161 / 194
80.検証作業−1(R−18)
しおりを挟む
「イチヤ様、お帰りなさいませ!」
「イチヤ様! ご無事で良かったです!」
「イチヤ様、イチヤ様っ!」
「よくお戻りなさいました」
領地に帰ったら使用人たちに口々に声を掛けられ、ちょっとうるっと来てしまった。
出会った当初は誰もが俺を胡散臭いものを見るような目で見ていたし、立派な黒豹型獣人の隣を歩くあのチンチクリンは何だろうって顔をされていたのに。
わかるよ。俺が異世界から召喚された人間だなんて皆は知らなかったんだから、初めて見る純血種の姿に相当に面食らっただろう。
言いたいことも、聞きたいことも、いっぱいあっただろうと思うよ。
(なのに自分たちの主人が大事にしているから、誰も何も言えなかった。おまけに二人して直ぐに行方をくらませた)
この人たちは俺に不信感を持っていても当然なのに、こうやって喜んで貰えるなんて。
俺は本当に幸せ者だ。
「イチヤ! 美味そうな匂いがするっ!」
空からバサバサと羽ばたく音がして、大きな鳥型獣人が抱き付いてきた。
「わっ! ヤメロよっ!」
羽毛布団が何枚も作れそうなむっくむくの羽根でむせ返りそうになる。
国王ほど怖くはないけど、こうして触れられるとやっぱり鳥って感じが苦手だった。
「前よりももっと良い匂いになった!」
アーロンにふんふんと匂いを嗅がれて、俺はその理由に思い当たる。
異世界の、元の世界の神の助けを借りたから俺に何らかの加護が付いたか、その残滓だろう。
神との関わりは人に強い影響を及ぼす。
「アーロン、それは私の番だと言ってるだろう。手を出してはいけないと、何度言われたら覚えるんだ?」
ロクに後ろから襟首をむんずと掴まれてアーロンが暴れる。
生まれながらの戦闘民族であるコンドル型獣人もロクに掛かったら形無しだ。
「俺はちょっと味見をしたかっただけだっ!」
「ちょっとだろうがなんだろうが許さん!」
「一口だけっ!」
「叩き斬ってくれる!」
珍しくロクが頭から湯気を噴く勢いで怒っているけれど、その隙に今度はエミールが近付いてきた。
「イチヤ様、異世界の神との交わりを聞かせて頂きたい」
「交わりって、別に迎え入れられたとかそういうことじゃないよ?」
「それでもあなたの身体に影響があったのでしょう?」
「ん~、多分?」
自分ではよくわからないが、匂いの変化もあったみたいだし検証してみる必要がある。
それに、神に押されてこっちの世界に戻ってくる時、奇妙な感覚があった。
もしかしたらその時に何かをされているかもしれない。
「一人でするよりも手伝いがあった方がよりはっきりとしますよ」
「そう、なんだけど……」
俺の場合はロクみたいに外見の変化よりも内面の変化が激しいから、食べられるかお供に力を引き出して貰う方がいい。
「他の人と確認をする気はない。後で相談には乗って貰うけど……」
「わかりました。結果を楽しみにお待ちします」
そう言うとエミールが優雅に一礼をして引き下がった。
俺はアーロンをポイッと放り捨てていたロクと目があってしまい、ボンッと頭に血が上る。
(検証の為なんだから……)
そうは思ってもロクに身体中を弄り回されて啜られると思うと興奮してしまう。
早く恥ずかしい格好をしたくて、ロクの手で拡げて暴いて欲しくて、口づけて吸い上げて跡を付けて欲しい。
俺は自らの欲望に目が霞み、熱に上擦った眼差しでロクを見つめた。
「……ロク、俺を開いて」
魚の開きみたいに中まで全部開いて見て欲しい。
「味も確認するぞ」
そう言ってべろりと舌を出して自分の指を舐めて見せたロクがいやらしくて格好良い。
俺はちょっと強引で、ちょっと意地悪なロクが大好きだ。
「ロク、想像だけで、もう……」
俺はナカに舌を挿れられてコリコリと襞を抉られる想像をしただけで、じゅんとそこが濡れてしまった。
下からむわっと饐えたような甘い匂いが立ち昇ってきて息が乱れる。
この恥ずかしい匂いは俺が発情している証拠だ。
「チヤ、もう少し我慢しろ。他の獣人が正気でいられなくなる」
「だったら早く!」
俺はロクに抱き上げられ、懐に隠すように腕を回されて寝室に連れ込まれる。
懐かしい、ロクの天蓋付きのベッド。
何度も抱かれて、奥での快感を教え込まれた場所。
ロクの腕に頭を載せ、素肌を寄せ合って眠る心地好さを知った。
勿論、ちょっとしたお仕置きだって暴走だってこの上でした。
「身体を見るなら、寝そべるよりも立っていた方がいいよね?」
「全て脱いで、脚を開け」
「脚を?」
「見たいんだ」
「……ッ!」
俺は恥ずかしさにヒクッと小さくしゃくりあげ、それから言われた通りに全て脱ぎ去ってそろそろと脚を開いた。
「イチヤ様! ご無事で良かったです!」
「イチヤ様、イチヤ様っ!」
「よくお戻りなさいました」
領地に帰ったら使用人たちに口々に声を掛けられ、ちょっとうるっと来てしまった。
出会った当初は誰もが俺を胡散臭いものを見るような目で見ていたし、立派な黒豹型獣人の隣を歩くあのチンチクリンは何だろうって顔をされていたのに。
わかるよ。俺が異世界から召喚された人間だなんて皆は知らなかったんだから、初めて見る純血種の姿に相当に面食らっただろう。
言いたいことも、聞きたいことも、いっぱいあっただろうと思うよ。
(なのに自分たちの主人が大事にしているから、誰も何も言えなかった。おまけに二人して直ぐに行方をくらませた)
この人たちは俺に不信感を持っていても当然なのに、こうやって喜んで貰えるなんて。
俺は本当に幸せ者だ。
「イチヤ! 美味そうな匂いがするっ!」
空からバサバサと羽ばたく音がして、大きな鳥型獣人が抱き付いてきた。
「わっ! ヤメロよっ!」
羽毛布団が何枚も作れそうなむっくむくの羽根でむせ返りそうになる。
国王ほど怖くはないけど、こうして触れられるとやっぱり鳥って感じが苦手だった。
「前よりももっと良い匂いになった!」
アーロンにふんふんと匂いを嗅がれて、俺はその理由に思い当たる。
異世界の、元の世界の神の助けを借りたから俺に何らかの加護が付いたか、その残滓だろう。
神との関わりは人に強い影響を及ぼす。
「アーロン、それは私の番だと言ってるだろう。手を出してはいけないと、何度言われたら覚えるんだ?」
ロクに後ろから襟首をむんずと掴まれてアーロンが暴れる。
生まれながらの戦闘民族であるコンドル型獣人もロクに掛かったら形無しだ。
「俺はちょっと味見をしたかっただけだっ!」
「ちょっとだろうがなんだろうが許さん!」
「一口だけっ!」
「叩き斬ってくれる!」
珍しくロクが頭から湯気を噴く勢いで怒っているけれど、その隙に今度はエミールが近付いてきた。
「イチヤ様、異世界の神との交わりを聞かせて頂きたい」
「交わりって、別に迎え入れられたとかそういうことじゃないよ?」
「それでもあなたの身体に影響があったのでしょう?」
「ん~、多分?」
自分ではよくわからないが、匂いの変化もあったみたいだし検証してみる必要がある。
それに、神に押されてこっちの世界に戻ってくる時、奇妙な感覚があった。
もしかしたらその時に何かをされているかもしれない。
「一人でするよりも手伝いがあった方がよりはっきりとしますよ」
「そう、なんだけど……」
俺の場合はロクみたいに外見の変化よりも内面の変化が激しいから、食べられるかお供に力を引き出して貰う方がいい。
「他の人と確認をする気はない。後で相談には乗って貰うけど……」
「わかりました。結果を楽しみにお待ちします」
そう言うとエミールが優雅に一礼をして引き下がった。
俺はアーロンをポイッと放り捨てていたロクと目があってしまい、ボンッと頭に血が上る。
(検証の為なんだから……)
そうは思ってもロクに身体中を弄り回されて啜られると思うと興奮してしまう。
早く恥ずかしい格好をしたくて、ロクの手で拡げて暴いて欲しくて、口づけて吸い上げて跡を付けて欲しい。
俺は自らの欲望に目が霞み、熱に上擦った眼差しでロクを見つめた。
「……ロク、俺を開いて」
魚の開きみたいに中まで全部開いて見て欲しい。
「味も確認するぞ」
そう言ってべろりと舌を出して自分の指を舐めて見せたロクがいやらしくて格好良い。
俺はちょっと強引で、ちょっと意地悪なロクが大好きだ。
「ロク、想像だけで、もう……」
俺はナカに舌を挿れられてコリコリと襞を抉られる想像をしただけで、じゅんとそこが濡れてしまった。
下からむわっと饐えたような甘い匂いが立ち昇ってきて息が乱れる。
この恥ずかしい匂いは俺が発情している証拠だ。
「チヤ、もう少し我慢しろ。他の獣人が正気でいられなくなる」
「だったら早く!」
俺はロクに抱き上げられ、懐に隠すように腕を回されて寝室に連れ込まれる。
懐かしい、ロクの天蓋付きのベッド。
何度も抱かれて、奥での快感を教え込まれた場所。
ロクの腕に頭を載せ、素肌を寄せ合って眠る心地好さを知った。
勿論、ちょっとしたお仕置きだって暴走だってこの上でした。
「身体を見るなら、寝そべるよりも立っていた方がいいよね?」
「全て脱いで、脚を開け」
「脚を?」
「見たいんだ」
「……ッ!」
俺は恥ずかしさにヒクッと小さくしゃくりあげ、それから言われた通りに全て脱ぎ去ってそろそろと脚を開いた。
0
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる