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04 最終話
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「それっていつのこと?!」
我慢できずに俺は尋ねた。ずっと嫌われていると思っていただけに、かなり驚いてしまったのだ。既に過去のことだとしても、やはり気になってしまう。
ドキドキしながら待つ俺にステファンが答えてくれた。
「初めて会った時のことだ。わたしはディノに一目惚れした。なんて可愛い子なんだろうと見惚れてしまった。おまえの酷い性格を知って、想いはすぐに封印したが」
「ああ……そうだったんだ。それは、まあ、うん、仕方ないよな。俺、本当に嫌な性格していたから」
そうだな、とステファンに肯定されて、俺は肩を落とす。そんな俺を見て小さく笑うと、ステファンは懐かしむように言った。
「昔はよく思っていた。おまえがもう少しでいいから常識的な人間であればいいと。人を思いやり、優しくできるようになればいいと。そうすれば好きになれるのにと、そう思っていた。消し去ったつもりでも、おまえに対する恋心は、ずっと胸の奥深くに 燻っていたんだろう」
「そうだったんだ……」
「だからこそ、おまえが友人と親密になっていく様を見て、わたしはいつも不快だった。見るな、触るなと、そう言ってやりたかった。わたしを差し置いて、なぜおまえたちがディノと仲良くするのだと、嫉妬や独占欲をたぎらせて、いつもイライラしてばかりいたんだ」
情けないな、と苦笑するステファン。
うん、なかなかの執着心だな。
けれど俺はそれを嫌とは思わなかった。嫉妬されるのも独占欲をむき出しにされるのも、それだけ深く愛されている証のような気がして、むしろ嬉しいと思ったくらいだ。
どうやら俺、好きな人からの執着を喜ぶタイプだったらしい。
「……っていうか、あれ? 性格が改善された今、もしかして俺はステファンにとって、理想的な相手に近かったりするのかな? 一目惚れするくらい、俺の見た目は気に入ってくれてるんだろう?」
「そうだな、今やおまえは誰よりも美しく、他人を気づかう優しさも持っている。まさにわたしの理想そのものだ」
「…………」
嬉しさと照れくささで頬が熱くなる。そんな俺の耳元でステファンが囁いた。
「だから今後、二度と他の誰にも触れさせない。おまえをわたしだけのものにする」
俺はステファンに抱きしめられた。すごい告白に胸を熱くしながらも、わたしだけのものにするってどういう意味だろうと不思議に思ったところで、御者が連絡窓をノックする音が聞こえた。
「坊ちゃん、そろそろお屋敷に到着致します」
「分かった」
俺の乱れた服装を手早く整えてくれながら、ステファンは言った。
「屋敷に着いたら、わたしの寝室でさっきの続きをするからな」
「さっきの続き?」
なんのことだと首を傾げる俺に、ステファンがきっぱりと答えた。
「おまえを抱く。初めてを奪って完全にわたしのものにする」
「ふええ?!」
俺は頭から湯気を吹き出す勢いで赤面しつつ、慌てて首を横に振った。
「なっ、だだ、だめだ、そんなこと! 結婚前なのに!!」
「なぜだ。わたしたちは既に成人している。なにも問題はないと思うが?」
言われて俺は思い出す。
この国では成人した婚約者同士は、婚姻式を済ませた夫婦と同等に扱われることが多い。成人した途端に同居する婚約者同士は珍しくないし、肉体関係を持つことも問題ない。むしろ、早く子ができるようにと推奨されているくらいだ。
俺たちは二人とも、一年前に成人している。
世間一般的に言えば、未だに俺が処女なことの方が異常なのだ。成人していながら性交していない婚約者同士は不仲であることが多いらしい。それは俺たちも同じで、ステファンから嫌われていたために、俺はこれまで清い体を維持できていたわけだ。
「もうローアン伯爵邸には戻さない。さっさと妊娠させて学園も辞めさせる。よそ見などできないくらい愛してやるから覚悟しておくといい」
不敵にそう言ったステファンは、その後、きっちり有言実行したのだった。
急にメルケンス公爵家で生活するようになったことを、俺の両親は反対どころか大いに喜んだ。成人しても関係を進展させない俺とステファンのことを、実は密かに心配していたらしい。
メルケンス家の公爵夫妻も、俺の同居を大歓迎してくれた。気を使わずに暮らせるようにと、既に立派な離れ家まで用意してくれていた。その離れ家で、俺たちは誰に憚ることなく子作りに励むことになったのである。
「あっ、そこっ……そこいいっ、気持ちいぃっ」
後孔の奥、俺が感じるところをステファンの張り出した亀頭でゴリゴリ擦られて、見悶えするほど気持ちがいい。
ベッドの上で四つん這いになった俺は、獣のように後ろからステファンに激しく突かれ、気が狂いそうなほどの愉悦の中で善がりまくっていた。
「あ――――っ、あああ――っっ!!」
「そんなに気持ちいいか、ディー?」
「はぁ……すごい……たまんない……んあっ」
ただ奥を突かれるだけでも堪らないのに、片足を持ち上げられ、最奥を 抉るようにステファンの怒張で犯されると、あまりに強すぎる快感に頭がおかしくなりそうで怖くなる。
「お尻っすごい……お尻の奥が気持ちいっ、ああ、すごいっ……はあンっ」
「はぁ、かわいいな、ディー。さあ、そろそろイき顔を見せてくれ」
ステファンは太くて長い陰茎で俺の奥を小刻みに攻めつつ、前に伸ばした手で俺のモノを激しく扱いた。
「ああ、だめっ、それされたらすぐに出るっ、ああっ、きもちいっ……すごいっ、イくっ、もうイくっ!! だめっ、やめて!」
「なんだ、イきたくないのか?」
俺は振り返ると、泣きながらステファンに訴えた。
「イきたい……けど、イくの勿体ない。ステファンに、もっとずっと俺の中にいてもらいたい。離れるの寂しい……あっ?!」
なぜか俺の中でステファンが大きさを増した。
「ああーっ、すごいっ、大きくて熱いのが奥をまたっ……っ!」
「おまえ……煽り過ぎだ!!」
「んっ、だって、あ……ふああっ、すごいよっ、すごいのクるっ!」
「終わってもまたすぐに挿入れてやるから、安心して何度でもイけ!」
二人の肌がぶつかり合う音が聞こえるたびに、俺の身体が大きく揺れる。奥の俺の大好きなところを集中的に何度も突かれ、俺は我慢できずに限界を迎えた。
「ああもうスゴい、ホントにすごいっ! 奥がっ、奥がぁあああっ、イくっ……イっんんんんあっっ!!」
「ぐっ」
俺の激しい絶頂のすぐ後で、ステファンも俺の中で大量に射精した。尻の奥が温かい。なんだかすごく幸せを感じる。
ずるり、とステファンが俺の中から陰茎を引き抜くと、寂しくて悲しくなった。
せめてキスがしたい、キスして欲しいとグッタリしながら思っていると、うつ伏せになっていた俺を起こしてくれたステファンが、俺の顔中にいっぱいキスしてくれて、最後には優しく唇にキスしてくれた。
包み込むように俺を抱きしめながら、ステファンが言う。
「愛してる、ディー」
「お、俺も……俺もステファンが大好き」
すごく幸せで、俺もステファンを抱きしめ返しながら、頬を胸に押し付けた。
男とセックスなんて本当にできるのか、なんて心配していた俺だったが、まったくの杞憂だった。ものすごく気持ち良くて最高で、今ではステファンとのセックスが大好きになった。
だからその気持ちを素直に伝えると、ステファンは嬉しそうに微笑みながら俺をまたベッドに引きずり込んだ。そして、そのまま朝まで抱き潰されたのである。
そんな幸せいっぱいの毎日を送っていたものだから、同居を始めて二ヵ月が過ぎた頃、俺はめでたく懐妊した。
男の俺が妊娠するなんて変な感じがしたけれど、お腹の中にステファンと俺の子供がいると思うと、幸せすぎて泣けてきた。早く生まれておいでと話しかけながら、すっかりお母さん気分でお腹を優しく撫でたりする。
ステファンもそんな俺を幸せそうに見つめながら、お腹を一緒に撫でてくれる。以前と比べると嘘のように今のステファンは俺に優しい。いつも一緒にいてくれて、事あるごとに愛を囁いてくれる。
妊娠が分かった俺はすぐに学園を退学させられ、ステファンとの婚姻式をあげることになった。そうして本物の家族になった俺たちは、数ヵ月後、玉のように美しい子共を授かったのである。
次々代のメルケンス公爵家の当主となるその男の子は、クリスチャンと名付けられた。
クリスはステファンにそっくりで、食べてしまいたいと思うくらいに可愛いらしい。何時間見つめていても少しも飽きない。
「クリスは本当に綺麗な顔をしてるなぁ、ステファンにそっくりだ。将来はきっと世界一の男前になるだろうね」
それを聞いていたステファンが、ムッとした顔で俺を抱きしめる。
「クリスが男前に育つことは当然だが、ディーにとっての世界一の男前は、いつだってわたしだろう?」
そんなくだらないことで拗ねるステファンが、俺には愛しくて仕方ない。
「それはそうだよ。俺にとってはステファンがいつでも一番カッコイイし、誰よりも愛している大切な人だ」
そう言うと、ステファンが蕩けるような甘い目で俺を見つめてくれた。そして耳元で「今夜も寝かせないからな、クリスにたくさん兄弟を作ってやろう」などと囁いてきて、俺の頬は赤くなってしまう。
異世界に転生して、しかも同性の婚約者に毛嫌いされていると知った時にはどうなることかと思ったものだ。
けれどもまあ、それなりに上手くやれているし、幸せだなあとしみじみ思うことも少なくない。ってことは、俺ってかなり良い人生を送れているんじゃないだろうか。
うん、異世界転生も悪くない、と、そんなことを思いながら、俺は最愛の夫に「今夜、楽しみにしてる」と囁きながら、にっこり笑いかけたのだった。
end
読んで下さってありがとうございました。
感謝いたします!!!
我慢できずに俺は尋ねた。ずっと嫌われていると思っていただけに、かなり驚いてしまったのだ。既に過去のことだとしても、やはり気になってしまう。
ドキドキしながら待つ俺にステファンが答えてくれた。
「初めて会った時のことだ。わたしはディノに一目惚れした。なんて可愛い子なんだろうと見惚れてしまった。おまえの酷い性格を知って、想いはすぐに封印したが」
「ああ……そうだったんだ。それは、まあ、うん、仕方ないよな。俺、本当に嫌な性格していたから」
そうだな、とステファンに肯定されて、俺は肩を落とす。そんな俺を見て小さく笑うと、ステファンは懐かしむように言った。
「昔はよく思っていた。おまえがもう少しでいいから常識的な人間であればいいと。人を思いやり、優しくできるようになればいいと。そうすれば好きになれるのにと、そう思っていた。消し去ったつもりでも、おまえに対する恋心は、ずっと胸の奥深くに 燻っていたんだろう」
「そうだったんだ……」
「だからこそ、おまえが友人と親密になっていく様を見て、わたしはいつも不快だった。見るな、触るなと、そう言ってやりたかった。わたしを差し置いて、なぜおまえたちがディノと仲良くするのだと、嫉妬や独占欲をたぎらせて、いつもイライラしてばかりいたんだ」
情けないな、と苦笑するステファン。
うん、なかなかの執着心だな。
けれど俺はそれを嫌とは思わなかった。嫉妬されるのも独占欲をむき出しにされるのも、それだけ深く愛されている証のような気がして、むしろ嬉しいと思ったくらいだ。
どうやら俺、好きな人からの執着を喜ぶタイプだったらしい。
「……っていうか、あれ? 性格が改善された今、もしかして俺はステファンにとって、理想的な相手に近かったりするのかな? 一目惚れするくらい、俺の見た目は気に入ってくれてるんだろう?」
「そうだな、今やおまえは誰よりも美しく、他人を気づかう優しさも持っている。まさにわたしの理想そのものだ」
「…………」
嬉しさと照れくささで頬が熱くなる。そんな俺の耳元でステファンが囁いた。
「だから今後、二度と他の誰にも触れさせない。おまえをわたしだけのものにする」
俺はステファンに抱きしめられた。すごい告白に胸を熱くしながらも、わたしだけのものにするってどういう意味だろうと不思議に思ったところで、御者が連絡窓をノックする音が聞こえた。
「坊ちゃん、そろそろお屋敷に到着致します」
「分かった」
俺の乱れた服装を手早く整えてくれながら、ステファンは言った。
「屋敷に着いたら、わたしの寝室でさっきの続きをするからな」
「さっきの続き?」
なんのことだと首を傾げる俺に、ステファンがきっぱりと答えた。
「おまえを抱く。初めてを奪って完全にわたしのものにする」
「ふええ?!」
俺は頭から湯気を吹き出す勢いで赤面しつつ、慌てて首を横に振った。
「なっ、だだ、だめだ、そんなこと! 結婚前なのに!!」
「なぜだ。わたしたちは既に成人している。なにも問題はないと思うが?」
言われて俺は思い出す。
この国では成人した婚約者同士は、婚姻式を済ませた夫婦と同等に扱われることが多い。成人した途端に同居する婚約者同士は珍しくないし、肉体関係を持つことも問題ない。むしろ、早く子ができるようにと推奨されているくらいだ。
俺たちは二人とも、一年前に成人している。
世間一般的に言えば、未だに俺が処女なことの方が異常なのだ。成人していながら性交していない婚約者同士は不仲であることが多いらしい。それは俺たちも同じで、ステファンから嫌われていたために、俺はこれまで清い体を維持できていたわけだ。
「もうローアン伯爵邸には戻さない。さっさと妊娠させて学園も辞めさせる。よそ見などできないくらい愛してやるから覚悟しておくといい」
不敵にそう言ったステファンは、その後、きっちり有言実行したのだった。
急にメルケンス公爵家で生活するようになったことを、俺の両親は反対どころか大いに喜んだ。成人しても関係を進展させない俺とステファンのことを、実は密かに心配していたらしい。
メルケンス家の公爵夫妻も、俺の同居を大歓迎してくれた。気を使わずに暮らせるようにと、既に立派な離れ家まで用意してくれていた。その離れ家で、俺たちは誰に憚ることなく子作りに励むことになったのである。
「あっ、そこっ……そこいいっ、気持ちいぃっ」
後孔の奥、俺が感じるところをステファンの張り出した亀頭でゴリゴリ擦られて、見悶えするほど気持ちがいい。
ベッドの上で四つん這いになった俺は、獣のように後ろからステファンに激しく突かれ、気が狂いそうなほどの愉悦の中で善がりまくっていた。
「あ――――っ、あああ――っっ!!」
「そんなに気持ちいいか、ディー?」
「はぁ……すごい……たまんない……んあっ」
ただ奥を突かれるだけでも堪らないのに、片足を持ち上げられ、最奥を 抉るようにステファンの怒張で犯されると、あまりに強すぎる快感に頭がおかしくなりそうで怖くなる。
「お尻っすごい……お尻の奥が気持ちいっ、ああ、すごいっ……はあンっ」
「はぁ、かわいいな、ディー。さあ、そろそろイき顔を見せてくれ」
ステファンは太くて長い陰茎で俺の奥を小刻みに攻めつつ、前に伸ばした手で俺のモノを激しく扱いた。
「ああ、だめっ、それされたらすぐに出るっ、ああっ、きもちいっ……すごいっ、イくっ、もうイくっ!! だめっ、やめて!」
「なんだ、イきたくないのか?」
俺は振り返ると、泣きながらステファンに訴えた。
「イきたい……けど、イくの勿体ない。ステファンに、もっとずっと俺の中にいてもらいたい。離れるの寂しい……あっ?!」
なぜか俺の中でステファンが大きさを増した。
「ああーっ、すごいっ、大きくて熱いのが奥をまたっ……っ!」
「おまえ……煽り過ぎだ!!」
「んっ、だって、あ……ふああっ、すごいよっ、すごいのクるっ!」
「終わってもまたすぐに挿入れてやるから、安心して何度でもイけ!」
二人の肌がぶつかり合う音が聞こえるたびに、俺の身体が大きく揺れる。奥の俺の大好きなところを集中的に何度も突かれ、俺は我慢できずに限界を迎えた。
「ああもうスゴい、ホントにすごいっ! 奥がっ、奥がぁあああっ、イくっ……イっんんんんあっっ!!」
「ぐっ」
俺の激しい絶頂のすぐ後で、ステファンも俺の中で大量に射精した。尻の奥が温かい。なんだかすごく幸せを感じる。
ずるり、とステファンが俺の中から陰茎を引き抜くと、寂しくて悲しくなった。
せめてキスがしたい、キスして欲しいとグッタリしながら思っていると、うつ伏せになっていた俺を起こしてくれたステファンが、俺の顔中にいっぱいキスしてくれて、最後には優しく唇にキスしてくれた。
包み込むように俺を抱きしめながら、ステファンが言う。
「愛してる、ディー」
「お、俺も……俺もステファンが大好き」
すごく幸せで、俺もステファンを抱きしめ返しながら、頬を胸に押し付けた。
男とセックスなんて本当にできるのか、なんて心配していた俺だったが、まったくの杞憂だった。ものすごく気持ち良くて最高で、今ではステファンとのセックスが大好きになった。
だからその気持ちを素直に伝えると、ステファンは嬉しそうに微笑みながら俺をまたベッドに引きずり込んだ。そして、そのまま朝まで抱き潰されたのである。
そんな幸せいっぱいの毎日を送っていたものだから、同居を始めて二ヵ月が過ぎた頃、俺はめでたく懐妊した。
男の俺が妊娠するなんて変な感じがしたけれど、お腹の中にステファンと俺の子供がいると思うと、幸せすぎて泣けてきた。早く生まれておいでと話しかけながら、すっかりお母さん気分でお腹を優しく撫でたりする。
ステファンもそんな俺を幸せそうに見つめながら、お腹を一緒に撫でてくれる。以前と比べると嘘のように今のステファンは俺に優しい。いつも一緒にいてくれて、事あるごとに愛を囁いてくれる。
妊娠が分かった俺はすぐに学園を退学させられ、ステファンとの婚姻式をあげることになった。そうして本物の家族になった俺たちは、数ヵ月後、玉のように美しい子共を授かったのである。
次々代のメルケンス公爵家の当主となるその男の子は、クリスチャンと名付けられた。
クリスはステファンにそっくりで、食べてしまいたいと思うくらいに可愛いらしい。何時間見つめていても少しも飽きない。
「クリスは本当に綺麗な顔をしてるなぁ、ステファンにそっくりだ。将来はきっと世界一の男前になるだろうね」
それを聞いていたステファンが、ムッとした顔で俺を抱きしめる。
「クリスが男前に育つことは当然だが、ディーにとっての世界一の男前は、いつだってわたしだろう?」
そんなくだらないことで拗ねるステファンが、俺には愛しくて仕方ない。
「それはそうだよ。俺にとってはステファンがいつでも一番カッコイイし、誰よりも愛している大切な人だ」
そう言うと、ステファンが蕩けるような甘い目で俺を見つめてくれた。そして耳元で「今夜も寝かせないからな、クリスにたくさん兄弟を作ってやろう」などと囁いてきて、俺の頬は赤くなってしまう。
異世界に転生して、しかも同性の婚約者に毛嫌いされていると知った時にはどうなることかと思ったものだ。
けれどもまあ、それなりに上手くやれているし、幸せだなあとしみじみ思うことも少なくない。ってことは、俺ってかなり良い人生を送れているんじゃないだろうか。
うん、異世界転生も悪くない、と、そんなことを思いながら、俺は最愛の夫に「今夜、楽しみにしてる」と囁きながら、にっこり笑いかけたのだった。
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