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覚醒するバカ王子
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バカにかき乱された場が落ち着きを取り戻し始めた頃に一人の兵士が部屋へと入って来る。
「アウグスト枢機卿、奴隷達を表に揃えました。」
「うむ。...それではそちら側の要求は我等の即時帰還、奴隷の受け渡し...のみなのか?」
報告の兵に耳打ちされ、兵に頷いて答えた後に俺達に向き直し問うてくる。
「いや、もう一つある...が...取り敢えず奴隷達に声を掛けてえんだが良いか?」
「ああかまわんよ!私も同席させて貰うが外に出て自由に話をしたまえ。」
アウグストが俺達にさあどうぞとでも言わんばかりに手をドアの方へと突き出してくる。
ぜってえ何か企んでそうだが...乗った方がこっちに取っては都合が良いことが起きそうだな。
「ああ、じゃあ表に出ようぜ。」
周囲で椅子に座っている一緒に着いてきたこちら側の奴らに目配せすると皆で立ち上がり、部屋の出口へと向かう。
昼間の強い日差しが差す外へと出ると40名位の若い男や女...子供までが粗末な服に身を包み、その身を震るわせながら恐怖で引きつった顔で俺達を見ている。
俺はやせ細っている奴隷の子供に近付くとその小さな頭を撫でてやる。
「安心しろ。俺はお前達を魔族領に引き取る事に決めた!奴隷なんかじゃなく魔族領の国民としてだ。俺に出来ることはお前らに誰の物でもない普通の人間として生きていけるチャンスを与える事しかできねえ!その上を望むのなら自分自身の力で這い上がれ。」
奴隷達が俺の言葉で動揺した様子を見せた後に一人の男が「....俺達は...アンタらの後ろにいる...ベヒモスの餌になるんじゃ無いのか!?」と俺におずおずとしながら喋るかけてくる。
「あん?ああ、後ろのクソ猫は俺が居たら大人しいぞ。心配すんな、お前らに危害を加えないように教育はしたからもう大丈夫だ。」
後ろにいるベヒモスにチラリと視線をやると、ベヒモスがぶるりと身を震わせた後に「我はもうフォルティーナからぶっ飛ばされたくはないからな!それに美味い物も貰えるし...人間などに用は無い!!」と視線を逸らしながら答える。
ベヒモスがあからさまに俺にびびってる姿を目の当たりにして奴隷達がお互いの顔を見合わせた後に”わぁーーー!”と歓声上げた。
「...なるほど、ヨアヒムの報告通り随分と龍王リヴァイアサンは人間に甘い様だな!」
俺達を静観していたアウグストが片手を上げると周囲に潜んでいたらしい魔術師風の集団が現れ、俺達を奴隷達諸共殺す気なのだろう魔術の一斉射撃を俺達に撃ち込んできた。
くくくっ、上手く龍王と竜王それに魔王共々葬れた様だな。
魔術師達が数多く撃ち込んだ様々な強力な魔法で龍王達、魔族側と奴隷達は土煙まみれで姿は見えなくなってはいるが...あれだけ撃ち込んだのだ幾ら龍王と竜王だと言えども生きている筈は無いだろう!
「...そ..んな。フォルティーナ殿!!.....アウグスト枢機卿!!何故...何故この様な暴挙を!フォルティーナ殿達は我らと戦の手打ちの話に来ていたのだ!この様なことを聖都ウィルドレルの信仰している神は許すのか!!」
我らの行動を見ていた愚かな亡国のファメルテウス王太子が声を荒げながら私の襟首を掴んで怒りに震え罵倒してくる。
カーツの言葉に兵達に動揺の声が上がり始める。
「確かに...言う通りだ。この行動は筋が通るのか!?」
「そう...だよな。わざわざあちらから出向いて来てくれての話なのに...しかも第二軍と第三軍の話が本当だったのならそもそも我らに勝ち目は無かった。」
「だよな。...俺達は...ひょっとしてとんでもねえ事をやっているんじゃあ...」
など我が輩の側にいる兵達がざわめき、疑念を持ち始めた兵士達の視線が我が輩に集まり始める。
襟首を掴み、我が輩を睨み続けているカーツの手を引き剥がし左頬に我が輩の拳を殴りつけるとカーツは呻き声を上げ地面に崩れ落ちる。
「愚か者共!!これは戦争なのだぞ!?勝った者がルール!勝利を得るために綺麗も汚いもあるか!お前達も負けてしまえば我が輩達が蹂躙して来た国の様になるのだ!それが分からぬのか!!」
地面に倒れ込み、呻き声を上げるカーツに吐き捨てるように言った後に周囲の兵士達へ恫喝するように睨みを聞かせる。
カーツが少しよろめきながら立ち上がると鋭い光の宿った目で我が輩を睨みつけながら口を開く。
「...だからこそだ!人間は互いに争い、奪い、殺す!だが...フォルティーナは自分を害そうとした我らファメルテウスの王族、貴族達に手を出そうとはしなかった!...結果的に私は亡国の王太子となったがそれは自らの国民の選択により排斥されたのだ。...我らの行動の結果だ...。私はこの事に気付かせてくれたフォルティーナに感謝こそすれ、恨む気など毛頭無い!!第二軍と第三軍は残念だが...フォルティーナが直接指揮を取っていなかった...だからこそ優しさのない戦いになってしまった。が...しかし!フォルティーナは我ら第一軍を殆どの損耗も無く助けようとしていた。その上、ベヒモスの餌になる予定であった奴隷達までも救おうとした...人間とは違うがフォルティーナの様な慈愛に溢れる者こそ...神にふさわしいのでは無いのか?」
カーツの言葉を静かに聞いていた兵士達が一人、また一人とカーツの語った事を肯定するような呟きを始め、次第に我が輩の言葉の否定の大きな渦を作り始める。
我が輩に徐々に詰め寄って来だす兵士達の圧力に耐えられなくなり、つい後ずさりしながら我が輩は声を荒げてしまう。
「貴様ら!!!一体何をしようと言うのだ!!これは我らの神への冒涜だぞ!!!」
「良く言ったカーツ!!俺はお前を立派な男だと認めてやんよ!!」
声のした後方を振り向くと...魔術により発生していた土煙が晴れだし、障壁に包まれ全員無事な様子の龍王達が視界に入ってきた。
龍王が驚愕の表情を浮かべているであろう我が輩を指差しながら更に続ける。
「アウグスト!!もう一つの要求を実行させて貰う...お前みたいな奴は生きてちゃいけえね!その命貰うぞ!!!」
龍王のその言葉が我が輩の耳に届くと同時に指先から放たれた閃光に頭を貫かれ一瞬で我が輩の意識は掻き消えた。
「アウグスト枢機卿、奴隷達を表に揃えました。」
「うむ。...それではそちら側の要求は我等の即時帰還、奴隷の受け渡し...のみなのか?」
報告の兵に耳打ちされ、兵に頷いて答えた後に俺達に向き直し問うてくる。
「いや、もう一つある...が...取り敢えず奴隷達に声を掛けてえんだが良いか?」
「ああかまわんよ!私も同席させて貰うが外に出て自由に話をしたまえ。」
アウグストが俺達にさあどうぞとでも言わんばかりに手をドアの方へと突き出してくる。
ぜってえ何か企んでそうだが...乗った方がこっちに取っては都合が良いことが起きそうだな。
「ああ、じゃあ表に出ようぜ。」
周囲で椅子に座っている一緒に着いてきたこちら側の奴らに目配せすると皆で立ち上がり、部屋の出口へと向かう。
昼間の強い日差しが差す外へと出ると40名位の若い男や女...子供までが粗末な服に身を包み、その身を震るわせながら恐怖で引きつった顔で俺達を見ている。
俺はやせ細っている奴隷の子供に近付くとその小さな頭を撫でてやる。
「安心しろ。俺はお前達を魔族領に引き取る事に決めた!奴隷なんかじゃなく魔族領の国民としてだ。俺に出来ることはお前らに誰の物でもない普通の人間として生きていけるチャンスを与える事しかできねえ!その上を望むのなら自分自身の力で這い上がれ。」
奴隷達が俺の言葉で動揺した様子を見せた後に一人の男が「....俺達は...アンタらの後ろにいる...ベヒモスの餌になるんじゃ無いのか!?」と俺におずおずとしながら喋るかけてくる。
「あん?ああ、後ろのクソ猫は俺が居たら大人しいぞ。心配すんな、お前らに危害を加えないように教育はしたからもう大丈夫だ。」
後ろにいるベヒモスにチラリと視線をやると、ベヒモスがぶるりと身を震わせた後に「我はもうフォルティーナからぶっ飛ばされたくはないからな!それに美味い物も貰えるし...人間などに用は無い!!」と視線を逸らしながら答える。
ベヒモスがあからさまに俺にびびってる姿を目の当たりにして奴隷達がお互いの顔を見合わせた後に”わぁーーー!”と歓声上げた。
「...なるほど、ヨアヒムの報告通り随分と龍王リヴァイアサンは人間に甘い様だな!」
俺達を静観していたアウグストが片手を上げると周囲に潜んでいたらしい魔術師風の集団が現れ、俺達を奴隷達諸共殺す気なのだろう魔術の一斉射撃を俺達に撃ち込んできた。
くくくっ、上手く龍王と竜王それに魔王共々葬れた様だな。
魔術師達が数多く撃ち込んだ様々な強力な魔法で龍王達、魔族側と奴隷達は土煙まみれで姿は見えなくなってはいるが...あれだけ撃ち込んだのだ幾ら龍王と竜王だと言えども生きている筈は無いだろう!
「...そ..んな。フォルティーナ殿!!.....アウグスト枢機卿!!何故...何故この様な暴挙を!フォルティーナ殿達は我らと戦の手打ちの話に来ていたのだ!この様なことを聖都ウィルドレルの信仰している神は許すのか!!」
我らの行動を見ていた愚かな亡国のファメルテウス王太子が声を荒げながら私の襟首を掴んで怒りに震え罵倒してくる。
カーツの言葉に兵達に動揺の声が上がり始める。
「確かに...言う通りだ。この行動は筋が通るのか!?」
「そう...だよな。わざわざあちらから出向いて来てくれての話なのに...しかも第二軍と第三軍の話が本当だったのならそもそも我らに勝ち目は無かった。」
「だよな。...俺達は...ひょっとしてとんでもねえ事をやっているんじゃあ...」
など我が輩の側にいる兵達がざわめき、疑念を持ち始めた兵士達の視線が我が輩に集まり始める。
襟首を掴み、我が輩を睨み続けているカーツの手を引き剥がし左頬に我が輩の拳を殴りつけるとカーツは呻き声を上げ地面に崩れ落ちる。
「愚か者共!!これは戦争なのだぞ!?勝った者がルール!勝利を得るために綺麗も汚いもあるか!お前達も負けてしまえば我が輩達が蹂躙して来た国の様になるのだ!それが分からぬのか!!」
地面に倒れ込み、呻き声を上げるカーツに吐き捨てるように言った後に周囲の兵士達へ恫喝するように睨みを聞かせる。
カーツが少しよろめきながら立ち上がると鋭い光の宿った目で我が輩を睨みつけながら口を開く。
「...だからこそだ!人間は互いに争い、奪い、殺す!だが...フォルティーナは自分を害そうとした我らファメルテウスの王族、貴族達に手を出そうとはしなかった!...結果的に私は亡国の王太子となったがそれは自らの国民の選択により排斥されたのだ。...我らの行動の結果だ...。私はこの事に気付かせてくれたフォルティーナに感謝こそすれ、恨む気など毛頭無い!!第二軍と第三軍は残念だが...フォルティーナが直接指揮を取っていなかった...だからこそ優しさのない戦いになってしまった。が...しかし!フォルティーナは我ら第一軍を殆どの損耗も無く助けようとしていた。その上、ベヒモスの餌になる予定であった奴隷達までも救おうとした...人間とは違うがフォルティーナの様な慈愛に溢れる者こそ...神にふさわしいのでは無いのか?」
カーツの言葉を静かに聞いていた兵士達が一人、また一人とカーツの語った事を肯定するような呟きを始め、次第に我が輩の言葉の否定の大きな渦を作り始める。
我が輩に徐々に詰め寄って来だす兵士達の圧力に耐えられなくなり、つい後ずさりしながら我が輩は声を荒げてしまう。
「貴様ら!!!一体何をしようと言うのだ!!これは我らの神への冒涜だぞ!!!」
「良く言ったカーツ!!俺はお前を立派な男だと認めてやんよ!!」
声のした後方を振り向くと...魔術により発生していた土煙が晴れだし、障壁に包まれ全員無事な様子の龍王達が視界に入ってきた。
龍王が驚愕の表情を浮かべているであろう我が輩を指差しながら更に続ける。
「アウグスト!!もう一つの要求を実行させて貰う...お前みたいな奴は生きてちゃいけえね!その命貰うぞ!!!」
龍王のその言葉が我が輩の耳に届くと同時に指先から放たれた閃光に頭を貫かれ一瞬で我が輩の意識は掻き消えた。
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