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㉔冒険者の得意な事−2(R-15)
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「こら、甘いぞ。ちゃんと怒っているか?」
「ん……そんなの、無理……」
「どうして?」
「ロクが、舌を噛むから……んんっ!」
ガジガジ、ガジガジと舌を噛まれて涎が出てしまう。
股間がズキズキして激しく発情する。
俺は絶対に前よりも堪え性がなくなった。
「ロクぅ……シたい」
「……じゃあ手で――」
「ヤダよ、そんなんじゃ治まんない」
俺は雄の本能で激しく挿れたいし、奥まで挿れて欲しい。
「しかし今はマキシム卿をどうにかしなくては」
「そっ、そうだよねっ! ゴメン!」
俺ってばなに色ボケた事を言ってるんだよ。
今はそれどころじゃないってのに。
恥ずかしくなって俯いた俺の顔を、ロクがそっと上向かせる。
「謝らなくていい。先に手を出したのは私の方だ」
チュッと口付けられて、そう言えばこいつは最初に比べて随分とキスをしてくるようになったと思う。
最初はあんなに嫌がっていたのに、今だって甘い物が苦手な事には変わりないだろうに、暇さえあれば俺を膝に乗せて口を舐ってくる。
「不味くないの?」
「フッ。どうにも癖になる味だ」
そう言って目を細めたロクにスリスリと鼻面を擦り付けられる。
猫のようなその仕草が可愛くて擽ったいと笑っていると、いつの間にか首筋とか鎖骨とか弱い部分を甘噛みされているので油断ならない。
「ほんとだ。俺を止めたかったら、ロクがちょっかい出すのを止めないとダメだ」
「お前が膝に収まりやすいサイズなのがいけない」
「そんな言い訳って無いだろ」
クスクスと笑っていたら全く空気を読まないハヌマーンが唐突に声を掛けてきた。
「そろそろ出発すると言っているぞ」
「ロク! どうしよう!」
慌てる俺に、ロクは落ち着き払って心配するなと言った。
「ハヌマーン、マキシム卿は兵をどれだけ連れて行くと言ってる?」
「自力で歩けそうにない三百を置いていき、残り六百を連れて行くそうだ」
「まあそんなものか」
総勢九百余りと聞いて思ったよりも少ない事に驚く。軍人はほぼ獣人からなり、一人一人が大きいので物凄く多く見えたみたいだ。
その中での三百という負傷兵の数は多い。もしもマキシム卿が現場の指揮を取っていたら仮病の兵がもっと出ただろうが、流石にヨカナーンは見逃さなかった。
それでも十分だとロクは言う。
「残りは任せろ」
そう言うとロクは悪い顔で笑った。
俺はその顔を見ているだけでゾクゾクしてしまう。
「お前の男の趣味はおかしい」
ハヌマーンに真顔でそう言われたけれど放っておいて欲しい。俺自身は満足してるんだから。
「少し待っていてくれ。神霊を飛ばしてくる」
「え? 神霊って勝手に現れるものじゃないの?」
「普通はそうなんだが、訓練次第で多少は操れるようになる」
「そうなの?」
だって一方的に姿を現すだけって、影みたいなものだって言ってたのに。
俺は内緒にされていたのだと思ってちょっと唇を尖らせた。
「拗ねるな。敢えて話す必要はないと思っただけだ」
「ふん。それで、神霊を飛ばしてどうすんの?」
「仕事を頼んだ冒険者にタイミングを知らせる」
「冒険者に? いつの間に……」
「お前が寝ている間にちょっとな」
まぁ、ロクは音も気配も無く動くのなんて朝飯前だからね、俺の目を盗むくらいは簡単なんだろうけど――夜はちゃんと寝て欲しいよ。
「余り無茶をしないでね。それで、冒険者に何を頼んだの?」
「彼らが得意な事だ」
「『得意な事』?」
「人攫い」
そう言ってロクはニヤリと笑ったけど、ちっとも冗談になってないから。
それ、笑い事じゃないから。
俺は呆れて言葉もなく溜め息を吐いた。
「ん……そんなの、無理……」
「どうして?」
「ロクが、舌を噛むから……んんっ!」
ガジガジ、ガジガジと舌を噛まれて涎が出てしまう。
股間がズキズキして激しく発情する。
俺は絶対に前よりも堪え性がなくなった。
「ロクぅ……シたい」
「……じゃあ手で――」
「ヤダよ、そんなんじゃ治まんない」
俺は雄の本能で激しく挿れたいし、奥まで挿れて欲しい。
「しかし今はマキシム卿をどうにかしなくては」
「そっ、そうだよねっ! ゴメン!」
俺ってばなに色ボケた事を言ってるんだよ。
今はそれどころじゃないってのに。
恥ずかしくなって俯いた俺の顔を、ロクがそっと上向かせる。
「謝らなくていい。先に手を出したのは私の方だ」
チュッと口付けられて、そう言えばこいつは最初に比べて随分とキスをしてくるようになったと思う。
最初はあんなに嫌がっていたのに、今だって甘い物が苦手な事には変わりないだろうに、暇さえあれば俺を膝に乗せて口を舐ってくる。
「不味くないの?」
「フッ。どうにも癖になる味だ」
そう言って目を細めたロクにスリスリと鼻面を擦り付けられる。
猫のようなその仕草が可愛くて擽ったいと笑っていると、いつの間にか首筋とか鎖骨とか弱い部分を甘噛みされているので油断ならない。
「ほんとだ。俺を止めたかったら、ロクがちょっかい出すのを止めないとダメだ」
「お前が膝に収まりやすいサイズなのがいけない」
「そんな言い訳って無いだろ」
クスクスと笑っていたら全く空気を読まないハヌマーンが唐突に声を掛けてきた。
「そろそろ出発すると言っているぞ」
「ロク! どうしよう!」
慌てる俺に、ロクは落ち着き払って心配するなと言った。
「ハヌマーン、マキシム卿は兵をどれだけ連れて行くと言ってる?」
「自力で歩けそうにない三百を置いていき、残り六百を連れて行くそうだ」
「まあそんなものか」
総勢九百余りと聞いて思ったよりも少ない事に驚く。軍人はほぼ獣人からなり、一人一人が大きいので物凄く多く見えたみたいだ。
その中での三百という負傷兵の数は多い。もしもマキシム卿が現場の指揮を取っていたら仮病の兵がもっと出ただろうが、流石にヨカナーンは見逃さなかった。
それでも十分だとロクは言う。
「残りは任せろ」
そう言うとロクは悪い顔で笑った。
俺はその顔を見ているだけでゾクゾクしてしまう。
「お前の男の趣味はおかしい」
ハヌマーンに真顔でそう言われたけれど放っておいて欲しい。俺自身は満足してるんだから。
「少し待っていてくれ。神霊を飛ばしてくる」
「え? 神霊って勝手に現れるものじゃないの?」
「普通はそうなんだが、訓練次第で多少は操れるようになる」
「そうなの?」
だって一方的に姿を現すだけって、影みたいなものだって言ってたのに。
俺は内緒にされていたのだと思ってちょっと唇を尖らせた。
「拗ねるな。敢えて話す必要はないと思っただけだ」
「ふん。それで、神霊を飛ばしてどうすんの?」
「仕事を頼んだ冒険者にタイミングを知らせる」
「冒険者に? いつの間に……」
「お前が寝ている間にちょっとな」
まぁ、ロクは音も気配も無く動くのなんて朝飯前だからね、俺の目を盗むくらいは簡単なんだろうけど――夜はちゃんと寝て欲しいよ。
「余り無茶をしないでね。それで、冒険者に何を頼んだの?」
「彼らが得意な事だ」
「『得意な事』?」
「人攫い」
そう言ってロクはニヤリと笑ったけど、ちっとも冗談になってないから。
それ、笑い事じゃないから。
俺は呆れて言葉もなく溜め息を吐いた。
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