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第二章 光でも闇でもなく

ワイスの変化

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 フォリーが倒れてから3日が過ぎていた。その間クルーは保護施設と薬師達のところ、王妃のところへ忙しそうに動いていた。時間をみつけては国賓2人のところにも顔を出した。そして姫の意識が戻らない事に落胆しては多忙な時間の流れへ戻っていった。

 ジョーンズはフォリーの倒れた翌日にはファイアルに入国、入城した。城内に案内される道中、曲がり角で人とぶつかる様子に、たまたま見ていたディランがまたか、ジョーンズ、とため息をついていた。

 薬はコミヒが面会に来た日に徹夜で作成され、翌日には王妃の口に運ばれた。さらにその翌日には回復のスピードが、過去ワイスを用いて作られた薬と違うことが認識された。王妃だけなのか万人に対して同じ結果となるのか今後が注目となった。



          *


 「花が以前と違う?」

 ディランが眉間にシワを寄せて聞き返す。

 「ワイスは暑すぎるのは苦手で、涼しいところを好む。でもクリスタルから戻されたワイスは暑くても平気なようで・・・。以前よりも薬効も強くて。
 もしかして、コミヒ姫の・・・。」

 クルーが難しい顔で話す。
ディランが反論し始めた。

 「コミヒ姫の能力はあくまで見たとおり。性質を変えることはできないよ。」

 「ディラン王子、では何が変化をもたらしたのか思い当たるものは?
  貴方の国のクリスタル。貴方がセステオ王子を助け出した時、何か変わったものはなかったですか?」

 クルーが投げ掛け、ディランは別にと答えようとしたが、はっとした。

 セステオの瞳。クリスタルから解放され、みんなのところへ戻って、やがて眼を覚ましたあの子の瞳。
あの子は元はオッドアイではなかった。

 「・・・セステオ。」

 ディランは無意識に呟いた。

 「セステオ王子?彼に変化があったのですか?」

 「セステオの瞳。元々両眼とも同じ水色だったのに、意識の戻ったあの子の瞳は、緑色と水色のオッドアイになっていた。」

 「緑色・・・石の色と何か関係がありそうですね。」

 


           *



 ジョーンズは遠目で侍女の一人を観察していた。一見、平凡な女性。だが、たまに素人なりに気配を消そうとする様子があり、慣れないことをして挙動不審になる人と同じ動きが見れた。それでも普通に過ごしていくにはバレてない方だろう。
 だが、小さくともぎこちない動きが出てくるのは、姫の寝かされる部屋付近。

 「素人を相手にするのは面倒くさい。」

思わずジョーンズは素で呟いていた。


          *

 クルーが退室しようとした時、ベッドから声が聞こえた。ディランも慌ててフォリーのほうに目を向けた。
 明らかにうなされていた。

 「フォリー?大丈夫だよ。一人じゃないよ。側にいる。ジョーンズもこの国に来てるよ。」

 ディランがフォリーの頭を撫でながら声をかけるが、悪夢は終わらないようで、額から冷や汗が出ていた。

 クルーはこの時、突然、妙な空腹感と妙な嫌悪感に襲われていた。
 
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