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59.万能薬は万能だった―1
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足元からカラカラと岩の欠片が転がっていく。
ちょっと目線を上げれば切り立った断崖絶壁が見えるし、風は強いし空気は薄い。
(こんなところに本当に集落があるのか?)
そう思ったけれど、日本の落武者だって相当酷いところに住んでいたって言うからね。
権力争いに破れたコンドルの獣人たちが、他の種族では住めない場所に住み着いたのは自然なことかもしれない。
(それにしても……アーロンはどうして諦めないんだよっ!)
アーロンは俺たちを連れて行くのを嫌がった。
そしてその割りには俺の匂いが気になるのか、頻りに近付いてはフンフンと匂いを嗅いだ。
ロクが追い払っても、牽制しても、気が付くと直ぐ近くに寄ってきている。
(そんなに気になるなら、いっそメープルシロップを口に突っ込んでやりたい!)
そう思ったけど、匂いを嗅ぎ付けられないようにと甘いものは持ってこなかった。
それにそうホイホイと他人にあげられる量もない。
(はぁ、早く好きなだけ甘いものを食べたいよ)
俺は砂糖が解禁になったら、まずは生クリームを作る。
生クリームをたっぷりとのせたシフォンケーキ。それか薄くスライスしたパンにたっぷりと挟んで生クリームサンドにする。
本当はフルーツを挟んでフルーツサンドにしたいし、シフォンケーキもチョコとバニラのマーブルにしたい。
でも一気に全ては叶わないから、一つずつ。少しずつ。
(あ~、それにしても生クリームが食べたい)
俺はたくさん想像した所為で、ふわっふわの生クリームがどうしても食べたくなってしまった。
きっと登山なんてして疲れている所為もある。
「ロク、次の休憩の時にちょっとだけ、少しだけ甘いのが食べたい。なぁ、見つからないようにするから」
甘いものを強請った俺に、ロクが思案顔を見せる。
「味見で終わるか?」
「それは、自信がないけど……」
俺はロクに喰わせて貰っていると夢中でしゃぶり付いてしまうし、そうすると身体のあちこちが疼いて勝手に擦り付けたくなる。
ロクの脚で後ろを擦って、自分の指で胸の尖りを弄って、浅ましく股間を突き上げるようにヘコヘコと腰を動かしてしまう。
甘いのが欲しくて、触って欲しくて、ナカに入ってきて欲しくて堪らなくなる。
我ながら快楽に弱すぎて情けない。
「ロクが拘束してくれたらいいんだよ」
俺は自分が信用できないのでロクを当てにしてそう言ってみた。
しかしロクはロクで不都合があった。
「お前を取り押さえていると、剥きたくなって困る」
「うぅぅ……」
そう、ロクはロクで獲物を捕まえたら押さえ付けて剥いで、開いてナカを曝したくなるという習性があった。
幾ら好きだからって、こんなところで身体を開く趣味はない。
「うぇぇ、五分でいいからぁぁぁ~」
どうしても、ほんのちょっとの時間でいいからロクの舌が欲しい。
生クリームを想像しながら舌を啜って濃厚なキスがしたい。
ロクと口を合わせたい。
「ロクぅぅぅ……」
ハァハァと喘ぐように浅い呼吸を繰り返しながらロクを熱っぽく見つめたら、ロクが猫のようにキュッと目を瞑った。
「お供たちに見張りを頼もう。ゆっくりと三百を数えてから、呼んで貰う。その間だけだ」
「うんっ! 金鍔なら幻覚も見せられるから!」
匂いを誤魔化せるのかはわからないけど、それは自分たちが風上を陣取ればいい。
俺は早速、お供たちに協力を頼んだ。そして休憩を言い渡されると同時にロクと岩陰にいき、正面から膝に乗り上げて首に両腕を回し、甘ったるい生クリームを想像しながらロクの口の中に舌を突っ込んだ。
「ん、ふ……」
ベロベロとロクの口の中を舐め回し、クチュクチュと音を立てて掻き回しては思い切り吸う。
「ロクぅ……」
黒く引き締まったロクの腰を抱いて、反応した前をロクの腹に擦り付けながらあんあんと鳴く。
「チヤ、声は抑えろ」
「へ……き。結界、張ってる」
金鍔に音が聴こえなくなるような幻覚? 結界? のようなものを俺らの周囲に張って貰っている。
「ならばここを触っても平気か?」
「ん……。それ、気持ちいい」
俺はロクに服の上から窄まりを指で揉まれ、気持ちよくて息が上がる。
服の上からクニクニと揉まれるだけで気持ちがいいなんて、凄く淫乱になったみたいで恥ずかしい。
恥ずかしいけれど気持ちよさには敵わず、俺は艶かしく腰をくねらせた。
「チヤ、本当は指を根元まで埋めたい。濡れたナカを掻き回して、吸い付いてくるのを堪能して、お前をイかせてやりたい」
ロクの熱い囁きにくふんと笑う。
ロクは感じている俺を見るのが好きだ。
感じて、全身で大好きって言ってるみたいな俺が可愛くて堪らないそうだ。
(あぁ、早くロクに身体中を可愛がって欲しい……)
俺はロクと抱き合うことを想像しながら、金鍔に呼ばれるまで甘いのを堪能した。
「なんだか匂いが強くなった気がする」
そんなことをアーロンに言われながらも知らんぷりで歩き続け、とうとうコンドルの集落に着いた。
ちょっと目線を上げれば切り立った断崖絶壁が見えるし、風は強いし空気は薄い。
(こんなところに本当に集落があるのか?)
そう思ったけれど、日本の落武者だって相当酷いところに住んでいたって言うからね。
権力争いに破れたコンドルの獣人たちが、他の種族では住めない場所に住み着いたのは自然なことかもしれない。
(それにしても……アーロンはどうして諦めないんだよっ!)
アーロンは俺たちを連れて行くのを嫌がった。
そしてその割りには俺の匂いが気になるのか、頻りに近付いてはフンフンと匂いを嗅いだ。
ロクが追い払っても、牽制しても、気が付くと直ぐ近くに寄ってきている。
(そんなに気になるなら、いっそメープルシロップを口に突っ込んでやりたい!)
そう思ったけど、匂いを嗅ぎ付けられないようにと甘いものは持ってこなかった。
それにそうホイホイと他人にあげられる量もない。
(はぁ、早く好きなだけ甘いものを食べたいよ)
俺は砂糖が解禁になったら、まずは生クリームを作る。
生クリームをたっぷりとのせたシフォンケーキ。それか薄くスライスしたパンにたっぷりと挟んで生クリームサンドにする。
本当はフルーツを挟んでフルーツサンドにしたいし、シフォンケーキもチョコとバニラのマーブルにしたい。
でも一気に全ては叶わないから、一つずつ。少しずつ。
(あ~、それにしても生クリームが食べたい)
俺はたくさん想像した所為で、ふわっふわの生クリームがどうしても食べたくなってしまった。
きっと登山なんてして疲れている所為もある。
「ロク、次の休憩の時にちょっとだけ、少しだけ甘いのが食べたい。なぁ、見つからないようにするから」
甘いものを強請った俺に、ロクが思案顔を見せる。
「味見で終わるか?」
「それは、自信がないけど……」
俺はロクに喰わせて貰っていると夢中でしゃぶり付いてしまうし、そうすると身体のあちこちが疼いて勝手に擦り付けたくなる。
ロクの脚で後ろを擦って、自分の指で胸の尖りを弄って、浅ましく股間を突き上げるようにヘコヘコと腰を動かしてしまう。
甘いのが欲しくて、触って欲しくて、ナカに入ってきて欲しくて堪らなくなる。
我ながら快楽に弱すぎて情けない。
「ロクが拘束してくれたらいいんだよ」
俺は自分が信用できないのでロクを当てにしてそう言ってみた。
しかしロクはロクで不都合があった。
「お前を取り押さえていると、剥きたくなって困る」
「うぅぅ……」
そう、ロクはロクで獲物を捕まえたら押さえ付けて剥いで、開いてナカを曝したくなるという習性があった。
幾ら好きだからって、こんなところで身体を開く趣味はない。
「うぇぇ、五分でいいからぁぁぁ~」
どうしても、ほんのちょっとの時間でいいからロクの舌が欲しい。
生クリームを想像しながら舌を啜って濃厚なキスがしたい。
ロクと口を合わせたい。
「ロクぅぅぅ……」
ハァハァと喘ぐように浅い呼吸を繰り返しながらロクを熱っぽく見つめたら、ロクが猫のようにキュッと目を瞑った。
「お供たちに見張りを頼もう。ゆっくりと三百を数えてから、呼んで貰う。その間だけだ」
「うんっ! 金鍔なら幻覚も見せられるから!」
匂いを誤魔化せるのかはわからないけど、それは自分たちが風上を陣取ればいい。
俺は早速、お供たちに協力を頼んだ。そして休憩を言い渡されると同時にロクと岩陰にいき、正面から膝に乗り上げて首に両腕を回し、甘ったるい生クリームを想像しながらロクの口の中に舌を突っ込んだ。
「ん、ふ……」
ベロベロとロクの口の中を舐め回し、クチュクチュと音を立てて掻き回しては思い切り吸う。
「ロクぅ……」
黒く引き締まったロクの腰を抱いて、反応した前をロクの腹に擦り付けながらあんあんと鳴く。
「チヤ、声は抑えろ」
「へ……き。結界、張ってる」
金鍔に音が聴こえなくなるような幻覚? 結界? のようなものを俺らの周囲に張って貰っている。
「ならばここを触っても平気か?」
「ん……。それ、気持ちいい」
俺はロクに服の上から窄まりを指で揉まれ、気持ちよくて息が上がる。
服の上からクニクニと揉まれるだけで気持ちがいいなんて、凄く淫乱になったみたいで恥ずかしい。
恥ずかしいけれど気持ちよさには敵わず、俺は艶かしく腰をくねらせた。
「チヤ、本当は指を根元まで埋めたい。濡れたナカを掻き回して、吸い付いてくるのを堪能して、お前をイかせてやりたい」
ロクの熱い囁きにくふんと笑う。
ロクは感じている俺を見るのが好きだ。
感じて、全身で大好きって言ってるみたいな俺が可愛くて堪らないそうだ。
(あぁ、早くロクに身体中を可愛がって欲しい……)
俺はロクと抱き合うことを想像しながら、金鍔に呼ばれるまで甘いのを堪能した。
「なんだか匂いが強くなった気がする」
そんなことをアーロンに言われながらも知らんぷりで歩き続け、とうとうコンドルの集落に着いた。
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