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①恋愛不感症
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吉良和巳は恋愛には不向きな男だった。
そもそも一人が苦にならないし、淋しいとか退屈だという感情も余り涌かない。
枯れている訳ではないが性欲も薄いし、キャッキャウフフはそこに漕ぎ着けるまでが面倒臭い。
そんな事に体力を使うくらいなら寝ていたいと思う。
だから同じ刑事で相棒の結城千鶴と付き合い始めた時も、出来ればそういう事は余りしたくないのだと言った。
それでも結城はめげずにしつこく吉良を誘い、キスは嫌いじゃないと言わせる事に成功した。
そう、キスは嫌いじゃない。でもその先はしなくてもいいと思っていたのに。
(ハァ、ムラムラする……)
吉良は色付いた溜め息を吐き、身の内に溜まる熱を持て余していた。
このところ忙しくて結城に襲われていない。
その所為で身体が勝手に結城を恋しがって疼いた。
こんな事態は予想外だった。
(さっさとヌイてしまおう)
最初は放って置けば勝手に散るだろうと思った熱が、凝って吉良の腹の奥で息衝き始めたので慌てて自身を慰めた。
ところが熱を放出してもそれは無くならず、より大きな渇きとなって吉良を襲った。
(……おかしい。まさか足りないのか?)
吉良は何度か自身を放出したのだけどどうしても満足できず、物足りなさに唇を噛んだ。
(チクショウ、あいつの所為で……)
結城との行為に慣れた身体は後ろでの行為を望んでいるのだった。
(こんなとこで感じるなんて嫌なのに!)
吉良はそろそろと片手を背後に回した。
いつも準備から後始末まで結城の手でされているので、自分でそこに触れた事はない。
(ん……無理だろ)
固く閉じた蕾はとても身体の大きな結城のモノを受け入れられるとは思えない。
自分の指を入れる事すら躊躇した。
そしていつもみたいに結城が全部やってくれたらいいのに、と思ってそう考えた自分にショックを受けた。
まさか人任せにするなんて。
吉良はちょっとばかりショックだった為に結城に誘われても素直に応じられなかった。
結城の誘いを素気無く断り、けれど溜まり続ける体の熱はどうにもならずに再び後ろに手を回した。
覚悟して押し込んだ指は第一関節までしか入らず、どうしようと途方に暮れていたらガチャリとドアが開いた。
「……え?」
暫く見つめ合ったまま身動きも取れなかったが、結城の発した声で呪縛が解けた。
「違う! これは違うんだ!」
「吉良ぁ、俺の事は拒んどいて、自分でお尻を触ってたんだぁ?」
「だから違うって!」
確かに合鍵は渡していたが、どうして一度も使った事の無いそれをこのタイミングで使ったのか。
吉良はこの時ばかりは勘の鋭い恋人が憎い。
「ふぅん? じゃあこれ要らないんだ?」
「あっ!」
結城が空に掲げたもの。
それは吉良が結城に初めて抱かれた時、少しでも楽になるようにと用意された軟膏だった。
「これ、塗った方が楽だよね?」
少し生薬の独特な匂いがして、その匂いを嗅ぐと吉良は反射的に自分の奥深い場所が濡れるような気がした。
多分、気持ちの好くなる成分も入っている。
「結城、それ――」
結城が塗ってくれるのだろうと吉良は期待に胸を膨らませたが、結城はニコリと笑って言った。
「自分で塗って。奥まで、しっかりと」
(う……意趣返しのつもりか。まあ確かに俺が悪い)
「じゃあ向こうで――」
「ダメ。ここでして」
笑顔のまま言い切られて吉良はキレた。
ふざけんなと怒った。
けれどもっとキレているらしい結城は妙に押しが強く分が悪い。
吉良は仕方がなく軟膏を手に取り、結城の目の前でこってりと盛り上げた指を後ろに入れた。
「ンッ……」
さっきはとても入らないと思った自分の指が、今度はあっさりと根元まで飲み込まれた。
体熱で溶け出した軟膏がぬるぬると滑り、まるで蜜壷のように蕩けたナカが熱い。
(うわ、指が溶けそう……)
吉良は柔らかくなった秘所を指で掻き回した。
襞を弾くたびに気持ちが好くて頭がジンと痺れた。
ついつい結城がいる事も忘れ、グチュグチュと音を立てて蜜壷を掻き回して喘いだ。
「キラ……」
ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえ、吉良は結城の方へ顔を向ける。
結城に見られて恥ずかしい。
けれど結城ならもっと上手に掻き回せる。
「結城……」
もう代わって欲しい。
ナカをクチュクチュって弄って、掻き回して、指を限界まで深く差し込んで奥に触れて欲しい。
自分の指では届かないところを突いて、もっと拡げて――。
「ンンッ……」
吉良が艶めいた声を漏らし、後ろを弄る指を二本に増やした。
取り繕う余裕もなくグチグチと蕾を掻き回す吉良を結城がじっと見ている。
熱い息を吐きながら吉良は指を後ろに入れたまま結城に期待を籠めて視線を送った。
しかし結城は動いてくれない。
焦れた吉良が手を伸ばし、結城の膨らんだ前に気付いてボトムの上から触れた。
ゆっくりとファスナーを下ろし、中身を取り出す。
既に濡れている性器にうっとりと指を這わせた。
「吉良……」
「お前の、可愛い……」
「可愛いって、酷くない?」
「だって、俺に反応してこうなったんだろ?」
「もちろん」
「だから可愛い」
吉良は手の中の陰茎に口付けた。
された事はあってもした事の無い口淫を施したが、直ぐに結城に止められた。
「おいっ!」
邪魔されて怒る吉良を結城が切羽詰まった顔で転がした。
「ごめん、コッチがいい」
性急に入ってきた指に吉良が歓喜の声をあげる。
やっと結城に指を入れて貰えて、自分よりも長くて骨ばった指が気持ち好くて、吉良は自分から腰を揺らしてしまう。
結城の首にしがみ付き、ナカで擦れる感覚を味わって肩に額を擦り付ける。
「吉良、気持ちい?」
「ん……気持ちいい」
結城の耳に吉良の熱い吐息が掛かり、濡れた胎内が絡み付くように指を締め付ける。
「俺の、まだ入れちゃダメ?」
「入れたい……でも、指も気持ちい」
ゆるゆると指が擦れるのが気持ちいい、と秘密を打ち明けるようにこっそりと教えてくれる吉良が可愛い。
「じゃあこっちも弄ってあげる」
結城は吉良の胸を撫で、小さな尖りを指でクリクリと弄った。
「はぅっ……ん……」
先端が感じるのか頻りに身を捩る吉良が艶めかしい。
後ろに指を咥え込み、胸の先端を弄られて鳴く吉良はいつもの虚勢が嘘のように素直で可愛らしい。
結城は後ろを穿つ指を増やしてナカを念入りに捏ね回した。
「アッ……ダメ、それ、ヤダ……」
感じ過ぎて我慢できない、と訴えながらも吉良の膝が更なる刺激を求めて持ち上がる。
硬くなった結城を欲しがって自ら身体を開く吉良の姿が結城には嬉しい。
「吉良、何が欲しい? 何が足りない?」
「お前が……結城のが、欲しい。結城が、足りない」
とろりと蕩けた表情で、蜜が滴るように甘い声で吉良が強請る。
余りの妖艶さに結城の頭がクラクラする。
「キラ、大好き」
子供みたいに訴えて、結城は一気に根元まで差し込んで吉良と繋がった。
「ンンッ!」
啼きながら気持ち好さそうに結城の分身を味わっていた吉良が、不意に両腕を伸ばした。
「起こしてくれ。お前の……顔が、見たい。抱き締めて、したい」
「吉良ぁ……」
なんて可愛い事を言うのだろう。
結城は吉良の上体を起こして正面から膝に乗せた。
「ふ、あぁぁぁ……」
自重で結城のイチモツをいっぱいに飲み込んで、吉良は子供の様に首に抱き着いて来た。
「ゆうき……」
キスをして、ギュウギュウと前を腹に擦り付けて、後ろを引き絞って結城を締め付ける。
おまけに好き好き言いながら体を揺するものだから、結城はカーッと頭に血が上って吉良の腰を鷲掴み、激しく下から突き上げた。
「ふぁあああッ!」
アンアン鳴きながら吉良が結城にしがみ付く。
烈しい抽挿に吉良の目尻から涙が零れた。
「きらっ、きらっ!」
名前を呼ばれながら大きく突き上げられ、吉良は後ろをきつく締め付けてイッたが結城は解放してくれない。
「ゆうき、まっ、イッたから、待って――ひぅっ!」
イッても止まらない抽挿に吉良が涙を流すが結城にそれを見ている余裕はない。
「きらっ、きら……ナカ、震えてる……可愛い、きら、きらッ!」
(ああ、駄目だ。これは止まらない)
吉良は気が狂いそうな快楽の中、頭の片隅でそんな事を冷静に思い浮かべる。
イキ過ぎて辛いのに、それでも夢中で求められている事が嬉しい。
結城が自分の為に焼き餅を妬くのも、少し意地悪をされるのも、拗ねたり甘えたり甘やかされるのも全部全部嬉しい。
そんな事、全く興味が無かったのに。
「好き……ゆうきの、ほし……」
中になんて出されたら大変なのに。
なのに吉良は結城の熱が欲しくて堪らない。
「吉良……いいの? 奥に出してもい?」
「擦りつけて」
囁いたら結城が喉の奥で拉げるような声を出し、なんか咆えながら凄い速さで腰を振り始めた。
バカな犬みたいで本当に可愛い。
「ゆうきっ、ゆうきっ!」
滅茶苦茶に揺さぶられて奥にねっとりとした熱を出され、吉良は自分の胎内が蠢くのを感じた。
結城を食べてる。
咀嚼して、味わって、飲み込んでいる。
「結城、俺、ナカで出されんの好きみたい」
何も考えずに報告したら、結城がアホみたいに咆えて再び挑んできた。
本当に単純で馬鹿だな、と思いながら吉良はアンアンと鳴いた。
いっぱい泣かされて、それでも幸せだった。
「吉良ぁ、えっちなのは恥ずかしくないよ? 男だし」
眠りかけた結城にそう声を掛けられ、吉良はそうだなぁと応じた。
「そうだなぁ、お前に気持ちいいのを教えられちゃったからなぁ」
「……謝った方がい?」
「なんで?」
「吉良が気に喰わないかもしれないから」
自分の意に反する事は嫌いだろう? と指摘されて吉良が苦笑する。
「謝んなくていいよ。お前以外ならお断りだけど」
「吉良ぁ?」
眠くて頭が回らないのか、それとも難し過ぎて理解できないのか、結城が不思議そうに声をあげた。
「謝んなくていい」
吉良がもう一度そう言って額にキスを落としたら、結城は嬉しそうに笑ってから眠ってしまった。
子供みたいな奴だな、と呆れつつ吉良も結城に引っ付いて目を閉じる。
(恋愛なんて、なくても生きていけると思ったけれど)
けれど結城がいないと吉良は生きていけないようだった。
それは思ったよりもずっと幸せな気分だった。
END
そもそも一人が苦にならないし、淋しいとか退屈だという感情も余り涌かない。
枯れている訳ではないが性欲も薄いし、キャッキャウフフはそこに漕ぎ着けるまでが面倒臭い。
そんな事に体力を使うくらいなら寝ていたいと思う。
だから同じ刑事で相棒の結城千鶴と付き合い始めた時も、出来ればそういう事は余りしたくないのだと言った。
それでも結城はめげずにしつこく吉良を誘い、キスは嫌いじゃないと言わせる事に成功した。
そう、キスは嫌いじゃない。でもその先はしなくてもいいと思っていたのに。
(ハァ、ムラムラする……)
吉良は色付いた溜め息を吐き、身の内に溜まる熱を持て余していた。
このところ忙しくて結城に襲われていない。
その所為で身体が勝手に結城を恋しがって疼いた。
こんな事態は予想外だった。
(さっさとヌイてしまおう)
最初は放って置けば勝手に散るだろうと思った熱が、凝って吉良の腹の奥で息衝き始めたので慌てて自身を慰めた。
ところが熱を放出してもそれは無くならず、より大きな渇きとなって吉良を襲った。
(……おかしい。まさか足りないのか?)
吉良は何度か自身を放出したのだけどどうしても満足できず、物足りなさに唇を噛んだ。
(チクショウ、あいつの所為で……)
結城との行為に慣れた身体は後ろでの行為を望んでいるのだった。
(こんなとこで感じるなんて嫌なのに!)
吉良はそろそろと片手を背後に回した。
いつも準備から後始末まで結城の手でされているので、自分でそこに触れた事はない。
(ん……無理だろ)
固く閉じた蕾はとても身体の大きな結城のモノを受け入れられるとは思えない。
自分の指を入れる事すら躊躇した。
そしていつもみたいに結城が全部やってくれたらいいのに、と思ってそう考えた自分にショックを受けた。
まさか人任せにするなんて。
吉良はちょっとばかりショックだった為に結城に誘われても素直に応じられなかった。
結城の誘いを素気無く断り、けれど溜まり続ける体の熱はどうにもならずに再び後ろに手を回した。
覚悟して押し込んだ指は第一関節までしか入らず、どうしようと途方に暮れていたらガチャリとドアが開いた。
「……え?」
暫く見つめ合ったまま身動きも取れなかったが、結城の発した声で呪縛が解けた。
「違う! これは違うんだ!」
「吉良ぁ、俺の事は拒んどいて、自分でお尻を触ってたんだぁ?」
「だから違うって!」
確かに合鍵は渡していたが、どうして一度も使った事の無いそれをこのタイミングで使ったのか。
吉良はこの時ばかりは勘の鋭い恋人が憎い。
「ふぅん? じゃあこれ要らないんだ?」
「あっ!」
結城が空に掲げたもの。
それは吉良が結城に初めて抱かれた時、少しでも楽になるようにと用意された軟膏だった。
「これ、塗った方が楽だよね?」
少し生薬の独特な匂いがして、その匂いを嗅ぐと吉良は反射的に自分の奥深い場所が濡れるような気がした。
多分、気持ちの好くなる成分も入っている。
「結城、それ――」
結城が塗ってくれるのだろうと吉良は期待に胸を膨らませたが、結城はニコリと笑って言った。
「自分で塗って。奥まで、しっかりと」
(う……意趣返しのつもりか。まあ確かに俺が悪い)
「じゃあ向こうで――」
「ダメ。ここでして」
笑顔のまま言い切られて吉良はキレた。
ふざけんなと怒った。
けれどもっとキレているらしい結城は妙に押しが強く分が悪い。
吉良は仕方がなく軟膏を手に取り、結城の目の前でこってりと盛り上げた指を後ろに入れた。
「ンッ……」
さっきはとても入らないと思った自分の指が、今度はあっさりと根元まで飲み込まれた。
体熱で溶け出した軟膏がぬるぬると滑り、まるで蜜壷のように蕩けたナカが熱い。
(うわ、指が溶けそう……)
吉良は柔らかくなった秘所を指で掻き回した。
襞を弾くたびに気持ちが好くて頭がジンと痺れた。
ついつい結城がいる事も忘れ、グチュグチュと音を立てて蜜壷を掻き回して喘いだ。
「キラ……」
ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえ、吉良は結城の方へ顔を向ける。
結城に見られて恥ずかしい。
けれど結城ならもっと上手に掻き回せる。
「結城……」
もう代わって欲しい。
ナカをクチュクチュって弄って、掻き回して、指を限界まで深く差し込んで奥に触れて欲しい。
自分の指では届かないところを突いて、もっと拡げて――。
「ンンッ……」
吉良が艶めいた声を漏らし、後ろを弄る指を二本に増やした。
取り繕う余裕もなくグチグチと蕾を掻き回す吉良を結城がじっと見ている。
熱い息を吐きながら吉良は指を後ろに入れたまま結城に期待を籠めて視線を送った。
しかし結城は動いてくれない。
焦れた吉良が手を伸ばし、結城の膨らんだ前に気付いてボトムの上から触れた。
ゆっくりとファスナーを下ろし、中身を取り出す。
既に濡れている性器にうっとりと指を這わせた。
「吉良……」
「お前の、可愛い……」
「可愛いって、酷くない?」
「だって、俺に反応してこうなったんだろ?」
「もちろん」
「だから可愛い」
吉良は手の中の陰茎に口付けた。
された事はあってもした事の無い口淫を施したが、直ぐに結城に止められた。
「おいっ!」
邪魔されて怒る吉良を結城が切羽詰まった顔で転がした。
「ごめん、コッチがいい」
性急に入ってきた指に吉良が歓喜の声をあげる。
やっと結城に指を入れて貰えて、自分よりも長くて骨ばった指が気持ち好くて、吉良は自分から腰を揺らしてしまう。
結城の首にしがみ付き、ナカで擦れる感覚を味わって肩に額を擦り付ける。
「吉良、気持ちい?」
「ん……気持ちいい」
結城の耳に吉良の熱い吐息が掛かり、濡れた胎内が絡み付くように指を締め付ける。
「俺の、まだ入れちゃダメ?」
「入れたい……でも、指も気持ちい」
ゆるゆると指が擦れるのが気持ちいい、と秘密を打ち明けるようにこっそりと教えてくれる吉良が可愛い。
「じゃあこっちも弄ってあげる」
結城は吉良の胸を撫で、小さな尖りを指でクリクリと弄った。
「はぅっ……ん……」
先端が感じるのか頻りに身を捩る吉良が艶めかしい。
後ろに指を咥え込み、胸の先端を弄られて鳴く吉良はいつもの虚勢が嘘のように素直で可愛らしい。
結城は後ろを穿つ指を増やしてナカを念入りに捏ね回した。
「アッ……ダメ、それ、ヤダ……」
感じ過ぎて我慢できない、と訴えながらも吉良の膝が更なる刺激を求めて持ち上がる。
硬くなった結城を欲しがって自ら身体を開く吉良の姿が結城には嬉しい。
「吉良、何が欲しい? 何が足りない?」
「お前が……結城のが、欲しい。結城が、足りない」
とろりと蕩けた表情で、蜜が滴るように甘い声で吉良が強請る。
余りの妖艶さに結城の頭がクラクラする。
「キラ、大好き」
子供みたいに訴えて、結城は一気に根元まで差し込んで吉良と繋がった。
「ンンッ!」
啼きながら気持ち好さそうに結城の分身を味わっていた吉良が、不意に両腕を伸ばした。
「起こしてくれ。お前の……顔が、見たい。抱き締めて、したい」
「吉良ぁ……」
なんて可愛い事を言うのだろう。
結城は吉良の上体を起こして正面から膝に乗せた。
「ふ、あぁぁぁ……」
自重で結城のイチモツをいっぱいに飲み込んで、吉良は子供の様に首に抱き着いて来た。
「ゆうき……」
キスをして、ギュウギュウと前を腹に擦り付けて、後ろを引き絞って結城を締め付ける。
おまけに好き好き言いながら体を揺するものだから、結城はカーッと頭に血が上って吉良の腰を鷲掴み、激しく下から突き上げた。
「ふぁあああッ!」
アンアン鳴きながら吉良が結城にしがみ付く。
烈しい抽挿に吉良の目尻から涙が零れた。
「きらっ、きらっ!」
名前を呼ばれながら大きく突き上げられ、吉良は後ろをきつく締め付けてイッたが結城は解放してくれない。
「ゆうき、まっ、イッたから、待って――ひぅっ!」
イッても止まらない抽挿に吉良が涙を流すが結城にそれを見ている余裕はない。
「きらっ、きら……ナカ、震えてる……可愛い、きら、きらッ!」
(ああ、駄目だ。これは止まらない)
吉良は気が狂いそうな快楽の中、頭の片隅でそんな事を冷静に思い浮かべる。
イキ過ぎて辛いのに、それでも夢中で求められている事が嬉しい。
結城が自分の為に焼き餅を妬くのも、少し意地悪をされるのも、拗ねたり甘えたり甘やかされるのも全部全部嬉しい。
そんな事、全く興味が無かったのに。
「好き……ゆうきの、ほし……」
中になんて出されたら大変なのに。
なのに吉良は結城の熱が欲しくて堪らない。
「吉良……いいの? 奥に出してもい?」
「擦りつけて」
囁いたら結城が喉の奥で拉げるような声を出し、なんか咆えながら凄い速さで腰を振り始めた。
バカな犬みたいで本当に可愛い。
「ゆうきっ、ゆうきっ!」
滅茶苦茶に揺さぶられて奥にねっとりとした熱を出され、吉良は自分の胎内が蠢くのを感じた。
結城を食べてる。
咀嚼して、味わって、飲み込んでいる。
「結城、俺、ナカで出されんの好きみたい」
何も考えずに報告したら、結城がアホみたいに咆えて再び挑んできた。
本当に単純で馬鹿だな、と思いながら吉良はアンアンと鳴いた。
いっぱい泣かされて、それでも幸せだった。
「吉良ぁ、えっちなのは恥ずかしくないよ? 男だし」
眠りかけた結城にそう声を掛けられ、吉良はそうだなぁと応じた。
「そうだなぁ、お前に気持ちいいのを教えられちゃったからなぁ」
「……謝った方がい?」
「なんで?」
「吉良が気に喰わないかもしれないから」
自分の意に反する事は嫌いだろう? と指摘されて吉良が苦笑する。
「謝んなくていいよ。お前以外ならお断りだけど」
「吉良ぁ?」
眠くて頭が回らないのか、それとも難し過ぎて理解できないのか、結城が不思議そうに声をあげた。
「謝んなくていい」
吉良がもう一度そう言って額にキスを落としたら、結城は嬉しそうに笑ってから眠ってしまった。
子供みたいな奴だな、と呆れつつ吉良も結城に引っ付いて目を閉じる。
(恋愛なんて、なくても生きていけると思ったけれど)
けれど結城がいないと吉良は生きていけないようだった。
それは思ったよりもずっと幸せな気分だった。
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