孤独の華

その旅人は恐れられていた。善行をしてお礼を述べられても、皆同じように気味悪がる。拒否の言葉がきこえる。
 旅人を男と認識し、ほとんどの者が気付かなかった。本当は見目麗しい、可憐な女性であったことに。女性と気付かれても相手は態度を変えない。むしろ暴言は増える。

 ある日偶然旅人を目撃したカイルは一目で彼女の全てを自分の人生に受け入れたい程の衝撃を受ける。
 一方、もう一人のカイル・・ある国の王子は最愛の公爵令嬢の行方を探していた。

 令嬢もまた、王子の事を想っていた。だが、姿を消すことしかあの時は思いつかなかったのであった。
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