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青年の新たな一面
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「・・・ところで姫様?何故貴方がここにいるのですか?」
マリアンヌの目の前に立ちふさがる青年。吹雪でもふくのではないかと思われる程の寒いオーラを出してマリアンヌに話しかけている。寒いオーラにも関わらず顔は笑顔。それがまた怖さ倍増である。
「わ、私のほうが知りたいくらいですわよ?少なくともここの予定ではなかったはずでして・・・
」
と、マリアンヌは目の前の静かに怒りを燃やしている青年を見つめていた。
今度の夢は犬ではなく、熊か何か別の猛獣がでそうだと心の中でマリアンヌは思った。
そう、それは偶然が偶然をよんだともいえる。
マリアンヌは確かにマルディア国に向かって準備をしていた。ついでに城下でお忍びで買い物にも出た。オーダーメイドではなく、既製品で気に入ったワンピースを買いに。買ってから都合が悪ければ城のお針子隊に調整してもらおうと考えていた。
そんな時である。お付きの者がお金の入った袋を落とした事に気付いたのである。
店員に声をかけ、ワンピースは取り置きしてもらい、道中キョロキョロと姫と付き添いの者は探したのである。下を向いていたのが悪かった。ふと見ると知らない人達に囲まれていた。お付きの者の首元には刃物が突きつけられていた。
「あんた上物の女のだな。肌はつやつや。上品そうな佇まい。そしてあんた達が探していたのはコレかな?」
「あ!それは!」
「中身は結構な金額が入ってるな。と、いうことはあんたは少なくとも上位のお貴族様ってとこか?」
「まずはその人の首元の刃物を避けてもらえませんか?話はそれからです。」
マリアンヌは動じることもなく淡々と話す。
「この金は頂いていくぜ。でもな、こんな大金持ち歩くということは、あんた達をかっさらえばもっと大金を手にできると思わねぇか?」
「思いません。そもそも貴方達はこの国の者ではないですよね?その刃物、他国の製品です。」
非常に冷静な観察力のマリアンヌ。
「おいおい、お嬢さんよ。お土産でもらったとか思わないのかい?」
「思いません。何故ならばその刃物は非売品ですから。持っている者は少ないです。少ない人達から譲渡されたか盗んだとしか思えません。」
「チッ。予想以上に大物か、あんた。構うだけ不利になりそうだ。」
どんっ!!
盗人の一人が人質にしていた者の首元から刃物を外し、マリアンヌにむけて人質を押し飛ばした。
同時に数名が走り出す。
マリアンヌがブツっと切れた。
「お待ちなさい!お待ちなさいってば!」
走り出す。
「お待ちなさいと言われて待ってるやつがどこの世界にいる!!!」
逃げながら返事が聞こえてくる。
マリアンヌ御一行は必死に追いかける。どんどん遠ざかる人影。
気がついたら王都の外れに来ていた。
盗人達はもう姿はなかった。
「もう(怒)末代まで祟ってやろうかしら。」
息切れしながら座り込む御一行。
「だから馬車にすればよかったのですよ、姫様。」
「今更よ。」
はあーっと地面に向かい盛大なため息をつく。その時である。
「姫様?」
聞き覚えのある声が。
顔をあげると背の高い青年。青年はマリアンヌとそのお付きの者たちが息切れして座り込む様子にただ事ではない事が起きたと察した。
「・・・ところで姫様?何故貴方がここにいるのですか?」
プレディアス公爵令息リオールが質問をした。
マリアンヌの目の前に立ちふさがる青年。吹雪でもふくのではないかと思われる程の寒いオーラを出してマリアンヌに話しかけている。寒いオーラにも関わらず顔は笑顔。それがまた怖さ倍増である。
「わ、私のほうが知りたいくらいですわよ?少なくともここの予定ではなかったはずでして・・・
」
と、マリアンヌは目の前の静かに怒りを燃やしている青年を見つめていた。
今度の夢は犬ではなく、熊か何か別の猛獣がでそうだと心の中でマリアンヌは思った。
そう、それは偶然が偶然をよんだともいえる。
マリアンヌは確かにマルディア国に向かって準備をしていた。ついでに城下でお忍びで買い物にも出た。オーダーメイドではなく、既製品で気に入ったワンピースを買いに。買ってから都合が悪ければ城のお針子隊に調整してもらおうと考えていた。
そんな時である。お付きの者がお金の入った袋を落とした事に気付いたのである。
店員に声をかけ、ワンピースは取り置きしてもらい、道中キョロキョロと姫と付き添いの者は探したのである。下を向いていたのが悪かった。ふと見ると知らない人達に囲まれていた。お付きの者の首元には刃物が突きつけられていた。
「あんた上物の女のだな。肌はつやつや。上品そうな佇まい。そしてあんた達が探していたのはコレかな?」
「あ!それは!」
「中身は結構な金額が入ってるな。と、いうことはあんたは少なくとも上位のお貴族様ってとこか?」
「まずはその人の首元の刃物を避けてもらえませんか?話はそれからです。」
マリアンヌは動じることもなく淡々と話す。
「この金は頂いていくぜ。でもな、こんな大金持ち歩くということは、あんた達をかっさらえばもっと大金を手にできると思わねぇか?」
「思いません。そもそも貴方達はこの国の者ではないですよね?その刃物、他国の製品です。」
非常に冷静な観察力のマリアンヌ。
「おいおい、お嬢さんよ。お土産でもらったとか思わないのかい?」
「思いません。何故ならばその刃物は非売品ですから。持っている者は少ないです。少ない人達から譲渡されたか盗んだとしか思えません。」
「チッ。予想以上に大物か、あんた。構うだけ不利になりそうだ。」
どんっ!!
盗人の一人が人質にしていた者の首元から刃物を外し、マリアンヌにむけて人質を押し飛ばした。
同時に数名が走り出す。
マリアンヌがブツっと切れた。
「お待ちなさい!お待ちなさいってば!」
走り出す。
「お待ちなさいと言われて待ってるやつがどこの世界にいる!!!」
逃げながら返事が聞こえてくる。
マリアンヌ御一行は必死に追いかける。どんどん遠ざかる人影。
気がついたら王都の外れに来ていた。
盗人達はもう姿はなかった。
「もう(怒)末代まで祟ってやろうかしら。」
息切れしながら座り込む御一行。
「だから馬車にすればよかったのですよ、姫様。」
「今更よ。」
はあーっと地面に向かい盛大なため息をつく。その時である。
「姫様?」
聞き覚えのある声が。
顔をあげると背の高い青年。青年はマリアンヌとそのお付きの者たちが息切れして座り込む様子にただ事ではない事が起きたと察した。
「・・・ところで姫様?何故貴方がここにいるのですか?」
プレディアス公爵令息リオールが質問をした。
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