【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

うずみどり

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㉚精神安定剤−1(R−18)

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 八方塞がりになった俺は取り敢えず休憩にして、昼食を食べに行く事にした。
 そして俺に合わせるように姿を現したロクを見て気付いてしまった。

(人間の俺がロクとの付き合いを認めて貰うのはきっととても難しい)
 この世界の人間は獣人とのミックスで、人間と獣人のカップルもいなくはないけどまともな獣人(しかも貴族)にはありえない選択だろう。
 差別もあるけど、そもそも神霊を持たない相手を理解できない、同族とは見れないんだと思う。それにツルツルはモテないしな。

(なんか、ヨカナーンがどうしてあんな事をしたかちょっとだけわかった気がする)
 俺はもっとヨカナーンと話をしてみたかった、と今さらながらに思った。

「チヤ? どうした、疲れた顔をしている」
「ん~、ちょっと休憩」
 行き詰まってしまった、と笑いながら答えたら甘い物が必要かと訊かれた。
 ロクの言ったなんでもない一言が、蠱惑的に響いたのはきっと俺が弱いからだ。
 弱いからロクに溺れて、一時でも不安を紛らわせて欲しい。
 それは本当に一時凌ぎでしか無いってわかってたけど……でも。

「甘く、シて欲しい」
 俺は耐え切れずにそう強請ってしまった。
 ロクは食事を取って置くように給仕に伝え、俺を抱き上げて寝室へ向かった。
 こいつにはきっとバレてる。
 不安な気持ちも、手っ取り早く救われたいって焦りも。
 それでもロクは黙って俺が欲しいものをくれる。

「ンッ……」
 ベッドに下ろされながら口をハグハグと食べられ、俺は舌を思い切り伸ばしてロクに吸って貰う。

(なんだか久し振りの気がする……)
 そんな訳はないんだけど、ロクとキスをするのは久し振りの気がしてやたらと感じてしまう。

「ンッ、ふぅっん……」
 舌を絡めながら甘いお菓子を想像する。
 疲れている時や落ち込んでいる時に俺がよく食べたのはハチミツしみっしみの甘いどら焼きだった。
 悪いな、ロク。歯が浮くくらい甘い食べ物が、今の俺には必要なんだ。

「チヤ……」
 ハフッと熱い息が掛かって、ロクはロクでスイッチが入ったのだと知る。
 まだ昼間なのに服を脱がされ脚を折られ、思い切り大きく拡げられる。

(恥ずかしい……)
 恥ずかしいけれど俺は秘めた場所を剥き出しにされ、ロクの目に曝された。
 視線で焼け焦げそうなほどじっと見られ、ひくん、とそこが反応するように収縮した。
 それを見たロクがゴクリと喉を鳴らし、そろそろと伸ばした指が入り込んでくる。

「んっ!」
 僅かな衝撃をやり過ごし、慣れた窄まりがグビグビとロクの指を飲み込んでいく。

「チヤ……」
 欲望に掠れた声に胸が疼く。

(もうっ、しようがないなぁ)

「ロク、途中までね」
 そう言って俺はロクの無茶を許した。
 途端に遠慮のなくなった指が俺のイイトコロを集中して擦り出す。

「うんっ、あんっ!」
 尻の中に無数の突起のような物があって、それがロクの長い指で弾かれて俺は弦を掻き鳴らされた楽器のように鳴いてしまう。頭の中で無数の音階が一斉に弾ける。
 俺は気持ちよくてフゥフゥ言うのを抑えられないし、想像していたのがハチミツだからなのかグチョグチョといやらしい粘着質な音が頻りに立つ。
 掻き回されてトロトロになった後ろにロクの分身がほんの少しだけ入って来た。
 相変わらず先端だけでも気持ちのいいそれに襞がチュウチュウと吸い付いて、それだけでもう勝手にイきそう。

「んあっ! あっ、あっ、あ゛あ゛あ゛っ゛……!」
 むちゅっと口を覆われて声すらも飲み込まれる。
 本当にキスの好きなやつ。キスっていうか、食べようとしてるとしか思えないけど。

「ンンン~ッ!」
 俺は口を塞がれたままビクビクと身体を跳ねさせてイッてしまった。
 それでも止まないロクの愛撫に意識が混濁してくる。

(凄いな、終わりのない快楽って拷問になるのかも)
 ボーッとして緩くなった口の端から飲み切れない唾液が滴る。
 今日は上も下もしっかりと甘いので、辺りに強烈な甘ったるい匂いが拡がる。
 ハチミツと卵と黒糖の匂い。そこに多分ハヌマーンが言う天界の匂い、獣人を強くする何かの匂いが混じって凄く美味しそう。

(でもきっとロクにはキツイよな?)
 そう思ってロクを見上げたら、黒曜石のような毛皮に包まれたロクの身体が波打ってとても綺麗でうっとりと見惚れてしまった。

(ロクの身体は躍動感があってしなやかでバランスが良くて物凄く立派で、幾ら見ていても飽きないくらいに綺麗だけどなんだかまた大きくなった?)
 元々ロクは二メートルくらいある巨漢だけどしなやかな身体つきだからか圧迫感は余り感じなかった。
 今だって組み敷かれているのにちっとも怖くない。

「ロク、ごめんね」
 全部挿れさせてあげなくて、と朦朧とした頭で囁いたら鼻面をグイッと押し付けられた。
 こんな時だけど、猫みたいな仕草が可愛い。
 そのままピチャピチャと耳朶を舐られてヤダヤダ言わされ、胸の凝りでもイかされて俺はぐったりとベッドに沈み込んだ。
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