ノンケだけどオカマバーで働いてビッチになりましたが彼氏が出来て幸せです

うずみどり

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第一部

③お仕置きとご褒美

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 ケンヂはちょっと困った客に掴まっていた。
 その客は気前は良いのだが、掛けた金の分だけ元を取りたがる。
 今日はピーコックグリーンの華やかなミニドレスをプレゼントされ、強引に着替えさせられて裾をぴらぴらと捲られた。

「座るとちんぽが見えちゃいそうだろう?」

 ガハハ……と笑われてケンヂは引き攣り笑いを返しながら必死に裾を押さえた。
 別に男同士なので見られたところでどうという事もないのだが、ここで抵抗しないと相手が付け上がる。ちょっとだけだから、と言いながら平気で下着の中に手を入れようとするのだ。
 初日にずるりと性器を剥き出しにされてケンヂは泣きながら座り込んでしまい懲りていた。
 普段ならさり気なくアンコが助けに来てくれるのだが、生憎と団体客の相手で手が塞がっていた。ノリも一緒にヘルプに入っている。

(どうしよう、このくらいは一人で捌けないといけないんだろうけど……)

 ケンヂは苦手意識と嫌悪感の為に動きがぎこちなくなっていた。

(三崎さんに触られても、オーナーに触られてもこんな事は思わないのに……)

 何故だろう、と不思議に思いながら身を捩っていたら見兼ねた三崎が間に立ってくれた。

「お客様、それ以上は――」

 三崎にやんわりと諌められて客が逆上した。チラチラと助けを求めるようにケンヂが視線を飛ばしていたのも癇に障っていたらしい。

「自分のプレゼントしたものに触って何が悪い! 中身には触ってねえだろうが!」

 明らかな屁理屈に三崎が反論しようとしたら、スッとオーナーが近付いてきて客の耳元で囁いた。

「……そういう、事なら」

 速水が何を言ったのかケンヂには聴こえなかったが、客が納得したようなので安心していたらオーナーに腕を取られた。

「ケンヂ、ちょっとこっちにおいで」

 ケンヂはバックヤードに連れて行かれ、速水に言い含められる。

「いいかい、客に見えるところで店のスタッフ同士が仲良くしてはいけない。特に黒服とは駄目だ。客はちやほやして貰いに来ているのに、もっと親しい特別な間柄がいるなどと思わせてはいけない」
「はい……。ごめんなさい」

 しゅん、と項垂れたケンヂに速水が頬を寄せて蜜の滴る声で囁いた。

「ペナルティとして、君は客の望むものを与えなければいけない」
「えっ……」

 蒼褪めるケンヂのドレスの裾に速水が手を入れた。

「ここを張り詰めさせて、強張りでスカートを持ち上げた姿を見せるんだ。手は触れさせない。けれど君の恥ずかしい姿を客に見せろ」
「あっ……! そん、な……」

 ケンヂは戸惑って身を捩ったが、スカートの中で分身を握られて速水の手を振り解けない。その手がはしたない肉棒を擦るのを甘受していた。

「短いスカートを君の勃起したもので持ち上げ、先端から溢れるもので布地を色濃く変えて……客は君のはしたない姿を見て満足するだろう」
「やっ、そんなの恥ずかしぃ……」
「仕方が無いよ、お仕置きだからね」

 そう言うと速水はケンヂの尻を鷲掴み、揉み解しながら前を擦った。

「オーナー、尻をそんなに触らないで……」
「どうして? 揉まれた方が君の暴れん坊も元気になるよ」
「だって……」

 速水が力強く尻朶を揉む度に後ろの穴が引き攣れて、クチチッ……と音を立てるような気がする。濡れている筈はないのに。使った事もないのに。
 そんなケンヂの顔をじっくりと見つめて、速水がしみじみと言った。

「君は虐め甲斐があるねぇ」

 そう言うと速水は尻を揉んでいた手の指を唐突にずぶりと蕾に突き立てた。

「ヒッ!」

 痛い痛いと震えるケンヂの尻穴を速水は乱暴に掻き回してから指を引き抜いた。

「言い付けを忘れたら次はここにもっと太いものを即ハメするからね」
「…………はい」

 ケンヂは震えながら逃げるようにフロアに戻った。
 前は力強く勃ち上がったまま、スカートをこんもりと盛り上げている。

「オーナーに可愛がられたのかい?」

 股間の膨らみを舐めるようにじっと見詰めた客の言葉に、ケンヂは首をふるふると横に振った。

「いいえ、自分で……」
「自分で、スカートを捲り上げて?」
「はい……」
「いいね。萎えたら今度はここでしてくれよな」
「…………はい」

 ケンヂは唇を噛んで頷いた。客の無茶を聞き入れたというよりも、再び速水にされる事を考えたらその方がマシに思えた。

(オーナーの指は強引で乱暴だった。意地悪で、思い遣りがなくて……オーナーなんて嫌い。嫌いな筈なのに……なのにどうしてもう一度味わってみたいなんて思うの?)

 ケンヂは穴の周りがジンジンするのに速水の指がナカに入っていた感触が頭から離れない。それどころか彼の言う『即ハメ』をされてみたくて堪らない。『もっと太いもの』が何か気になって、それが速水の分身だったらどうしよう。後ろから犯されたらどうしよう。手を掴まれて抵抗出来なくてメリメリと根元まで挿れられたらどうしようなんて思ってドキドキしている。

(あの人のアレはどのくらい大きいんだろう)

 ケンヂは速水の性器を想像してしまう。
 大きくて、凶器のように尖っていて自分を尻穴から引き裂いて串刺しにしてしまうのだろう。

(アレが見たい……)

 ケンヂは速水の分身が気になって気になって、勃起した分身が萎える暇も無い。
 凄い持続時間だね、と客に笑われてケンヂは汗ばんだ顔で妖艶に笑った。

 男のペニスで頭がいっぱいで萎えないなんてどうかしている。
 けれどケンヂは確実に変わりつつあった。
 周囲に感化され、自分でも知らなかった欲望を引き出され、同性を性的対象に見る世界に踏み出そうとしていた。

 そんなケンヂを三崎がカウンターの内側からじっと見ていた。
 そしてトイレに立ったケンヂを後ろから追い掛け、個室に押し込めた。

「えっ、何っ!? 三崎さん!?」

 三崎は吃驚するケンヂを壁に押し付け押さえ込み、後ろから慌ただしく下着をずり下ろして尻の間に固いものを挟んだ。

「なっ、やだっ!」

 熱く濡れた棒がケンヂの尻肉を割った。その生々しさにケンヂが怯む。

「ケンヂ、擦るだけだから……ナカには挿れないから」
「そんな……」

 ケンヂはどうして急にこんな目に遭うのか分からなくて、それでも後ろから太股の隙間に性器を抜き差しされるとまるで犯されているようで酷く興奮した。

「俺を、犯してる……」
「まだだよ。まだ本番じゃない」

 そう言いながら三崎は勃起したものでケンヂの分身の裏側を擦る。

「んんっ、ゴリゴリ当たる……」
「擦られて臍に付きそうだね」
「言わないでぇ……」

 性器の裏から突き上げられ、ケンヂは喉がヒリヒリと渇いた。
 ハァハァと犬のように喘ぎ、胸を弄られて女のように腰を打ち付けられている自分にすっかり酔っていた。される側の立場を受け入れていた。

「んうっ、激しいぃっ!」

 ケンヂは焼け付くように激しく射精した。
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