ノンケだけどオカマバーで働いてビッチになりましたが彼氏が出来て幸せです

うずみどり

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閑話

閑話その③お悩み相談

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 ケンヂはとても可愛い顔をしている、とノリは思う。
 それは勿論アンコの方がもっと可愛いに決まっているが、ケンヂのような正統派の美形には問答無用で憧れてしまう。
 だって自分はブスだ。しかも根暗なブスだ。 
 頭が良くたって器用だってピアノが弾けたって、可愛いコの笑顔には敵わない。ノリはそれをよく知ってる。

「睫毛、ばっさばさだもんなぁ……」
「ん? どうした?」

 鏡台に座って化粧をしていたケンヂがノリを振り向いた。

「ケンちゃんさぁ、化粧が上手くなったよね」
「え、そお? 嬉しい。化粧って楽しいよね」

 唇を窄めてリップ音を鳴らしたケンヂの口が艶めかしい。多分シャネルの新色。自分にはとても手を出せないと思ったパープル・レッド。

「ワタシにも貸してくれない?」
「いいよ」

 あっさりと手渡されたそれでノリは鏡に鋭く長い線を描いた。

「ノリちんっ!」

 何をするのだ、と吃驚したケンヂにノリは表情を動かさないまま平然と言った。

「そんな毒々しい色の唇じゃ、キスをする気にもならない」
「……分かった」

 ケンヂは唇の紅を落としてからノリの唇に優しいキスを落とした。

「ノリちん、我が儘を言ってもいいんだよ? そんな事で俺はお前を嫌いになったりしないから」
「……ケンちゃんてさぁ、ぼくの前でだけ『俺』って言うよね。それ以外はちゃんと『アタシ』って言ってるのに」
「うん、そうだな。ノリちんも俺の前では『ぼく』って言うしね」
「…………」

 そんなのただの “癖” みたいなもので意味なんて無い。
 そう言おうとして、ノリは言い訳をするのが面倒臭くなって止めた。どういう訳かケンヂには自分を取り繕うのが億劫になっていつも適当になってしまう。
 多分、 “今更気取ったところで” という気分なのだ。

「ところでさぁ、ノリちんにちょっと相談があるんだけど聞いてくれる?」
「いいよ。余り面倒臭くない事ならね」
「あは、ノリちんらしいなぁ」

 ケンヂは綺麗に化粧をした顔で少年のように屈託なく笑った。

「えっとね、俺ってノンケだったじゃん? だから、今一つ男のイチモツを咥えるのに抵抗があると言うか……」
「後ろの口では何本も咥え込んでるのに?」
「なっ、何本も咥え込んで無いよっ!」
「ああ、二本だっけ。みーさんのと、アンコちゃんのと」
「う…………」

 つい先日、公開セックスをしてしまったケンヂは何も言い返す事が出来ない。
 そんなつもりは無かったとはいえ、恋人以外の男に突っ込まれて悦がりまくったのは自分だ。あの後で三崎には随分と手酷くお仕置きをされた。

「だって……お尻、気持ち好くて……皆に見られてると思うと玉がキュウキュウ縮み上がって恐いのに、滅茶苦茶にされたくて……俺、変態なんだ」
「知ってる」

 ケンヂの必死の告白をノリはあっさりと片付けた。

「ケンちゃんはマゾでビッチで変態。でも可愛いからいいんだよ」
「なんだよその纏め方っ!」

 憤慨するケンヂにノリが薄く笑う。

「可愛いコの性癖が異常でもエロいだけでしょ。でもブスはキモイって言われるんだよ。近付くなキモイ、どっか行けって……」
「ノリちん……」

 オカマに転んで日が浅いケンヂには分からぬ苦しみだった。
 マイノリティが迫害されるのはいつの時代も変わらないだろうが、幼少の頃から性癖を自覚していたとしたら苦しみは深く長かっただろう。

「その……女の子とは全然?」

 女性に女の子とセックスをする気になるかと訊くようなものだと思い、ケンヂは遠慮しいしいその質問を投げた。それに対してノリは黙ったまま立ち上がり、スカートを大胆に捲り上げてパンツを下ろした。

「小さいでしょう? これを人に見せるのが嫌で、男とも女ともそういう事をする気は無かった。でも無理に “オンナ” にされて、その時に当然のように後ろから突っ込まれて前には触られなくて、これはぼくには無くてもいいものなんだって――ひゃあう!?」

 話の途中で性器をぱくりと咥えられてノリが奇声を上げた。

「なっ、何っ!? ちょっ、止めろよ。馬鹿じゃないの、同情してるのか……アンンッ!」

 じゅぷじゅぷと激しく吸われてノリの腰が引けた。初めての他人の口腔内の熱さに、腰が蕩けてしまいそうだと思った。

「あっ、あっ、あっ……ヤダ、止めてっ!」

 激しく動揺するノリの腰をしっかりと押さえてケンヂは口淫を施した。
 小さな性器は勃起するととても硬く、ツルツルとして果実か何かのようだとケンヂは思った。

「ふぅ」

 ちゅぽん、と音を立てて口から性器を出すとケンヂはノリを見上げて言った。

「これ、俺の後ろに挿れていいよ」
「……同情かよ」
「そうかもね。いいから来いよ」

 スカートを捲って床に四つん這いになり屈辱的なポーズで待つケンヂに、ノリは何だか泣きそうになりながら唾液と先走りでドロドロになった性器を突っ込んだ。

「んぁあっ!」

 流石にきつかったのだろう、ケンヂが苦しそうに額を床に擦り付けた。

「化粧が落ちる――」
「ばか。いいから早く動けよ。出勤前にもシてきたから、直ぐに解れる……うぅ」
「ケンちゃんのヤリマン」
「んっ……あっ、その、ヤリマンのけつはどうだよ……」
「気持ち好いよ。凄く気持ち好い……」
「それは良かった……きゃう! そこ、やんっ!」
「ここぉ?」
「あンッ、アタシ、女の子にされちゃぅ……ダメ、気持ちぃ……訳、分かんなくなっちゃ……あンッ、みさきに、怒られちゃ…………あ゛ん゛っ!」

 ぬぽぬぽされる穴を必死に引き締めながら悦がるケンヂにノリは笑った。
 快楽に忠実で、本当に女の心を持っている訳じゃない癖に女にされるのが大好きで、それでいてじめじめしたところが無くてあっけらかんと明るい。

「美人って、心も綺麗なんだよね」
「んぁあんっ!」

 キューッと痛いくらいに尻穴を引き絞られてノリが呻いた。

「くぅっ……」
「硬いの、当たるぅ……」

 ケンヂが自分のイイ場所に当たるように位置を調整しつつヒンヒンと啼き出した。どうやら挿入されたモノが小さくても気持ちが好いらしい。

「これでワタシも穴兄弟かぁ。子供が出来たらちゃんと責任を取るね」
「ナカ、いやぁぁぁ!」

 仕事前に中出しは勘弁してくれと青くなったケンヂのナカに、ノリはたっぷりと白濁を注いだ。だって童貞を捧げたんだから、どうせならそこまで面倒を見て欲しいじゃないか。

「ケンちゃん、このままもう一回……」
「ふぇっ!? むりむりむりぃ~」
「ヤダ。するの」

 だって我が儘を言ってもいいと言ったじゃないか。
 ノリは初めての挿入に夢中になって、ケンヂの尻が白濁でぐちゃぐちゃになるまで犯した。自分の出したものでヌルヌルになった肉壷が気持ち好く、性器と共に指を挿れて弄るとひだが複雑に蠢いた。ナカはトロトロに蕩けてクチュクチュとイヤラシイ音を立てた。

「ねぇ、ケンちゃん。ここ、捲れ上がっちゃったけど大丈夫?」
「……ぅ…………」

 白濁をこぷこぷと溢れさせ、真っ赤に咲いた肉の花はとても男の尻の穴とは思えなかった。

「もう完全に性器なんだね。羨ましいよ」

 ノリ自身はアナルセックスで大した快楽を得られない。元々そこに気持ちが無いのだから当然かもしれない。

「ケンちゃんのここ、指を挿れるだけでも気持ち好い?」

 ぐちゃぐちゃになったそこを弄ぶようにぬぷぬぷと指で弄っていたら、出勤してきたアンコがドアを開けた。

「……あら、あんた達何をやってんの?」
「ケンちゃんで童貞を捨ててた」
「へぇ、良かったわね。童貞じゃ無くなったんなら、考えてあげてもいいわよ」
「え?」

 吃驚したノリにアンコが悪戯っぽく笑い掛けた。

「あたし、童貞と処女の相手は面倒臭いからしない事にしてるの。でもそうじゃないならあんたはなかなか優良物件だしね。先物買いも悪くないわ」
「えっ? えっ?」

 急にアタフタとし出したノリの隣で、ケンヂは少しは自分の事も気遣えと思った。ヤりたい放題にヤッて、出して、後孔を赤く熟させておいて放り出すなんて。

「……みさきさん、呼んで来て」

 疼くような声で頼んだケンヂに、ノリが首を傾げる。

「いいの? またお仕置きされちゃうよ?」
「いいから早くっ!」

 こうなったら奥を引っ掻き回して貰わないと、壊して貰わないと身体が疼いて仕事にならない。
 オーナーにはノリの方から言い訳をして貰おう。

「じゃあ呼んでくるね」
「三崎も大変ね~」

 キャッキャと戯れながら控え室を出て行った二人にケンヂは嘆息を吐いた。
 あの二人がどうにかなれば自分もお役御免になるだろう。少し寂しいけれど、きっとその方が良いのだ。

「チェッ、それでもたまには手を出してくれないかな」

 ケンヂはちっとも懲りてない台詞を吐いて、三崎にそれはそれは酷い目に遭わされるのだった。

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