ。
私の為に骨を折ってくれたルリシスちゃんとシルビアにも何かお礼をしなければいけませんね。
近くに居るユミールさんに小声で喋りかける。
「ユミールさん、あの二人にもプレゼントをしたいのですが何か良い物はありませんか?」
「そうですね。お二方共にあなた様の服を選ぶ際、自分のお目当ての服があった様子ですがお値段を確認すると残念そうな顔で元の場所に戻していらいしたのがありましたね。」
「では、それを一緒に頂けますか?」
「ええ、大丈夫です!!!お届け先はどちらに致しましょうか?」
「ジョルダーノさんのお屋敷は判りますか?今、私達はそちらに御世話になっているので...無理ならばラザエフ商会でも大丈夫だと思います。」
私の言葉に驚き、ヒソヒソと尋ねてくる。
「あなたの仰るジョルダーノさんとはもしやこの国の宰相様のジョルダーノ・ コルトレツィス卿の事ですか!?」
「えーと、多分そうです。」
「...分かりました。コルトレツィス様のお屋敷の方へ持って行かせてもらいます。今回のお買い物では大白金貨でお支払いただくとお釣りが出すぎるのでお代はその時で結構です。」
「いえ、それは悪いですよ。うーん、どうしましょうかね~。そうだ!これを差し上げます!!」
私はリュックから自分用の魔導ケトルを取り出しユミールさんに差し出す。
「これはジュエル級の魔導具じゃないですか!!頂けませんよ!!」
「これは私用の魔導ケトルなので気にせず使ってください。それにこのように私は服装に疎いものですからこれからもユミールさんの所で御世話になると思いますので名刺替わりにどうぞお納め下さい。」
「....そうですか。分かりました。ありがたくいただきます。それとあまりこのようなことはやらない方が宜しいかと...。この街も信用できる人ばかりではないのですから。」
ユミールさんに指摘され、トルステンさんの数時間にも及ぶ大説教を思い出す。
「...ええ、その通りですね。気を付けます、それに似たような事を前にもやってしまって大変なことになったのですよね...。」
魔導ケトル大量発注事件を思い出して、私はげんなりする。
「本当にお気をつけ下さい。」
「...はい。」
この後、少しユミールさんからお説教を受ける私であった。
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