おとぎ話の悪役令嬢のとある日常(番外編)

石狩なべ

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メニー

魔法使いは消えた

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 それを見たとき、彼女は思った。
 ことわればよかった。
 彼女と静かなところで、世界の終わりを見とどける結末を選ぶのだった。
 しかし、自分には選択しているよゆうなどなかった。
 そうするしかなかった。
 そうしなければいけなかった。
 わかってる。
 それしか彼女を救うことはできない。
 わたしはただ、彼女をたすけたかっただけ。
 わかってる。
 これは必要なことだった。
 けれど、ああ、だけど、

 この溢れる涙を、こらえることはできない。

 彼女はノートを強く抱きしめながら泣き崩れ、大切な人を想っては、ただただ、むなしくさみしくなった部屋に、後悔だけが残った。













 メニーがひとみをキラキラさせて、ガイドブックをぺらぺらとめくった。

「サリア! 見て!」

 メニーが指をさす。

「牧場!」

 メニーが指をさす。

「畑!」

 メニーが感動する。

「お姉ちゃん! 田舎だよ! ほら、牛さんだよ!!」
「わかった、わかったから」

 なんでこういうときだけテンション高いのよ。お前。

(厄よけ聖域めぐりの旅の目的地が、たまたま田舎だったからってついてきやがって……)

 メニーが視察ノートにメモしていく。

「お姉ちゃん、すごいよ! なにもない!」
「田舎だから当然よね」
「でも、聖域があるんでしょ?」
「ええ」

 テリーはメニーのひらいてたガイドブックをぺらりとめくった。そこに、聖域雪かきイベントというものがあった。

「この聖域、たまった雪を片付けると、神さまが邪気を払ってくれるんですって」
「お姉ちゃん、ほんとうにこれいくの?」
「メニー、うそだと思ってるんでしょ。でもね、こういうのはだまされたと思ってやったらほんとうにだまされたように運が良くなってるものよ。あんたはサリアとおさんぽしてていいから、風邪だけひかないようにしなさい」
「お姉ちゃんがやるならわたしもやる」

 テリーがはっとした。

(こいつ……! 生まれながら持ってる運を、さらに良くしようって魂胆……!? なんて奴なの! この、よくばり!!)

「あんたね、邪気を払うのはかんたんじゃないのよ」
「たのしそう。ね、サリア」
「わたしは見てますよ。邪気を払う必要はないですし、疲れてお二人の面倒を見れなくなる可能性もあるので」
「じゃあ、思いきり参加して大丈夫だね。お姉ちゃん、わたしもいく!」

(……あーあー、こいつ、苦労を知らないから……)

 いいわ。目にもの見せてやる。

「なにがあっても知らないわよ」
「大丈夫だよ」

 メニーがほほえんだ。

「お姉ちゃんがいるもん」

 テリーは笑みを浮かべる。しかし、内面では思ってる。美人はいいわね。笑顔もきれいで。うらやましいわ。はいはい。

 厄よけ聖域めぐりの旅の途中のテリーとサリアに、今回だけメニーが加わり、雪道を歩いていく。


(*'ω'*)


 それは寒い冬。
 六年もの間、その日だけ影は階段をのぼった。
 足を乗せ、体重をまかせたらきしむ木の階段。ボロボロで、よく見たら端に打たれた釘がとびだしている。あぶない階段。せまくて、じめじめしてて、ぼろぼろで、それを毎日登っておりてる者がいる。

 つめたい空気に包まれながら、ドアの取っ手をひねり、影は部屋へと入った。灯りもないまっくらな部屋。屋根裏部屋。
 つめたい空気にぽつんと置かれたベッドでは、だれかが寝息をたてている。

 影は部屋に入ったとたん、魔法使いとなった。魔法使いはベッドの前に大きなバスケットを置き、灰がかぶらないように布でなかを隠した。
 そして、地面にひざをこすりつけ、ささやいた。

「ハッピーバースデー。メニー」

 メニーは思った。
 今日も来てくれたんだと。
 気づかれたら、この魔法使いは消えてしまう。だからメニーは寝たフリをする。
 今かぶっているあたたかな毛布は、この魔法使いからもらった。
 クローゼットに隠しているドレスも、この魔法使いからもらった。
 それだけではない。この部屋に隠してある美しい髪飾りや、髪留め、肌に塗るもの、メイク道具、すべてこの魔法使いからもらった。
 でも、この魔法使いは気づかれたら消えてしまうの。そうなると、これらすべての魔法も消えてしまう気がして、メニーは目をつむったまま魔法使いを見はしない。
 ふと、魔法使いがメニーに近づいた。
 メニーは少し不安になった。
 なにをする気なんだろうと思った。
 バレないようにつばをのむ。
 緊張する。
 胸をどきどきさせて待っていると、
 やってきたのは、

 ほおに押し付けられた、ただのやさしい唇。


(*'ω'*)


 テリーとメニーがスコップを雪に立てた。大量の雪山となった雪を片付けていく人々。テリーの目が燃える。

「メニー! この山は、かきわければかきわけたぶん、厄祓いができるらしいわ!」

 テリーがメニーにふり返った。

「いいこと!? これは、訓練じゃない! 本番なの!」
「はいっ!」
「返事は、さー! いえっさー! よ!」
「さー! いえっさー!」
「いくわよ!」
「さー! いえっさー!」

 テリーとメニーが手分けして雪山をスコップでかけていく。遠方から来た人々も負けじとかけていく。メニーはスコップを動かしながら思い出す。ここの地域は田舎すぎて人が出ていく一方だった。なにか観光できるものをつくらないと、村が朽ちてしまうと考えた地域の人々は、とつぜん女神アメリアヌが残した聖域が見つかったと発言。そういえばその雪山を片付けると大金持ちになったと声をあげた。それが新聞に載った。たちまちこの時期に観光客が押し寄せ、田舎町は盛んになっていった。二年前のできごとである。

 ……ということを考えると、まあ、これは、デマ情報であると考えるのが妥当だろう。じっさい、ここに魔力はまったく感じない。

(この人たちは本気で厄祓いできるって信じてるのかな)

 この雪山を片付けたくらいで運が良くなったら、だれでも押し寄せるだろう。……そのとおり。観光客が押し寄せているから、信憑性が高くなったのだろう。

(この人たちの身に、一体なにがあったんだろう……)

 ちらりと視線を動かすと、テリーが全力で雪山をかけている。

「おららららららららららら!! なめてんじゃねえわよ! 雪畜生が!!」

 お姉ちゃん、雪はなにも悪くないよ。

「あたしがぜんぶ片付けてくれるわ!!」

 お姉ちゃん、田舎の人たちがよろこんでるよ。すごい雪の量だもんね。

「おらぁぁぁあああああああ!!」

 テリーがどんどん雪を片付けていく。積もりに積もってしまった雪の山。村の子どもたちが雪だるまをつくりはじめた。ソリに乗ってすべりはじめた。それらもすべてテリーは片付ける。すべては、厄祓いのため。

(あたし! ぜったいしあわせになる!!)

 厄祓いをして、そして、なんとしてでも、

(破産、回避!!)

 テリーの勢いに、周りの人々が圧倒されていく。

「見ろ! あの女の子、すごい勢いで雪かきをしてやがる!」
「ちくしょう! おれだって……! おれだってぇええ!」
「わたしだって、しあわせになるのよーーー!!!」
「雪ごときに、負けてたまるかーーー!!」

 メニーは思った。みんな、一体なにがあったの。

(神さまにすがりたいなにかがあったんだろうな……)

 メニーはスコップから手をはなした。

(飽きちゃった)

 メニーは田舎町の景色をたのしむことにした。

(……)

 なんてすてきな雪景色。畑は雪に埋もれているが、屋根に積もった雪は家を白く見せ、木に積もった雪は木を白くかがやかせる。

(きれい)

 ここで、義姉とのんびり暮らせたら、苦労も多そうだが、たのしくもありそうだ。

(……この村、他にどんなものがあるんだろ……)

 メニーが雪山からおりて、のそのそと歩きはじめた。
 しばらくして、宿から迎えにきたサリアが遠くから手をひらひらとふり、テリーに声をかけた。

「テリー! そろそろランチにしますよー!」
「ふう、お腹すいた……」
「メニーお嬢さまといらしてください!」
「……ん?」

 テリーがふり返る。メニーがいない。

「……あ?」

(すごい。なにもない)

 メニーが林にかこまれた一本道を歩く。

(なんだか、野生の動物が出てきそう。……あ)

 いた。

(キツネだ)

 メニーがしゃがみこみ、キツネにほほえんだ。

(こんにちは)

 ――こんにちは。

(この村はいい村ですか?)

 ――アタシたちにとってはいいところだよ。食べ物はおいしいし、なにより人が少ない。人の多いところはだめさ。いつ殺されるかわかったもんじゃない。

(聖域っていうのはほんとう?)

 ――聖域? なんの話かね?

(いいえ。なんでもありません)

 ――アンタみたいなモンはめずらしいね。アタシたちと会話できるなんて。

(もしかしたら、将来、大切な人とこの村に住むことになるかもしれません。そのときはよろしくお願いします)

 ――アタシたちはおいしいものくれるなら、だれだって大歓迎さ。

「メニー!!」

 メニーがはっとした。きょとんとしてふり返ると、テリーが全速力で走ってきていた。

「やーーーだーーーここにいたのねメニー!! 心配したんだからぁああああ!!」

(てめぇどこいってやがった! サリアに叱られたじゃないのよ!! てめぇのせいでランチのお預けを食らったじゃない!! 早く来い!! あたしはお腹が空いたのよ! 勝手に出歩くんじゃねえええええ!!!)

 キツネがテリーをにらんだ。しかし、メニーが言った。やめて。キツネがその言葉で、メニーに言った。アンタ物好きだね。その女、いい人間ではないよ。メニーがつい笑った。うん。そうかもね。でもね、彼女はいい人間というより、不器用な人間なの。だから、

 わたしがそばにいてあげなくちゃ。

「お姉ちゃん」
「ぜえ……はあ……メニー……ぶじでよかったわ……」
「ごめんね。飽きたからおさんぽしてたの」
「おほほほ! おさんぽだなんてメニーらしいんだから!!」

 テリーがイラッとして雪玉をつくって木に投げた。イラッとした木がテリーに向かって雪を落とした。

「ぶあっ!」

 テリーが雪だるまとなった。

「なによ! てめえ! 木のくせになまいきな!!」
「お姉ちゃん、もどろうよ。ランチの時間か。早いねぇ」
「ちくしょう! ゆるさないから! きらいだから! ほんとにきらいになるから!! この木なんの木知らない木ー! 見たこともーないきらいな木ー!!」

 メニーに背中を押されてテリーが来た道をもどっていく。木とキツネは思った。
 あの女の子は、物好きだ。

 やがて、キツネは森の奥へと帰っていき、木はいつもどおり、景色をながめながら立つことにした。


(*'ω'*)


 きれいに片づけられた聖域に、テリー含む人々が息を切らしながら倒れこんだ。

(あたしは……やりとげたのよ……)

「お姉ちゃん」
「メニー、話しかけないで。はあ。……あたし、今とてもすがすがしい気分なの。きっと、女神アメリアヌさまの幸福がおりてきたんだわ」

 メニーは思った。
 それ、体動かして血の流れが良くなっただけだよ。

「お姉ちゃん、この村すごいの。むかしからある村らしいんだけど、やっぱり農作物が盛んな村なんだって」
「……あたしが厄祓いしてる間に、あんたなにしてるのよ」
「下見だよ」

 メニーがほほえんだ。

「将来、ここに住んでもいいかもね。お姉ちゃん!」

(……まだそんなこと言ってるのね)

 あのね、あたしが田舎にいくことがあれば、それはあんたから逃げるときよ。

(テキトーに言ったことを、いつまで本気にしてるのかしらね。この女)

 テリーが汗をながしながら、子どもたちが遊ぶ声を聞きながら、大きく白い息をはく。いつの間にやら日は沈みかけていた。

「お姉ちゃん、そろそろ宿にもどろうよ」
「……そうね。いつも以上に体を動かして、つかれたわ」

 メニーが手をさしだした。テリーがそれにつかまり、立ち上がった。

「いくわよ」
「うん」

 手をつないだまま宿にもどる。日はすでに暮れ、部屋でサリアが二人を待っていた。二人が部屋に到着すると、食事が部屋にはこばれてくる前に風呂に入れさせ、着替えさせる。

 あたたかな温泉に、新鮮な野菜の味。野菜だけではない。肉まである。卵も新鮮。これだけぜいたくしていいのかしら。いいのである。これこそ厄祓いが成功した証なのだ。たぶん。

(はあああああ)

 テリーは満足しながら、部屋でくつろいでいた。

(メニーが言ってたとおり、ここに住んでも悪くないかもしれないわねー。お風呂は広いし、聖域がそばにあるし、なにより、野菜がおいしい!!)

 満腹で満足で幸福だ。

(ふいー)

 テリーがベッドにもぐった。

(つかれた……)

 そこへドアをたたく音。

(……サリア?)

「お姉ちゃん、まだ起きてる?」

 ひょこりとメニーがドアから顔を出した。それを見て、テリーの顔がひきつる。

(こいつ……! こんなときに……!)

 せっかくいいきもちでねむれそうなときに!
 しかし、表ではすてきな笑顔。

「あら、どうしたの? メニー」
「いっしょに寝てもいい? わくわくして、一人だとねむれないの」
「もーーーーメニーったらーーー」

(てめえは小さな子どもか!)

「しょうがない子ね。おいで。メニー」
「ありがとう」

(……ちくしょう……。一人で労をねぎらう予定だったのに……)

 しかし、こいつが今後どのような動きをしてくるかなどわからない。テリーはいつものごとく、いい姉を演じるため、ベッドのスペースをメニーにゆずる。

 メニーはもってきたまくらを置き、ベッドにもぐった。少し大きめのベッドに二人が入り、肩がぶつかる。

「お姉ちゃん、せまい?」
「メニーったら、やさしいのね。大丈夫よ。ぜんぜんせまくないんだから」

(せめぇわ!!!)

 ベットを一人で堪能しようと思ってたのに、

(てめえに占領されて、せまくなったわ!! メニーのばか!! きらい!! お前、やっぱりきらい!!)

「明かり消すね」

 メニーが一度ベッドから抜け、明かりを消した。

(……)

 メニーがベッドにもどった。テリーとふたたび肩がぶつかる。

(くっついてる)

 義姉とねむるのは、むかしから。
 父親がいなくなってから、テリーがなにかと面倒を見てくれた。

(お姉ちゃん)

 家族だと言ってくれた義姉。

「……おやすみなさい。お姉ちゃん」
「……おやすみ」

 テリーが目をつむる。その横顔を、メニーが見つめる。

「……」

 月の灯りがカーテンから漏れ、テリーの唇に当たる。

(……)

 そこだけが、光かがやいて見える。

「お姉ちゃん」

 声をかけたくなった。

「まだ起きてる?」
「メニー、寝なさい」
「明日は、わたしの誕生日でしょ?」

 テリーが息をはいた。

「あのね、プレゼントなんだけど、今日のことでいいから」
「……なに? どういうこと?」
「だって、すごくたのしかったから」

 義姉と夢の田舎町に来れた。

「たくさん下見もできたし、キツネさんとね、ちょっとしゃべったの」
「……あんた、キツネとしゃべれるの?」
「魔力を使ってね」
「……そういうこともできるの?」
「集中すれば」
「……あまり人前で使っちゃだめよ」
「うん。だから、ここなら人が少ないから、よかったよ」
「……メニー」

 テリーが目をつむりながら言った。

「プレゼントはもう用意してるの」
「えっ」
「屋敷に帰ったらあげるから、それまで待ってなさい」
「……それ、わたしに言ってよかったの?」
「あんたが、田舎町訪問がプレゼントでいいなんて言うからよ」
「……でも、すごくたのしかったもん。ほんとうだよ?」

 メニーがテリーに体を向けた。

「田舎っておちつくね」
「そうね。まあ、……空気はおいしいかもね」
「お姉ちゃん」
「メニー、……そろそろ寝て」
「……うん」

 メニーがテリーの肩に頭をつけた。

「お姉ちゃん、おやすみなさい」
「……おやすみ」

 目を閉じれば、テリーの匂いを感じる。
 目を閉じれば、テリーの存在を感じる。
 目を閉じれば、テリーのぬくもりを感じる。

(……お姉ちゃん)

 あたたかい。

(お姉ちゃん)

 愛しい。




(テリー)




 そっと、手が伸びた。
 テリーの寝息がきこえる。
 つかれたのだろう。
 あれだけ体を動かしていたら、それはそうだ。
 つかれたのだろう。
 指がテリーの唇にふれる。
 やわらかい。
 身を寄せた。
 テリーがいる。
 ほおにふれる。
 やわらかい。
 テリーにさわる。
 やわらかい。
 テリーをだきしめる。
 やわらかい。
 テリーをなめる。
 やわらかい。
 テリーのほおにキスをする。

 あたたかい。


 青いひとみがテリーを見つめる。
 テリーだけを見つめる。
 思う。愛してる。
 想う。愛してる。
 この胸の高鳴りはうそじゃない。
 青いひとみはテリーだけを見つめてる。
 胸を焦がすのはテリーだけ。
 唇がうごいた。
 テリーが言ったんだよ。
 唇がうごいた。
 田舎にいって、静かに暮らしたいって。
 唇がうごいた。
 でもここは、城下町から近いからだめだね。もっと遠くじゃないと。
 唇がうごいた。
 そうじゃないと、リトルルビィが会いに来ちゃう。
 唇がうごいた。
 そうじゃないと、ソフィアさんが会いに来ちゃう。
 唇がうごいた。
 そうじゃないと、



 あの女がテリーを迎えに来ちゃう。




「テリー」

 ピンクの唇がうごく。

「ずっといっしょにいようね」

 ほほえむ。

「城下町でも、田舎でも、どこでもいいから」

 わらう。

「テリーは一人では生きていけないもん」

 うれしそうにわらう。

「わたしが、ずっとそばにいてあげる」

 やさしくその体をだきしめる。

「テリー、わたしが守ってあげるから」

 今度は、

「ちゃんと、テリーを守るから」





 魔法使いは消えた。
 今は、わたしが魔法使い。
 魔力をあやつれる魔法使い。
 この力は守るために使う。
 たった一人のために使う。
 あわれ?
 かわいそう?
 もっと自分のために使って?
 勝手なこと言わないで。

 わたしにとっては、これがすべて。

 テリーがすべて。



「ハッピーバースデー。わたし」


 時計の針がうごき、一日がはじまった。
 彼女はテリーによりそう。
 彼女は、ひょっとしたら、目をつむったら魔法使いが来るかもしれないと思って、待ってみた。

 魔法使いは、現れなかった。









 魔法使いは消えた END
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