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リオールは衝撃を受けた
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数分前、マリアンヌに声をかけようとして悩んでいたリオール。そしてリオールの立ち位置からはマリアンヌが静かに切れた様子がわかり、なおかつカリナ伯爵令嬢の進行方向に軽く足を出したのが見えた。
ところでなぜリオールが学園に?
勿論、初恋を拗らせている令息は留学という形で学園に来たのである。
そして衝撃的な場面を見てしまったのだ。
令嬢達から見えない位置で敵を倒す。いや、文字通り転がったわけだが。
その衝撃的な場面は初恋が散る・・・・・のではなく、リオールは惚れ直してしまったのである。
実に堂々とした佇まい。それでいて計算高く敵の仲間の視界に入らない角度でリーダー格の令嬢をひっくり返す。
なんて頭のいい姫。しかも怒った理由がご自分への批難ではなく、義理の姉への悪口。
ああ、なんて優しい人なのだろう(おいおい)
王太子妃のためにこんな方法とってまで無礼を注意してくださるなんて(リオール、頭大丈夫か?)
マリアンヌの腹黒い部分が一瞬顔を出し、すぐ引っ込んだのだが、リオールは腹黒さすらも美化してしまう。
うっとりとリオールはマリアンヌを見つめていたが、マリアンヌが視線に気付き、顔を向けた。
「わっ!・・・リ、リオール令息?・・・もしかして、ご覧になってました?(引っ掛けた事を)」
マリアンヌが驚いた後、恐る恐る質問した。
「何をですか?マリアンヌ様。マリアンヌ様がお怒りになってる事は見てましたよ。お怒りには同意します。当事者でもない方々があること無いこと言うのは失礼かと。ましてやいつかは王妃となるシルヴィア王太子妃に対して。(私は何も見てません。言いません。)」
「あ、あの・・・。」
カリナ伯爵令嬢が無礼を承知の上で話しかける。
「申し訳ありませんでした!!!」
大きな声でそれだけ言うと、走り去り、取り巻きたちもお辞儀をして去っていった。
「あ。逃げられた・・・・・はぁ、後で兄様に報告してやる。」
マリアンヌが呟く。そして近寄ってきたリオールに視線を向ける。
「貴方が来た方角からは足を引っ掛けたこと見えていたはずでしょう?」
「何を仰るのですか。私は彼女達が有利になるようなものは見ません。一体何のことやら。」
「ふーん。見ていなかったのではなく見ませんとはね。貴方もなかなかだわ。」
「褒め言葉として受け取らせて頂きます。」
マリアンヌは目を大きく開き、その後ブッと吹き出し笑った。
ところでなぜリオールが学園に?
勿論、初恋を拗らせている令息は留学という形で学園に来たのである。
そして衝撃的な場面を見てしまったのだ。
令嬢達から見えない位置で敵を倒す。いや、文字通り転がったわけだが。
その衝撃的な場面は初恋が散る・・・・・のではなく、リオールは惚れ直してしまったのである。
実に堂々とした佇まい。それでいて計算高く敵の仲間の視界に入らない角度でリーダー格の令嬢をひっくり返す。
なんて頭のいい姫。しかも怒った理由がご自分への批難ではなく、義理の姉への悪口。
ああ、なんて優しい人なのだろう(おいおい)
王太子妃のためにこんな方法とってまで無礼を注意してくださるなんて(リオール、頭大丈夫か?)
マリアンヌの腹黒い部分が一瞬顔を出し、すぐ引っ込んだのだが、リオールは腹黒さすらも美化してしまう。
うっとりとリオールはマリアンヌを見つめていたが、マリアンヌが視線に気付き、顔を向けた。
「わっ!・・・リ、リオール令息?・・・もしかして、ご覧になってました?(引っ掛けた事を)」
マリアンヌが驚いた後、恐る恐る質問した。
「何をですか?マリアンヌ様。マリアンヌ様がお怒りになってる事は見てましたよ。お怒りには同意します。当事者でもない方々があること無いこと言うのは失礼かと。ましてやいつかは王妃となるシルヴィア王太子妃に対して。(私は何も見てません。言いません。)」
「あ、あの・・・。」
カリナ伯爵令嬢が無礼を承知の上で話しかける。
「申し訳ありませんでした!!!」
大きな声でそれだけ言うと、走り去り、取り巻きたちもお辞儀をして去っていった。
「あ。逃げられた・・・・・はぁ、後で兄様に報告してやる。」
マリアンヌが呟く。そして近寄ってきたリオールに視線を向ける。
「貴方が来た方角からは足を引っ掛けたこと見えていたはずでしょう?」
「何を仰るのですか。私は彼女達が有利になるようなものは見ません。一体何のことやら。」
「ふーん。見ていなかったのではなく見ませんとはね。貴方もなかなかだわ。」
「褒め言葉として受け取らせて頂きます。」
マリアンヌは目を大きく開き、その後ブッと吹き出し笑った。
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