王女ですけれど何か?

御伽夢見

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そして父は

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 っくしゅん!

 噂の父は現在レイアルズ公爵家で絶賛くしゃみ中。弟が体調崩したため、手伝いに入っていた。

 『うーん、ちょっとこの政策は甘いなぁ。うーん。』

 弟の書類を確認しつつ心の中で呟いていた。

 レイアルズ公爵の跡取り息子とクラーク公爵の考えは基本同じ方向を向いているが、弟のほうがところどころ甘い考えになりかける。そこを周囲がツッコミ入れたら素直に応じるのは弟の良い点だが、素直すぎて例えば万が一誰かに何かの罠をかけられた場合、すぐに気付くことが出来るのか?と兄も母も思っている。

 そう、やはり兄のクラーク公爵のほうが器用なのである。おそらく今も父であるレイルズ元王太子が生きていたとしても、弟の素直さは変わらなかっただろうと母のレイアルズ公爵夫人は感じていた。兄も基本素直なのだが、少なくとも弟よりは人を疑うことを知っている。

 しかし・・・『いや、しかし』なのである。

 兄の場合、子どもたちのことが絡むとアワアワし始める。特に娘が離れて暮らした加減もあり、娘の恋愛事にも過敏になっていて兄は泣いたり笑ったり忙しかったのだ。思いっきり弱点は子どもたちですと公表しているようなもの。

 まぁ、でもそれが良い点なのでしょうね

と、ウィノアは養子に出した息子第一王子を見つめた。

 「ところでクラーク公爵。あなた、アドリウスの仕事は大丈夫なの?」

 「母上、最近はオリヴァーに仕事量を増やしているので大丈夫かと思いますよ。最もあいつヒーヒー言いながら駆け回ってるみたいだけどね。」

 「公爵。母上ではなくレイアルズ公爵夫人と呼びなさい。今は仕事中ですよ。確かに私からあなたに依頼しましたけどね。ウィルが回復するまで手伝えと。」

 「はい・・・。(悲しい)」

 「ちょっとクラーク公爵?その表情はなに?」

 「いえ、ナンデモアリマセン・・・」

 黙々と仕事を再開するクラーク公爵を監視する見つめるレイアルズ公爵夫人。

 

 やはりこの子は王の素質があるわね。本人の思いはともかく。
 くろりんに答えをださなくては。

 ウィノアは色々考えていた。
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