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80.検証作業−1(R−18)
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「イチヤ様、お帰りなさいませ!」
「イチヤ様! ご無事で良かったです!」
「イチヤ様、イチヤ様っ!」
「よくお戻りなさいました」
領地に帰ったら使用人たちに口々に声を掛けられ、ちょっとうるっと来てしまった。
出会った当初は誰もが俺を胡散臭いものを見るような目で見ていたし、立派な黒豹型獣人の隣を歩くあのチンチクリンは何だろうって顔をされていたのに。
わかるよ。俺が異世界から召喚された人間だなんて皆は知らなかったんだから、初めて見る純血種の姿に相当に面食らっただろう。
言いたいことも、聞きたいことも、いっぱいあっただろうと思うよ。
(なのに自分たちの主人が大事にしているから、誰も何も言えなかった。おまけに二人して直ぐに行方をくらませた)
この人たちは俺に不信感を持っていても当然なのに、こうやって喜んで貰えるなんて。
俺は本当に幸せ者だ。
「イチヤ! 美味そうな匂いがするっ!」
空からバサバサと羽ばたく音がして、大きな鳥型獣人が抱き付いてきた。
「わっ! ヤメロよっ!」
羽毛布団が何枚も作れそうなむっくむくの羽根でむせ返りそうになる。
国王ほど怖くはないけど、こうして触れられるとやっぱり鳥って感じが苦手だった。
「前よりももっと良い匂いになった!」
アーロンにふんふんと匂いを嗅がれて、俺はその理由に思い当たる。
異世界の、元の世界の神の助けを借りたから俺に何らかの加護が付いたか、その残滓だろう。
神との関わりは人に強い影響を及ぼす。
「アーロン、それは私の番だと言ってるだろう。手を出してはいけないと、何度言われたら覚えるんだ?」
ロクに後ろから襟首をむんずと掴まれてアーロンが暴れる。
生まれながらの戦闘民族であるコンドル型獣人もロクに掛かったら形無しだ。
「俺はちょっと味見をしたかっただけだっ!」
「ちょっとだろうがなんだろうが許さん!」
「一口だけっ!」
「叩き斬ってくれる!」
珍しくロクが頭から湯気を噴く勢いで怒っているけれど、その隙に今度はエミールが近付いてきた。
「イチヤ様、異世界の神との交わりを聞かせて頂きたい」
「交わりって、別に迎え入れられたとかそういうことじゃないよ?」
「それでもあなたの身体に影響があったのでしょう?」
「ん~、多分?」
自分ではよくわからないが、匂いの変化もあったみたいだし検証してみる必要がある。
それに、神に押されてこっちの世界に戻ってくる時、奇妙な感覚があった。
もしかしたらその時に何かをされているかもしれない。
「一人でするよりも手伝いがあった方がよりはっきりとしますよ」
「そう、なんだけど……」
俺の場合はロクみたいに外見の変化よりも内面の変化が激しいから、食べられるかお供に力を引き出して貰う方がいい。
「他の人と確認をする気はない。後で相談には乗って貰うけど……」
「わかりました。結果を楽しみにお待ちします」
そう言うとエミールが優雅に一礼をして引き下がった。
俺はアーロンをポイッと放り捨てていたロクと目があってしまい、ボンッと頭に血が上る。
(検証の為なんだから……)
そうは思ってもロクに身体中を弄り回されて啜られると思うと興奮してしまう。
早く恥ずかしい格好をしたくて、ロクの手で拡げて暴いて欲しくて、口づけて吸い上げて跡を付けて欲しい。
俺は自らの欲望に目が霞み、熱に上擦った眼差しでロクを見つめた。
「……ロク、俺を開いて」
魚の開きみたいに中まで全部開いて見て欲しい。
「味も確認するぞ」
そう言ってべろりと舌を出して自分の指を舐めて見せたロクがいやらしくて格好良い。
俺はちょっと強引で、ちょっと意地悪なロクが大好きだ。
「ロク、想像だけで、もう……」
俺はナカに舌を挿れられてコリコリと襞を抉られる想像をしただけで、じゅんとそこが濡れてしまった。
下からむわっと饐えたような甘い匂いが立ち昇ってきて息が乱れる。
この恥ずかしい匂いは俺が発情している証拠だ。
「チヤ、もう少し我慢しろ。他の獣人が正気でいられなくなる」
「だったら早く!」
俺はロクに抱き上げられ、懐に隠すように腕を回されて寝室に連れ込まれる。
懐かしい、ロクの天蓋付きのベッド。
何度も抱かれて、奥での快感を教え込まれた場所。
ロクの腕に頭を載せ、素肌を寄せ合って眠る心地好さを知った。
勿論、ちょっとしたお仕置きだって暴走だってこの上でした。
「身体を見るなら、寝そべるよりも立っていた方がいいよね?」
「全て脱いで、脚を開け」
「脚を?」
「見たいんだ」
「……ッ!」
俺は恥ずかしさにヒクッと小さくしゃくりあげ、それから言われた通りに全て脱ぎ去ってそろそろと脚を開いた。
「イチヤ様! ご無事で良かったです!」
「イチヤ様、イチヤ様っ!」
「よくお戻りなさいました」
領地に帰ったら使用人たちに口々に声を掛けられ、ちょっとうるっと来てしまった。
出会った当初は誰もが俺を胡散臭いものを見るような目で見ていたし、立派な黒豹型獣人の隣を歩くあのチンチクリンは何だろうって顔をされていたのに。
わかるよ。俺が異世界から召喚された人間だなんて皆は知らなかったんだから、初めて見る純血種の姿に相当に面食らっただろう。
言いたいことも、聞きたいことも、いっぱいあっただろうと思うよ。
(なのに自分たちの主人が大事にしているから、誰も何も言えなかった。おまけに二人して直ぐに行方をくらませた)
この人たちは俺に不信感を持っていても当然なのに、こうやって喜んで貰えるなんて。
俺は本当に幸せ者だ。
「イチヤ! 美味そうな匂いがするっ!」
空からバサバサと羽ばたく音がして、大きな鳥型獣人が抱き付いてきた。
「わっ! ヤメロよっ!」
羽毛布団が何枚も作れそうなむっくむくの羽根でむせ返りそうになる。
国王ほど怖くはないけど、こうして触れられるとやっぱり鳥って感じが苦手だった。
「前よりももっと良い匂いになった!」
アーロンにふんふんと匂いを嗅がれて、俺はその理由に思い当たる。
異世界の、元の世界の神の助けを借りたから俺に何らかの加護が付いたか、その残滓だろう。
神との関わりは人に強い影響を及ぼす。
「アーロン、それは私の番だと言ってるだろう。手を出してはいけないと、何度言われたら覚えるんだ?」
ロクに後ろから襟首をむんずと掴まれてアーロンが暴れる。
生まれながらの戦闘民族であるコンドル型獣人もロクに掛かったら形無しだ。
「俺はちょっと味見をしたかっただけだっ!」
「ちょっとだろうがなんだろうが許さん!」
「一口だけっ!」
「叩き斬ってくれる!」
珍しくロクが頭から湯気を噴く勢いで怒っているけれど、その隙に今度はエミールが近付いてきた。
「イチヤ様、異世界の神との交わりを聞かせて頂きたい」
「交わりって、別に迎え入れられたとかそういうことじゃないよ?」
「それでもあなたの身体に影響があったのでしょう?」
「ん~、多分?」
自分ではよくわからないが、匂いの変化もあったみたいだし検証してみる必要がある。
それに、神に押されてこっちの世界に戻ってくる時、奇妙な感覚があった。
もしかしたらその時に何かをされているかもしれない。
「一人でするよりも手伝いがあった方がよりはっきりとしますよ」
「そう、なんだけど……」
俺の場合はロクみたいに外見の変化よりも内面の変化が激しいから、食べられるかお供に力を引き出して貰う方がいい。
「他の人と確認をする気はない。後で相談には乗って貰うけど……」
「わかりました。結果を楽しみにお待ちします」
そう言うとエミールが優雅に一礼をして引き下がった。
俺はアーロンをポイッと放り捨てていたロクと目があってしまい、ボンッと頭に血が上る。
(検証の為なんだから……)
そうは思ってもロクに身体中を弄り回されて啜られると思うと興奮してしまう。
早く恥ずかしい格好をしたくて、ロクの手で拡げて暴いて欲しくて、口づけて吸い上げて跡を付けて欲しい。
俺は自らの欲望に目が霞み、熱に上擦った眼差しでロクを見つめた。
「……ロク、俺を開いて」
魚の開きみたいに中まで全部開いて見て欲しい。
「味も確認するぞ」
そう言ってべろりと舌を出して自分の指を舐めて見せたロクがいやらしくて格好良い。
俺はちょっと強引で、ちょっと意地悪なロクが大好きだ。
「ロク、想像だけで、もう……」
俺はナカに舌を挿れられてコリコリと襞を抉られる想像をしただけで、じゅんとそこが濡れてしまった。
下からむわっと饐えたような甘い匂いが立ち昇ってきて息が乱れる。
この恥ずかしい匂いは俺が発情している証拠だ。
「チヤ、もう少し我慢しろ。他の獣人が正気でいられなくなる」
「だったら早く!」
俺はロクに抱き上げられ、懐に隠すように腕を回されて寝室に連れ込まれる。
懐かしい、ロクの天蓋付きのベッド。
何度も抱かれて、奥での快感を教え込まれた場所。
ロクの腕に頭を載せ、素肌を寄せ合って眠る心地好さを知った。
勿論、ちょっとしたお仕置きだって暴走だってこの上でした。
「身体を見るなら、寝そべるよりも立っていた方がいいよね?」
「全て脱いで、脚を開け」
「脚を?」
「見たいんだ」
「……ッ!」
俺は恥ずかしさにヒクッと小さくしゃくりあげ、それから言われた通りに全て脱ぎ去ってそろそろと脚を開いた。
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