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第二章 光でも闇でもなく

コミヒ姫の秘密

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 オーブ状の光が消えると植物が姿をみせた。根っこから花までとても生き生きとした植物。
白く可憐な花。

 「ワイスの花・・・」

 クルーが呟いた。
 植物を一気に成長させる魔法を見たことは何度もある。だが、コレは違う。あまりに違う。

 「魔法で無理矢理成長させた植物はひょろひょろで数日しか持ちません。もしくは魔法で成長させて直ぐに栄養等然るべき処置をすれば持ちこたえることもあります。でも、でも、コレはどういうことです?ひょろひょろではなく生き生きしてる。まるで今土から抜いたかのように!」

 「答えは後に。まだ終えてません。」

 コミヒが返事をした。

 「終えてない?」

 フーリーが呟く。
 再び手からオーブ状の光がでると、ワイスの花は散り始め、光が消えると種ができていた。
 クルーに見せて確認させるために、コミヒは花のあった部分、膨らんたところを割る。中から種がいくつも出てきた。
 その種を床に置き、コミヒが両手で種を手かざしし、両手から光が発せられ、大きな光となり、光が消えると床ですべての種が成長、蕾の状態になっていた。

 「取り急ぎこれ位あれば助けたい方のことが何とかなるかしら?ああ、全部健康な花たちよ。薬効も大丈夫。それに咲いた花より蕾のほうが薬の材料として薬効が高いのでしょう?」

 コミヒが微笑んだ。

 「健康?無理矢理成長させた植物は材料として使えますが、ご存知の通り、ひょろひょろで薬効成分は通常に育ったものの半分以下です。でもコレは何故?」

 クルーが質問を投げかけた。

 「これが私の能力。聞いたことがあるでしょう?『神のいたずら』と呼ばれる、何らかの力の持ち主が数名いて、どの力も持ち主が消えれば後継者が必ずあらわれる。私の能力がそのうちのひとつよ。
 でも余程の事がなければ使わない。特に私の力は普段必要ないタイプ。農産物だって育ててる人がいれば育つし、こんな力は必要ではない。力を使って儲けようとすれば産業が狂ってしまう。飢饉の時は必要となるけど、それも最低限よ。やってもらえばいいと多くが思うようになってしまったら色々崩れるのはわかるわよね?頼った結果、力の持ち主がそこから消えれば困るのは誰か。だから公表もしない。」

 「普通に魔力操作したら出来上がらない完璧な形が可能な力・・・・・」

 クルーはその後言葉が繋がらなかった。

 「他には言わないでね。世の中どうしても業突く張りさんがいらっしゃるから。使い方によっては戦争にもなる。
 それよりも、早くこの花を薬師に届けなさい。」

 最後の1言で我に返り、御礼を言い、クルーはお辞儀をすると花たちをフーリーと抱えて退室した。

 「ありがとうございます。」

 ディランがポツリと声を出す。

 「あら。あなたまで御礼を。関わった人達を自分たちの事のように心配するのはティラード王家の遺伝かしらね。ふふ。それより今からちょっと私の秘密について話すから落ち着いて聞いてね。フォリーのためにも。いえ、他の子たちのためにも。」

 「秘密?この能力は僕達は知ってますけど、悪用でもされたのですか?」

 「残念ながらこの能力ではないわ。」
 
コミヒの顔から笑顔が消え、緊張した空気になる。

 「先読みについては?」

コミヒが問う。

 「先読みは予知夢や虫の知らせ的なものは一般的に話に聞くことはあります。ビジョンが頭に浮かぶ者もいるとか。それよりも力があれば占い的なものを生業としてる者も。ただし共通しているのは、そんなに沢山みれず、断片的なものがほとんど。もしくは近未来を、一瞬視るだけ。」

 「そうね。ではその逆は?」

 「逆?何かに触れてそれの記憶を読むというものが稀にいるとかいないとか。」

 「・・・うん。確かに逆はその程度の話題しかないよね。」

 「コミヒ様?」

 「ディラン、私ね。先読みの真逆なの。」

 「記憶を、読む、ということですか?」

 「違う。『真逆』なの。私には『過去』が視える。」
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