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⑤警戒心を忘れずに!−1(R-15)
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黒豹の獣人には警戒心が足りないと思う。
甘い物が嫌いな癖に、奴は簡単に口を差し出す。
俺がロクの濡れた鼻が可愛いと思っている事とか、長い口の横からぷちゅっと唇を付けるのが好きな事とか、ペロペロと舐められると拒めなくなってしまう事を全く知らない。
知らないからちょっと口を舐めてやるくらいのつもりで舌を絡めてくる。
(あま……)
もう何度目か、黒豹の舌で口の中を掻き回されると俺はぼんやりと頭の中が靄んでくる。
甘くて、美味しくて、時にはハッカのような清涼な香りのするそれは段々と腰の奥が重くなるような饐えた匂いに変わる。
熟した柿が口内に溢れるような、とろりと蜜が舌に絡みつくような濃厚な甘さは俺に別の感覚を運んでくる。
(マズイマズイ、このままじゃまた擦れるだけでイッてしまう)
舌が擦れるだけで軽く達した俺を、ロクは気付かずにジュルジュルと啜った。
ダメダメ啜らないでって腕を突っ張ったけれど、そんなの奴にしてみたらただ手を当てられているだけだ。
気にせず啜られて俺は意識を飛ばしそうになった。
『チヤ?』
生きているかと確認するような問い掛けに、俺は瞑っていた目を必死に開けて答える。
『起きてるよ、大丈夫。ありがとう、ご馳走様』
今日も美味しかったよ、と俺がイケメンぶって笑い掛けてデザートは終了。
ロクは溜め息を吐いて口を濯ぎにいく。
(あぁ、今日も嫌な事をさせてしまった)
溜め息なんて吐くならやめときゃいいのに。
義務みたいにキスをしなければいいのに。
でも俺は断れないんだよなぁ……。
俺はロクの態度に傷付きながらも与えられるものを拒めない。
だってこれまでに味わったことがないくらい美味しくて、甘露みたいなそれに俺はすっかり夢中になっていた。
こっそりと見つからないように軽くイクのだって背徳的で堪らない。
まるで悪い遊びに嵌った中学生みたいだ。
「ロクぅ~、たまには別行動をしない?」
じっと上目遣いにロクの顔を見上げながらそう言ったら、ロクは面食らったような顔をしていた。
「別行動? 何故だ? 護衛が無ければ外を歩けまい」
「そこまで弱っちくはないよ。まあ、短時間なら」
「何かしたいことがあるのか? それとも私がお前の気に障る事をしたか」
「いやぁ、そうじゃなくて。ロクも俺に付きっ切りじゃあ気が休まらないだろ? たまには息抜きをして来いよ」
こいつの性欲がどうなってんのか知らないけど、幾らなんでもそろそろ発散したいだろう?
シャワーとかトイレとか着替えとか、一人になった時に処理をしているにしても限界がある。
「息抜き……それは必要か? アレだけじゃ足りないのか?」
「いや俺の話じゃなくて」
そりゃあ、俺もこいつがいなくなったら抜こうとは思ってたけどさ。
でも別に足りないからするって訳では……。
「一人でどうやるんだ? 自分の指を舐めるより、俺の舌を啜る方がずっと美味いと言ってたじゃないか」
言い方! それはそうかもしれないけど言い方をもう少し考えて!
「甘味以外にも楽しみはありますぅ~」
「なんだ?」
酒も噛み煙草もやらない癖に、と言外に言われて言葉に詰まる。
ここにはネットもゲームも無いし、俺は賭け事もやらない。
「えーとぉ……」
「私以外の獣人は危険だぞ?」
ロクは俺がロクとのキスだけでは不足で他でも試したがっているとでも思ったのか、そんな事を言った。
「他の奴としようなんて思ってないよ!」
「なら別行動を取る必要もないな」
そう言ってロクは俺の提案をあっさりと潰した。
こういうところだけ強引で狡い。
(ロクの為に言ってんのに……)
だって俺だけ楽しんじゃってるけど、ロクは溜め息を吐くくらい嫌なんだろう?
外で気晴らしをしたら、少しは我慢しやすくなるんじゃないかって思ったんだよ。
でないと……ほら、身体だけこんな事になってる。
***
俺は身動きが取れずに石のように固まっていた。
それはもう、カチンコチンのオブジェだと思ってくれればいい。
(だって少しでも身動ぎしたら、俺の尻の間に挟まってるアレが、擦れてもっと育ちそうなんだもん!)
今俺は、ベッドで後ろからロクに抱え込まれている。
一人部屋を一つしか取れなかったから仕方がないんだけど、同衾することになった流れは覚えていないんだけど、気が付いたら尻の間に固いものが当たっていてちょっとでも動いたら擦れてしまいそう。
ロクは甘い匂いが嫌いだから俺に反応したんじゃない。でも禁欲生活が続いていたから、弾みでこうなる事もあるんだろう。
(だから外で発散してこいって言ったのに!)
俺はこの状況が恥ずかしくて、困惑して、胸の中で悪態を吐かずにいられない。
そうしたらずるりと尻の間をアレが滑って、益々猛ったモノがずくんと脈打った気がした。
(なぁ、本当に寝てるの? これ、どうにかしなくて大丈夫?)
俺を抱き枕のように腕の中に抱え込んでいる男は、たまに鼻面を後頭部に突っ込んでくるものの大人しい。
寝た振りをしている訳でも、不埒な事を考えているんでもない。
(あんたに疚しい気持ちはないのかもしれないけど、これじゃあ俺が生殺しだよ……)
獣人の腕の中はぬくぬくとしてとても温かくて居心地が好い。
なのに凶器を突き付けられてそこだけ気が気じゃない。
偶然のようにたまに擦れるのがヒヤヒヤする。
(どうせなら、はっきりと擦ってくれたら俺だって耐えたのに)
俺で抜いてくれるんなら寝た振りで見逃してやったのに、ロクにそんな気はない。ただ身体が反応してしまっているだけなのだ。
(いっそ俺が抜いてやる?)
腰を後ろに突き出して、尻を擦り付けたらイクんだろうか?
でも途中で起きちゃったら? 俺が奴に尻を擦り付けているのを見てどう思うだろう? 痴漢をされていると、淫乱だと思われないだろうか?
(こいつに軽蔑されたら……キツいな。ただでさえ節操なしだと思われているかもしれないのに)
この上俺からロクに手を出したと思われるのは避けたい。
どうしよう、とジリジリとしていたら俺を抱き締めていた腕がグッと縮まって、手のひらが身体中を彷徨い出した。
甘い物が嫌いな癖に、奴は簡単に口を差し出す。
俺がロクの濡れた鼻が可愛いと思っている事とか、長い口の横からぷちゅっと唇を付けるのが好きな事とか、ペロペロと舐められると拒めなくなってしまう事を全く知らない。
知らないからちょっと口を舐めてやるくらいのつもりで舌を絡めてくる。
(あま……)
もう何度目か、黒豹の舌で口の中を掻き回されると俺はぼんやりと頭の中が靄んでくる。
甘くて、美味しくて、時にはハッカのような清涼な香りのするそれは段々と腰の奥が重くなるような饐えた匂いに変わる。
熟した柿が口内に溢れるような、とろりと蜜が舌に絡みつくような濃厚な甘さは俺に別の感覚を運んでくる。
(マズイマズイ、このままじゃまた擦れるだけでイッてしまう)
舌が擦れるだけで軽く達した俺を、ロクは気付かずにジュルジュルと啜った。
ダメダメ啜らないでって腕を突っ張ったけれど、そんなの奴にしてみたらただ手を当てられているだけだ。
気にせず啜られて俺は意識を飛ばしそうになった。
『チヤ?』
生きているかと確認するような問い掛けに、俺は瞑っていた目を必死に開けて答える。
『起きてるよ、大丈夫。ありがとう、ご馳走様』
今日も美味しかったよ、と俺がイケメンぶって笑い掛けてデザートは終了。
ロクは溜め息を吐いて口を濯ぎにいく。
(あぁ、今日も嫌な事をさせてしまった)
溜め息なんて吐くならやめときゃいいのに。
義務みたいにキスをしなければいいのに。
でも俺は断れないんだよなぁ……。
俺はロクの態度に傷付きながらも与えられるものを拒めない。
だってこれまでに味わったことがないくらい美味しくて、甘露みたいなそれに俺はすっかり夢中になっていた。
こっそりと見つからないように軽くイクのだって背徳的で堪らない。
まるで悪い遊びに嵌った中学生みたいだ。
「ロクぅ~、たまには別行動をしない?」
じっと上目遣いにロクの顔を見上げながらそう言ったら、ロクは面食らったような顔をしていた。
「別行動? 何故だ? 護衛が無ければ外を歩けまい」
「そこまで弱っちくはないよ。まあ、短時間なら」
「何かしたいことがあるのか? それとも私がお前の気に障る事をしたか」
「いやぁ、そうじゃなくて。ロクも俺に付きっ切りじゃあ気が休まらないだろ? たまには息抜きをして来いよ」
こいつの性欲がどうなってんのか知らないけど、幾らなんでもそろそろ発散したいだろう?
シャワーとかトイレとか着替えとか、一人になった時に処理をしているにしても限界がある。
「息抜き……それは必要か? アレだけじゃ足りないのか?」
「いや俺の話じゃなくて」
そりゃあ、俺もこいつがいなくなったら抜こうとは思ってたけどさ。
でも別に足りないからするって訳では……。
「一人でどうやるんだ? 自分の指を舐めるより、俺の舌を啜る方がずっと美味いと言ってたじゃないか」
言い方! それはそうかもしれないけど言い方をもう少し考えて!
「甘味以外にも楽しみはありますぅ~」
「なんだ?」
酒も噛み煙草もやらない癖に、と言外に言われて言葉に詰まる。
ここにはネットもゲームも無いし、俺は賭け事もやらない。
「えーとぉ……」
「私以外の獣人は危険だぞ?」
ロクは俺がロクとのキスだけでは不足で他でも試したがっているとでも思ったのか、そんな事を言った。
「他の奴としようなんて思ってないよ!」
「なら別行動を取る必要もないな」
そう言ってロクは俺の提案をあっさりと潰した。
こういうところだけ強引で狡い。
(ロクの為に言ってんのに……)
だって俺だけ楽しんじゃってるけど、ロクは溜め息を吐くくらい嫌なんだろう?
外で気晴らしをしたら、少しは我慢しやすくなるんじゃないかって思ったんだよ。
でないと……ほら、身体だけこんな事になってる。
***
俺は身動きが取れずに石のように固まっていた。
それはもう、カチンコチンのオブジェだと思ってくれればいい。
(だって少しでも身動ぎしたら、俺の尻の間に挟まってるアレが、擦れてもっと育ちそうなんだもん!)
今俺は、ベッドで後ろからロクに抱え込まれている。
一人部屋を一つしか取れなかったから仕方がないんだけど、同衾することになった流れは覚えていないんだけど、気が付いたら尻の間に固いものが当たっていてちょっとでも動いたら擦れてしまいそう。
ロクは甘い匂いが嫌いだから俺に反応したんじゃない。でも禁欲生活が続いていたから、弾みでこうなる事もあるんだろう。
(だから外で発散してこいって言ったのに!)
俺はこの状況が恥ずかしくて、困惑して、胸の中で悪態を吐かずにいられない。
そうしたらずるりと尻の間をアレが滑って、益々猛ったモノがずくんと脈打った気がした。
(なぁ、本当に寝てるの? これ、どうにかしなくて大丈夫?)
俺を抱き枕のように腕の中に抱え込んでいる男は、たまに鼻面を後頭部に突っ込んでくるものの大人しい。
寝た振りをしている訳でも、不埒な事を考えているんでもない。
(あんたに疚しい気持ちはないのかもしれないけど、これじゃあ俺が生殺しだよ……)
獣人の腕の中はぬくぬくとしてとても温かくて居心地が好い。
なのに凶器を突き付けられてそこだけ気が気じゃない。
偶然のようにたまに擦れるのがヒヤヒヤする。
(どうせなら、はっきりと擦ってくれたら俺だって耐えたのに)
俺で抜いてくれるんなら寝た振りで見逃してやったのに、ロクにそんな気はない。ただ身体が反応してしまっているだけなのだ。
(いっそ俺が抜いてやる?)
腰を後ろに突き出して、尻を擦り付けたらイクんだろうか?
でも途中で起きちゃったら? 俺が奴に尻を擦り付けているのを見てどう思うだろう? 痴漢をされていると、淫乱だと思われないだろうか?
(こいつに軽蔑されたら……キツいな。ただでさえ節操なしだと思われているかもしれないのに)
この上俺からロクに手を出したと思われるのは避けたい。
どうしよう、とジリジリとしていたら俺を抱き締めていた腕がグッと縮まって、手のひらが身体中を彷徨い出した。
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