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第三章 植物という名の命 石という名の子供

石は検査を望まない

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 「ねぇ、あなた。うちの長男と長女の姿が見えないのだけど?」

 少々不機嫌オーラを発している王妃に、何かあったのか聞いてはいけない予感がした西王は、疑問を飲み込み、2人は魔塔へ行った事を伝える。

 「もしあの子達が戻ったら私の書斎に来るように伝えておいて下さい。ジョーンズ、お前もよ。」

 急に自分に不機嫌オーラをふられ、ジョーンズは固まった。



           *



 「え?4ヶ月?」とディランが聞き直し、

 「は???」とアレックスが声を発し、2人揃って目が点点になっている。

 東の王妃はにっこり微笑み、

 「そう、4ヶ月。」とお腹を擦る。

 「ははうえ、何が4ヶ月なの?」

 セステオが不思議そうに首を傾げて王妃の側によってくる。

 「セステオがお兄様になるのよ。弟かな?妹かな?」

 少しの間が空いた後、「「「えー!!!!!」」」と、3人揃った叫び声が響き渡る。

 彼らの生活に一時的に平穏が戻ってきたところに何とも明るい報告である。

 「ち、父上は当然ご存知で?」

 ディランが質問すると

 「ついさっき。」と母。

 「ま、待って母上、つまり貴方は安定期前から普段通りに畑仕事やら店の手伝いやら、民の手伝いを?」

 アレックスがさぁーっと顔を青くして言った。

 「うん。疲れて溜まってたし、“あれ?アレが来ないなー?”とは思ったけど、吐き気もなかったし、少し体調不良かな位に思っててねぇ。」

 母の言い分にディラン、絶句。

 セステオがそうっと王妃のお腹に嬉しそうに頬を添える。

 「ははうえ、女の子です。妹です。」

 「あら。セステオは妹がいいの?」

 「そうじゃなくて、女の子なんです。」

 顔をあげ、確信を持ってセステオが言う。

 「何で女の子だってわかる?」

 アレックスが聞くが

 「え?だって女の子だもん。何でって言われてもわかんないよ。」

 セステオの持つ力が目を醒まし始めていた。



           *



 魔塔に保管されてる石は相変わらず静かにしていた。とても光の涙事件を起こしたとは思えない程。
 だが、実験や検査になると機器が不調になったり、研究室が突然冷えたり暑くなったり、まるで気を散らし、集中させないかのように何かが起きる。
 フォリーも時々立ち合う。そして石に触れると石が“やめて、止めてよ”と言ってるようなイメージが湧いてくる。まるで心を探らないでと言ってるかのように。
 そのため、フォリーは父に掛け合い、検査等の回数を更に減らすよう、石の苦痛を減らすように頼んだ。

 謎の緑石。未知のものにしたままで良いのか誰も判断ができない。

 しかし、今回はこの石の一部であったであろう石が手元に届いた。
 並べた時に何か起きるのだろうか?

 フォリーはそっと布から涙の形をした石を取り出した。
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