6 / 62
第一章 死ぬにしたって、これは無いだろ!
第六話
しおりを挟む
「それで、兄上はこんな夜更けに、どちらへ?」
エマージェンシー、エマージェンシー。どうも、緊急事態です。
オリヴィアさんにそれとなく「ボク外に出たいな~」と意思表示をしてから数日たったが、色よい返事はなかなか帰ってこずじまい。焦れた俺は強硬手段に出た。
暇人の人間観察力を舐めちゃあいけないぜ。
オリヴィアさんの回答を待っている間も、俺はどうやって扉のない部屋から彼女が退出していっているのか、つぶさに確認していたのだ。
どうやら、壁と同化している扉は、登録した魔力の持ち主にのみ反応する仕組みになっているようで、壁の特定の場所にオリヴィアさんが触れただけで解錠されるらしかった。
そして、暇つぶしに持ってきてもらっていた本に書いてあった眠りの呪文を覚えておいて、今日もまた俺の身辺の世話をしにやってきた何も知らない被害者(オリヴィアさん)にぶっつけ本番でそれを発動、まさかの成功を収めて、脱出に至ったというわけだ。
部屋からの脱出クエストをクリア、次なるクエストは王城からの脱出。幸い、時刻は誰もが寝静まった深夜で、見回りの衛兵の目さえ欺けば……そう、簡単に考えていた。
まさか、チュートリアルクエストの次にラスボスとエンカするなんて、難易度ナイトメアな仕様だとは夢にも思わなかったのだ。
そう、これは冒険RPGなどではない。俺が絶賛逃避していた、現実という、世にも残酷な正真正銘のクソゲーだったのだ。
俺にとっては初対面の相手だったが、一目見ただけで、目の前の彼がこの世界の主役、即ち、俺を殺す人物その人であることが分かった。
月明かりに照らされたプラチナの髪が神々しく煌めく。真っ直ぐにこちらを射抜く眼光はまるで紫電のように鮮烈だ。
過酷な鍛錬を積んで鍛えられたであろうことが素人目にも分かるほど逞しく、しかして均整の取れた素晴らしい肉体美の上には、これまた生物を超越したと言っても過言ではない造形美が乗っかっていて。
揺ぎ無い佇まいも、その圧倒的なオーラから、常人には揺らいで見えるほどには、何もかもが現実離れしていた。
まるで雷の権化、雷神の化身。
ダイナミックな迫力がありながらも、ディテールひとつ取れば非常に繊細な美すらも持ち合わせた、まごうこと無き超絶美男子。
ジルラッド・アンケミニス・ガラリアである。
暢気にフラフラと当てもなく出口を探して彷徨っていた俺が、まるで貫くような声に驚き、その声の響いた背後を振り向けば、俺の死がそこにあったというわけ。
「兄上!!」
彼は鬼気迫る顔でもう一つ、俺のことをそう呼んだ。
息をするだけで覇気を巻き散らかすような迫力を持つ彼が、そんな形相でいるものだから、俺は湧き上がるような恐怖に駆られてすぐさま猛ダッシュしたのである。
した、筈だ。
しかし、2歩と進まぬうちに、俺は強い力で腕をひかれ、気付けば両手首をつかまれた状態で壁に縫い留められていた。
誰に? 他でもない、ジルラッド・アンケミニス・最強・イケメン・主人公・ガラリア様に、である。
俺はまるでか弱い乙女みたいなか細い悲鳴を喉にくぐもらせ、クソヤバい目力に気圧されて失禁しそうになった。
やれやれ、既に殆ど無い尊厳を永劫に失うところだったぜ。
なんて、言ってる場合じゃない。てか俺とこの人の間にはおよそ50mの距離があったはずだ。例え俺の足がどんなに鈍くても、それを一瞬にして追いついてしまいやがるなんて、控えめに言ってバケモノ。
うん、無理。ガチで無理ゲー。俺の人生オワタ。
「ああ、よかった……貴方が部屋からいなくなったと聞いて居ても立っても居られず……僕の焦りが分かりますか? 何故、どうして、貴方は……っ」
ワア……顔が良……。って、違う、違う。ヤバい、ヤバいんだって。しっかりしろ俺。
外に出られた今が最大のチャンスなんだ。ここを逃せば、一度脱走されたってことで監視も監禁ももっと厳しくなるかもしれないんだぞ!!
もしかしたら逃げられる前にってことで執行猶予が無くなってハイ処刑、ってこともありうる……?
え、無理無理無理無理!!!! でもこの拘束から逃れるのもおんなじくらい無理じゃね!? もしかして:詰み。
「……っ、す、すみません。貴方の記憶がないことは分かっていたのに、つい……」
俺が絶望に打ちひしがれる顔を見てか、何故かジルラッド氏は我に返った様にしょぼくれかえって力を緩めた。
え、何? なんでそっちがそんなに申し訳なさそうな顔をするんだ? よけい君のこと何もわからん。
「や、なんか、こっちこそ、スマセン」
俺もついその落差につられて謝るなどする。
でも、おかしい。記憶が無いにしろ、君にとっちゃ俺は散々自分のこといじめて……いや、虐げてきた憎い相手だろ?
「兄上が謝ることでは……まあ、突然いなくなって勿論心配はしましたけれど、謝るなら僕ではなくオリヴィアに。突然知らない相手に追いかけられて咄嗟に逃げるのは当然のことです。配慮が足りず申し訳ありませんでした」
ワア、良く出来た人……流石は完全無欠完璧最強主人公、過酷な生い立ちでよくぞ歪まずにこんな人格者に育つことができたものだ。
憎い相手(多分)に対しても、こんな誠意ある対応ができるなんて。恵まれてたのに歪み切った悪役王子とは大違いだ。
それとも、もしかしてだけど、何かしらの手違いで、俺になる前のベルラッドは間違いを犯さなかったとか?
だったら俺この人に殺されずに済むんじゃね??
「その……何といえばいいか……俺、君のことを少し誤解していたのかな」
「……と、申しますと」
「俺、嫌われているとばかり……外に出ようとしてもダメみたいだし、記憶が無くなる前に何かやらかしちゃったのかな、って」
「ああ、そうですね。貴方を外に出せない理由はあります。何かやらかした、と言うのも、あながち間違いではありません」
ところで……。
と言った経緯で、冒頭に至る。
エマージェンシー、エマージェンシー。どうも、緊急事態です。
オリヴィアさんにそれとなく「ボク外に出たいな~」と意思表示をしてから数日たったが、色よい返事はなかなか帰ってこずじまい。焦れた俺は強硬手段に出た。
暇人の人間観察力を舐めちゃあいけないぜ。
オリヴィアさんの回答を待っている間も、俺はどうやって扉のない部屋から彼女が退出していっているのか、つぶさに確認していたのだ。
どうやら、壁と同化している扉は、登録した魔力の持ち主にのみ反応する仕組みになっているようで、壁の特定の場所にオリヴィアさんが触れただけで解錠されるらしかった。
そして、暇つぶしに持ってきてもらっていた本に書いてあった眠りの呪文を覚えておいて、今日もまた俺の身辺の世話をしにやってきた何も知らない被害者(オリヴィアさん)にぶっつけ本番でそれを発動、まさかの成功を収めて、脱出に至ったというわけだ。
部屋からの脱出クエストをクリア、次なるクエストは王城からの脱出。幸い、時刻は誰もが寝静まった深夜で、見回りの衛兵の目さえ欺けば……そう、簡単に考えていた。
まさか、チュートリアルクエストの次にラスボスとエンカするなんて、難易度ナイトメアな仕様だとは夢にも思わなかったのだ。
そう、これは冒険RPGなどではない。俺が絶賛逃避していた、現実という、世にも残酷な正真正銘のクソゲーだったのだ。
俺にとっては初対面の相手だったが、一目見ただけで、目の前の彼がこの世界の主役、即ち、俺を殺す人物その人であることが分かった。
月明かりに照らされたプラチナの髪が神々しく煌めく。真っ直ぐにこちらを射抜く眼光はまるで紫電のように鮮烈だ。
過酷な鍛錬を積んで鍛えられたであろうことが素人目にも分かるほど逞しく、しかして均整の取れた素晴らしい肉体美の上には、これまた生物を超越したと言っても過言ではない造形美が乗っかっていて。
揺ぎ無い佇まいも、その圧倒的なオーラから、常人には揺らいで見えるほどには、何もかもが現実離れしていた。
まるで雷の権化、雷神の化身。
ダイナミックな迫力がありながらも、ディテールひとつ取れば非常に繊細な美すらも持ち合わせた、まごうこと無き超絶美男子。
ジルラッド・アンケミニス・ガラリアである。
暢気にフラフラと当てもなく出口を探して彷徨っていた俺が、まるで貫くような声に驚き、その声の響いた背後を振り向けば、俺の死がそこにあったというわけ。
「兄上!!」
彼は鬼気迫る顔でもう一つ、俺のことをそう呼んだ。
息をするだけで覇気を巻き散らかすような迫力を持つ彼が、そんな形相でいるものだから、俺は湧き上がるような恐怖に駆られてすぐさま猛ダッシュしたのである。
した、筈だ。
しかし、2歩と進まぬうちに、俺は強い力で腕をひかれ、気付けば両手首をつかまれた状態で壁に縫い留められていた。
誰に? 他でもない、ジルラッド・アンケミニス・最強・イケメン・主人公・ガラリア様に、である。
俺はまるでか弱い乙女みたいなか細い悲鳴を喉にくぐもらせ、クソヤバい目力に気圧されて失禁しそうになった。
やれやれ、既に殆ど無い尊厳を永劫に失うところだったぜ。
なんて、言ってる場合じゃない。てか俺とこの人の間にはおよそ50mの距離があったはずだ。例え俺の足がどんなに鈍くても、それを一瞬にして追いついてしまいやがるなんて、控えめに言ってバケモノ。
うん、無理。ガチで無理ゲー。俺の人生オワタ。
「ああ、よかった……貴方が部屋からいなくなったと聞いて居ても立っても居られず……僕の焦りが分かりますか? 何故、どうして、貴方は……っ」
ワア……顔が良……。って、違う、違う。ヤバい、ヤバいんだって。しっかりしろ俺。
外に出られた今が最大のチャンスなんだ。ここを逃せば、一度脱走されたってことで監視も監禁ももっと厳しくなるかもしれないんだぞ!!
もしかしたら逃げられる前にってことで執行猶予が無くなってハイ処刑、ってこともありうる……?
え、無理無理無理無理!!!! でもこの拘束から逃れるのもおんなじくらい無理じゃね!? もしかして:詰み。
「……っ、す、すみません。貴方の記憶がないことは分かっていたのに、つい……」
俺が絶望に打ちひしがれる顔を見てか、何故かジルラッド氏は我に返った様にしょぼくれかえって力を緩めた。
え、何? なんでそっちがそんなに申し訳なさそうな顔をするんだ? よけい君のこと何もわからん。
「や、なんか、こっちこそ、スマセン」
俺もついその落差につられて謝るなどする。
でも、おかしい。記憶が無いにしろ、君にとっちゃ俺は散々自分のこといじめて……いや、虐げてきた憎い相手だろ?
「兄上が謝ることでは……まあ、突然いなくなって勿論心配はしましたけれど、謝るなら僕ではなくオリヴィアに。突然知らない相手に追いかけられて咄嗟に逃げるのは当然のことです。配慮が足りず申し訳ありませんでした」
ワア、良く出来た人……流石は完全無欠完璧最強主人公、過酷な生い立ちでよくぞ歪まずにこんな人格者に育つことができたものだ。
憎い相手(多分)に対しても、こんな誠意ある対応ができるなんて。恵まれてたのに歪み切った悪役王子とは大違いだ。
それとも、もしかしてだけど、何かしらの手違いで、俺になる前のベルラッドは間違いを犯さなかったとか?
だったら俺この人に殺されずに済むんじゃね??
「その……何といえばいいか……俺、君のことを少し誤解していたのかな」
「……と、申しますと」
「俺、嫌われているとばかり……外に出ようとしてもダメみたいだし、記憶が無くなる前に何かやらかしちゃったのかな、って」
「ああ、そうですね。貴方を外に出せない理由はあります。何かやらかした、と言うのも、あながち間違いではありません」
ところで……。
と言った経緯で、冒頭に至る。
325
お気に入りに追加
1,958
あなたにおすすめの小説
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる