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⑨羽化−2(R−18)
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駒は弁当箱を返しに行ったついでに善一にその話をした。
「信乃さんが喜多屋の旦那に反発するのは、全部を知られていて極りが悪いからかな?」
善一は弁当箱を受け取りながら頷く。
「それもあるのかも知れないし、怖いのかもしれない」
「怖い? どうして?」
「さあ、どうしてだろう」
はぐらかすように言われて駒が頬を膨らませた。
「狡い、ちゃんと教えてよ」
善一はそっと足元に目線を落とし、柔らかく言った。
「信乃さんにはっきりと物を言えるのが、踏み込めるのが喜多屋の旦那だけだから。きっとその事を信乃さんも分かっている」
「んー、つまりは耳の痛い事を言う煙ったい相手って事?」
「そうだね」
苦手で反発する理由はそれだろうと善一は思う。けれど過剰に反応する理由は他にもあるような気がする。
それが何なのかは分からないけれど、知った気になってぺらぺらと話す気もないけれど、少々もどかしいというか気になりはする。
だって最初の飄々とした印象や気の利いた会話からは思いもよらないが、信乃は知れば知るほど不器用な人間だった。
他人の事にはそうでもないが、自分の事にかけては不器用だし感情の処理も下手だと思う。だから世話好きの善一はついつい手を出したくなる。
「信乃さんは子供みたいだね」
駒の率直な感想に善一が噴き出す。
「そうだね、子供みたいな人だ」
その不均衡なところが魅力でもあるが、と考えて善一は口元を押さえた。
(いけないいけない。どう考えてもあれは面倒臭いし、蓮治さんのような男を敵に回すのもご免だ。数歩下がって接しなくては)
善一は噂話なんてした事を後悔するように早口に駒に言った。
「さあさあ、口ばっか回してないで早く歩きな。湯屋が仕舞っちまうよ」
「あのね、善さん。今日も僕らが最後かなぁ」
恥ずかしそうに頬を染めて言った駒に善一は困ったなぁと思う。
「そうだね、仕舞い湯に来る客は少ないから」
仕舞い湯は汚れているし温くなっているし、気持ちの良いものではないから大概の客が避ける。
自分達は帰り道で都合が良いし昼間に時間を取れないので仕方が無いのだが、二人きりになってしまうのが少々困りものだった。
「そうしたら、また洗ってくれる?」
「……いいよ」
「全部だよ?」
「ああ」
善一は駒の可愛らしさについ手を出してしまった。
細くしなやかな背中を擦ったら身を反らすものだから、内腿に手を這わせたら高い声を出して啼くものだから、つい小さな分身を摘んで気持ち良くさせてしまった。
流石に最後まではしていないが、可愛い男子をちょいと掌で包み込んで剥いて、後ろの小さな口も指を入れて洗った。
身をくねらせて縋り付いてくるたおやかな身体は魅力的で、善一もいつまでもそれだけで済ませられるとは思わない。
このままではいずれ自分の剛直で彼を貫いてしまうだろう。
覚悟の無い自分にそれをする資格があるだろうかと善一は迷う。迷うけれど可愛い子にとろりと蕩けた媚態を見せられ、『もっとシて』なんて言われてはいいよいいよと何でもしたくなる。誘われると断れない質なのだ。
そして何も知らなかった分、子供は快楽にのめり込むのも早い。
「あっ、あ、ぜん、さぁ……ん」
後ろの蕾に指を入れられて、駒は腰を押し付けるように揺らめかせてもどかしそうに快楽を追った。
「ねぇ、もっと……足りないよぅ」
これだけでは足りないのだと、湯気に煙る薄暗がりで駒が濡れた瞳を黒々と光らせて見上げてくる。
善一は指を二本に増やし、ぐちゅぐちゅと音を立てながらそこを掻き回した。
「ああっ、いぃ……気持ちー、よぅ……」
両手を肩に回して抱き付いてくる駒の前と、自分のそそり立ったものを擦り合わせた。
「んぁっ!」
「前と後ろ、どっちが気持ち良い?」
「んっ、んん……どっち、も……」
「欲張りな子だ」
善一は後ろの指に絡みつく肉襞の感触を楽しみながら、自分のゴリゴリとしたもので細くすんなりとした駒の分身を擦った。先端からとろとろと蜜を零す駒はもう二度も白濁を放っている。
「ぜんさん、はぁ……イカないのぉ?」
あなたのイクところが見たい、なんて耳元で囁かれて善一の我慢が切れる。
「ここでイキたいな」
そう言うと駒の股の間に張り詰めた男根を滑らせて、きつく挟んでいてくれと頼んだ。
竿も玉も一緒に擦られて駒は激し過ぎると泣き言を漏らしながら啼いた。
前後に揺さぶられて擦り立てられて、まるで嵐に巻き込まれたようだと怖がった。
「怖いなら舌を吸っていよう」
ちゅるり、と小さな舌を吸われて駒は声も息も全部を善一に飲み込まれてしまう。
後ろに這入り込む指と脚の間に這入り込む硬い善一のイチモツ、そして口内には舌を差し込まれてじゅるじゅると美味しそうに啜られてしまった。
(ああ、もう駄目だ。気持ち好過ぎて死んでしまいそう。僕を全部、明け渡したい)
駒は脚の間に熱いものを掛けられて、後ろを強く抉られて吐精せずにイッた。自分の後ろの口が善一の指を食い千切らんばかりにきつく締め付け、その形を記憶しようと蠢いているのをぼんやりと意識していた。
(ああ、ここでこの人のを食べてしまいたい。硬くて大きなアレを食んで、吐き出されるものをゴクゴクと飲んでしまいたい)
「ぜんさん、まだだよ。もっと……もっと、僕を食べて」
足りないんだ、と腰を上げて誘ってきた駒に善一はごくりと唾を飲み込み、けれど人の気配にハッと我に返る。
「こま、もう仕舞いのようだ。ほら、掛け湯をして出るよ」
スッと身体を離されて駒は悲しくなった。
(この人とずっとくっついていたい。もっとゆっくりと触れ合いたい)
駒の若い情欲は貪欲で激しかった。善一の薄っぺらい戸惑いや躊躇など、紙のように破ってしまえるほどに大きく育っていたのだった。
「信乃さんが喜多屋の旦那に反発するのは、全部を知られていて極りが悪いからかな?」
善一は弁当箱を受け取りながら頷く。
「それもあるのかも知れないし、怖いのかもしれない」
「怖い? どうして?」
「さあ、どうしてだろう」
はぐらかすように言われて駒が頬を膨らませた。
「狡い、ちゃんと教えてよ」
善一はそっと足元に目線を落とし、柔らかく言った。
「信乃さんにはっきりと物を言えるのが、踏み込めるのが喜多屋の旦那だけだから。きっとその事を信乃さんも分かっている」
「んー、つまりは耳の痛い事を言う煙ったい相手って事?」
「そうだね」
苦手で反発する理由はそれだろうと善一は思う。けれど過剰に反応する理由は他にもあるような気がする。
それが何なのかは分からないけれど、知った気になってぺらぺらと話す気もないけれど、少々もどかしいというか気になりはする。
だって最初の飄々とした印象や気の利いた会話からは思いもよらないが、信乃は知れば知るほど不器用な人間だった。
他人の事にはそうでもないが、自分の事にかけては不器用だし感情の処理も下手だと思う。だから世話好きの善一はついつい手を出したくなる。
「信乃さんは子供みたいだね」
駒の率直な感想に善一が噴き出す。
「そうだね、子供みたいな人だ」
その不均衡なところが魅力でもあるが、と考えて善一は口元を押さえた。
(いけないいけない。どう考えてもあれは面倒臭いし、蓮治さんのような男を敵に回すのもご免だ。数歩下がって接しなくては)
善一は噂話なんてした事を後悔するように早口に駒に言った。
「さあさあ、口ばっか回してないで早く歩きな。湯屋が仕舞っちまうよ」
「あのね、善さん。今日も僕らが最後かなぁ」
恥ずかしそうに頬を染めて言った駒に善一は困ったなぁと思う。
「そうだね、仕舞い湯に来る客は少ないから」
仕舞い湯は汚れているし温くなっているし、気持ちの良いものではないから大概の客が避ける。
自分達は帰り道で都合が良いし昼間に時間を取れないので仕方が無いのだが、二人きりになってしまうのが少々困りものだった。
「そうしたら、また洗ってくれる?」
「……いいよ」
「全部だよ?」
「ああ」
善一は駒の可愛らしさについ手を出してしまった。
細くしなやかな背中を擦ったら身を反らすものだから、内腿に手を這わせたら高い声を出して啼くものだから、つい小さな分身を摘んで気持ち良くさせてしまった。
流石に最後まではしていないが、可愛い男子をちょいと掌で包み込んで剥いて、後ろの小さな口も指を入れて洗った。
身をくねらせて縋り付いてくるたおやかな身体は魅力的で、善一もいつまでもそれだけで済ませられるとは思わない。
このままではいずれ自分の剛直で彼を貫いてしまうだろう。
覚悟の無い自分にそれをする資格があるだろうかと善一は迷う。迷うけれど可愛い子にとろりと蕩けた媚態を見せられ、『もっとシて』なんて言われてはいいよいいよと何でもしたくなる。誘われると断れない質なのだ。
そして何も知らなかった分、子供は快楽にのめり込むのも早い。
「あっ、あ、ぜん、さぁ……ん」
後ろの蕾に指を入れられて、駒は腰を押し付けるように揺らめかせてもどかしそうに快楽を追った。
「ねぇ、もっと……足りないよぅ」
これだけでは足りないのだと、湯気に煙る薄暗がりで駒が濡れた瞳を黒々と光らせて見上げてくる。
善一は指を二本に増やし、ぐちゅぐちゅと音を立てながらそこを掻き回した。
「ああっ、いぃ……気持ちー、よぅ……」
両手を肩に回して抱き付いてくる駒の前と、自分のそそり立ったものを擦り合わせた。
「んぁっ!」
「前と後ろ、どっちが気持ち良い?」
「んっ、んん……どっち、も……」
「欲張りな子だ」
善一は後ろの指に絡みつく肉襞の感触を楽しみながら、自分のゴリゴリとしたもので細くすんなりとした駒の分身を擦った。先端からとろとろと蜜を零す駒はもう二度も白濁を放っている。
「ぜんさん、はぁ……イカないのぉ?」
あなたのイクところが見たい、なんて耳元で囁かれて善一の我慢が切れる。
「ここでイキたいな」
そう言うと駒の股の間に張り詰めた男根を滑らせて、きつく挟んでいてくれと頼んだ。
竿も玉も一緒に擦られて駒は激し過ぎると泣き言を漏らしながら啼いた。
前後に揺さぶられて擦り立てられて、まるで嵐に巻き込まれたようだと怖がった。
「怖いなら舌を吸っていよう」
ちゅるり、と小さな舌を吸われて駒は声も息も全部を善一に飲み込まれてしまう。
後ろに這入り込む指と脚の間に這入り込む硬い善一のイチモツ、そして口内には舌を差し込まれてじゅるじゅると美味しそうに啜られてしまった。
(ああ、もう駄目だ。気持ち好過ぎて死んでしまいそう。僕を全部、明け渡したい)
駒は脚の間に熱いものを掛けられて、後ろを強く抉られて吐精せずにイッた。自分の後ろの口が善一の指を食い千切らんばかりにきつく締め付け、その形を記憶しようと蠢いているのをぼんやりと意識していた。
(ああ、ここでこの人のを食べてしまいたい。硬くて大きなアレを食んで、吐き出されるものをゴクゴクと飲んでしまいたい)
「ぜんさん、まだだよ。もっと……もっと、僕を食べて」
足りないんだ、と腰を上げて誘ってきた駒に善一はごくりと唾を飲み込み、けれど人の気配にハッと我に返る。
「こま、もう仕舞いのようだ。ほら、掛け湯をして出るよ」
スッと身体を離されて駒は悲しくなった。
(この人とずっとくっついていたい。もっとゆっくりと触れ合いたい)
駒の若い情欲は貪欲で激しかった。善一の薄っぺらい戸惑いや躊躇など、紙のように破ってしまえるほどに大きく育っていたのだった。
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