【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

うずみどり

文字の大きさ
上 下
169 / 194

84.秘薬完成よりご無沙汰だったアレー1(R−18)

しおりを挟む
 俺は国王に献上する秘薬をとうとう完成させた。

「イ、イチヤ……これは危険だ!」
 産まれたての子鹿のように脚をプルプルと震えさせながらそう言ったのは、度重なるプロテインの摂取と筋トレによりすっかり様変わりしたアーロンだった。

「そんなにヤバイ?」
「歩くだけで激痛が走る」
 う~ん、特級の痛みにも耐えられるアーロンが激痛と言うのだから、これは相当に痛いのだろう。
 こんなものを本当に国王に献上しちゃっても大丈夫かな?

「イチヤ、私が飲んでみよう」
 ロクがそう言い、止める間もなく水に溶かした焼肉味のプロテインを飲み干した。

「クッ、これは……」
「ちょ、大丈夫か? 他のプロテインも飲んだことない癖に、いきなり秘薬を飲むなんて!」
 そう無鉄砲なロクを責めたら味がイマイチだと言われた。

「え? 甘いのばかりだと飽きると思って、焼肉味にしたんだけどイマイチだった? チーズ味の方が良かったかなぁ」
「味の問題じゃないだろっ! ロクサーン侯爵はあれを飲んで動けるのか!?」
 アーロンが両手を前に突き出して中腰になった情けない格好で声を上げた。

「アーロン、面白い格好だね。それって楽なの?」
「そうだ。それよりロクサーン侯爵!」
「多分、チヤと同じだ。私にプロテインは効かない」
「神格があるから解毒しちゃうとか、そういうことかな?」
「恐らくな」
 それを聞いて、俺はこっそりと胸を撫で下ろした。
 全身が鋼みたいなロクの身体は好きだけれど、プロテインで筋肉がモリモリになったらちょっと嫌だなと思っていたんだ。

「効かないなら丁度良い。国王の前で毒味して見せてよ」
「必要か?」
「これだけの強さだからね。普通の毒味係が飲んだら倒れちゃうかもしれないし、そうしたら毒だと判断されるだろう。ロクが飲んで平気なところを見せて、初級から慣らして身体を作り込まないと耐えられないと説明した方が良いよ」
 そうすればロクが物凄く強いんだとわかって貰えるしね。

「確かに、毒味係は人間だから、到底耐えられまい」
「うわ、それは下手したら死んじゃうよ」
 俺と違ってこちらの人間じゃ純血じゃない所為かプロテインが効くのだけど、獣人より身体に負担が大きい。
 これは純粋に筋肉量が少ないからじゃないかと思っている。

「量産化の目処も立ったし、領内で販売を開始したいけどそれには先に国王へ知らせる必要がある。国王の為の秘薬を作ると約束したのに、同じものを先に販売したりしたら間違いなく機嫌を損ねるだろうからね」
「チヤも随分と貴族らしい考え方が出来るようになったじゃないか」
「茶化さないでよ。俺だってそのくらいの予測はつくよ」
 俺はロクのからかうような表情を見ながら口を尖らせ、拗ねたフリをしつつも内心ではドキドキしていた。
 このところ忙しくてロクとイチャイチャしていなかったけど、こんな風にドキッとする表情を見てしまうと途端にもっと構って欲しい、可愛がって欲しいという気持ちが湧いてくる。
 ロクにからかわれて、意地悪を言われて、甘噛みされて深く舌を絡め合いたい。

「ロク……」
「チヤ?」
 畜生、低い声すら胸を震わせる。ロクは一瞬で俺をその気にさせる天才だ。

「ロク、は……プロテインが効かなくて、残念じゃない?」
「うん? 肉体を変化させることに興味はないな。チヤが巨大な身体に抱かれたいというなら考えるが」
 わざと耳元で囁かれて胸がギュッと痛くなる。
 でっかいロクの膝の上に抱かれて、自由を奪われて好き勝手に弄られたことを思い出した。
 子供みたいに悪戯されて、いいように鳴かされて恥ずかしい痴態を全部見られて、最後は持ち上げた身体を屹立する杭の上に降ろされた。
 自重でずっぷりと根本まで飲み込んだのを思い出して後ろがヒクヒクと疼く。
 そこが物足りなくて、寂しくて堪らない。
 早く熱いのを挿れて欲しい。ロクのじわりと濡れた先っぽをくっつけて、軽く抜き差しして俺の蕾を解して、ねちょっと吸い付いた粘膜を擦りながらナカに入ってきて欲しい。身体の内側を擦り上げて欲しい。

「ロク……」
 俺は疼いて堪らない身体を抱き締め、浅ましくロクを求めて視線を送った。
 それを見てロクは最上級の餌が転がり込んできたかのように笑った。

(ああ、こんな獰猛な獣じみたロクも好きだ)
 俺は自分の性欲に支配されて動くことも出来ず、忙しない呼吸を吐きながらロクに早く早くと祈った。

「チヤ、前を開けろ」
 ロクの命令に震える手でズボンの前を開き、期待にズクズクと脈打っているイチモツを取り出した。

「擦れ」
「……ッ!」
 俺はまだアーロンがいるのに、両手で握り締めたモノを根元から先端に向かって絞り上げるようにギュウと絞った。

「そんなに力任せにしたら痛いだろう?」
 痛くてもいい。今は一刻も早くこの狂おしい熱を絞り出したい。

「チヤ、先端を指で弄れ」
「クッ!」
 俺は泣きそうになりながら先端を指先で抉った。
 強すぎる刺激に身体がガクガクと震え、ピピッと薄い液体が飛び散ったが手を止めることは出来ない。
 ロクが見ているから。ロクが俺の痴態を見たいと言うから。

「チヤ、もう少し入るだろう?」
「ンッ!」
 ロクの言葉にボロボロと泣きながら指先をねじ込む。
 痛いのに、俺の分身は腹に付きそうなほど反り返ってダラダラと先走りを垂らしている。

「ロク……」
「どうして欲しい?」
 そんなの決まってる。

「……噛んで」
 泣き過ぎてグチャグチャになった顔でそう頼んだら、ロクが俺をヒョイと持ち上げて股間に齧り付いた。

「ひゃうっ!」
 クチュクチュと口の中で揉みくちゃにされ、俺はロクの口の中に激しく射精した。
 出ている最中も甘噛みをされ、きつく吸われて前が取れそうに気持ちいい。

「ロクッ、ロクッ! 出ちゃう、出ちゃ――」
 前からプシップシッと薄い液体が噴出し、後ろがナカから潤ってクチクチと音を立てているのを感じる。

「ロク、後ろも舐めて欲し……」
「アーロンに見られてもいいのか?」
 ロクの言葉にアーロンの存在を思い出す。
 すっかり頭から消えていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

処理中です...