王女ですけれど何か?

御伽夢見

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なんですと?

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「マリーちゃん・・・?ちょっと確認したいことがあるのだけど、に時間を頂けるかな?」

 『僕』ではなく『私』という自身を公的な表現で話しかける最愛の兄、王太子イーサン。そして付け加えるならば妹を彼が幼い頃一時的に呼んていた愛称のマリーちゃん。間違いなく兄が怒りを抑え込んでいることにマリアンヌは気付いた。

 「お兄様・・・・・はっ!・・・・・あああ兄上?」

 イーサンの背後に黒い何か・・が感じられ、言い直しながらマリアンヌはジリジリと後ろへ下がりたい気分であった。

 「うん?怖がらなくていいよ?ちょっと見せたいものがあるから。の書斎に来てくれるよね・・?」

 マリアンヌに拒否権はないとイーサンの黒いオーラから周囲の者たちも悟り、見ません、聞こえませんという態度で各自の仕事をしていた。





 「で、これは何だろうね?」

 書斎に入るなりイーサンはあるものを妹に見せた。

 「あっ、それは!」

 マリアンヌは大きく目を見開き、近寄る。

 王家の紋章が入った袋。逃げていった盗人が持ち去った物。

 「中身確認してくれるかな?足りないなら足りないとはっきり言うんだよ?」

 悪魔な笑顔のイーサン。マリアンヌは慌てて中身を数え始める。

 「どう?」

 「記憶が正しければ金額は合ってます。でも、何故この袋が?」

 「ふーん、あいつらが言っていた“金にはまだ手を付けてない”は本当だったようだな。としては減っていたほうが刑を決めやすかったけどね。」

 「どうしてコレがここに?」

 「うん、その件なんだけれどね?マリアンヌ。君の婚約者をプレディアス公爵令息に決めてもいいかな?」

 「へっ?????」

 「盗人が逃げたところへ姿をみせたのでしょう?リオール殿は。マルディア国の方角へ盗人は逃げていった。リオールは公爵家に連絡しつつ挟み打ちを食らわせて頑張ったみたいだよ?褒美はマリアンヌと一緒に食事をしたいということだったけど、いっそのこと婚約者にしてしまおうかなと僕は考えた。」

 「一緒に食事・・・が希望なのに、婚約者?」
マリアンヌは頬がひきつるのを自覚した。

 「まぁ、婚約云々はともかく、お見舞いに行きなよね?」

 「見舞い?」

 「言ったでしょう?挟み打ち食らわせて頑張ったって。お陰で彼、怪我しちゃったよ?」

 「け、怪我??!!」

 マリアンヌは驚きで今度は体が固まった。
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