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薬草マーケットから一週間。薬草鳥の薬草の虜になった私は、放課後になるとレオナード様から薬草鳥の言葉を教わっていた。レオナード様が薬草笛のボトルネジを回すと、キュッと鳥の鳴き声が響く。
「アイリーン、なんて言ったかわかる?」
「今のは、おはようです!」
「うん、正解。短期間でずいぶん分かるようになったね」
「レオナード様の魔道具のおかげです」
初日にあまりに分からなくて落ち込んでいたら、薬草鳥の声と解説してくれる魔道具を渡された。毎日欠かさず聞いているので、最近は簡単な挨拶や危険を知らせる言葉がわかるようになってきた気がする。
薬草鳥の薬草は、生えている時は宝石のように輝いているけれど、採取するとただの薬草になってしまう。薬草マーケットではたった一本だったけれど、原生地には一面に生えていると聞いて身体が震えるほど興奮した。光り輝く薬草をもう一度見たくて、自分の足で見に行くことを目標にしている。
「アイリーン、次は案内をお願いするのを鳴らす練習をしよう」
「はい……っ!」
薬草笛はボトルネジを回した摩擦で出る音なのだけど、訓練すると思った通りに音を出せるらしい。レオナード様が薬草笛のボトルネジをひねるとキュキュキュッと鳴った。
「こうですか……?」
私もレオナード様の真似をしてボトルネジを回してみる。
「ふふっ、今のはあっちに行こうだな」
「うーん、難しいです。もっと高めなのかなあ?」
何回か回してみたけれど、お腹すいたとか、遊ぼうになってしまう。
「うう、すごく難しい……」
「いくらでも付き合うから、ゆっくり覚えたらいいよ」
「そんな……っ! 毎日こうして薬草鳥の言葉を教えてもらうのも申し訳なくて……できるだけ早く覚えるようにしますから!」
「そんなこと気にしなくていいのに」
レオナード様は柔らかく目を細め、微笑んだ。あまりに私ばかりがもらいすぎているのが落ち着かない。お返しを考えても、王太子のレオナード様の喜ぶものなんて思い浮かばなくて直接聞くことにした。
「あの、今度なにかお礼をしたいのですが、なにか希望はありますか?」
「なんでもいいのかな?」
レオナード様の言葉にうなずくと、何かを思いついたようにレオナード様が微笑む。
「じゃあ、俺とデートしてほしい」
「ええっ?!」
予想外な言葉に、驚いて声を上げてしまった。
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