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「あれ・・・」
「え・・・アイム?」
「イブリス・・・なのか?」
二人はゆっくり起き上がり辺りを見回す、知っている光景、なんとアディス城の中庭だった。
「夢なのか?」
「いえ・・・夢・・・じゃないわ・・・」
イブリスがぼんやりした頭で思い出していく。
「助けられたのよ・・・みんなに・・・」
「・・・そんな、どうやって」
「あれに飲み込まれる前にみんなが石を砕いてくれたのよ・・・私達はそれで助かったの・・・」
「・・・おかしいだろ・・・なんで・・・」
アイムは尚も信じられないと言った様子だ。
無理も無い、完全に身体の自由が利かなかったのだ、なのに何故なのか分からなかった。
「・・・これは仮説だけど」
「ああ・・・聞かせてくれ」
「みんなは私達を助けたかった、それで一瞬だけ動けたんじゃないかしら・・・強い意志で恐怖に勝った、だから・・・」
「・・・おかしいだろ」
「何がおかしいの」
「俺は・・・あんな最悪なことをした・・・死ぬべきだった・・・なのになんで助かった・・・みんなはどうして助けてくれたんだ・・・」
アイムは涙ながらに訴える。
先程の彼は必死に自分を隠していた、話している間も本当は泣きながらずっと心の中で謝っていたのだ。
敢えて喋ることで気を紛らわしていた、だが彼の心は崩壊寸前まで追い込まれていたのである。
「・・・助けたかったからでしょ・・・みんな貴方がどういう気持ちだったか知ってた、だから助けた。それだけよ・・・」
イブリスは泣きじゃくる彼を黙って抱き締めた。
「え・・・アイム?」
「イブリス・・・なのか?」
二人はゆっくり起き上がり辺りを見回す、知っている光景、なんとアディス城の中庭だった。
「夢なのか?」
「いえ・・・夢・・・じゃないわ・・・」
イブリスがぼんやりした頭で思い出していく。
「助けられたのよ・・・みんなに・・・」
「・・・そんな、どうやって」
「あれに飲み込まれる前にみんなが石を砕いてくれたのよ・・・私達はそれで助かったの・・・」
「・・・おかしいだろ・・・なんで・・・」
アイムは尚も信じられないと言った様子だ。
無理も無い、完全に身体の自由が利かなかったのだ、なのに何故なのか分からなかった。
「・・・これは仮説だけど」
「ああ・・・聞かせてくれ」
「みんなは私達を助けたかった、それで一瞬だけ動けたんじゃないかしら・・・強い意志で恐怖に勝った、だから・・・」
「・・・おかしいだろ」
「何がおかしいの」
「俺は・・・あんな最悪なことをした・・・死ぬべきだった・・・なのになんで助かった・・・みんなはどうして助けてくれたんだ・・・」
アイムは涙ながらに訴える。
先程の彼は必死に自分を隠していた、話している間も本当は泣きながらずっと心の中で謝っていたのだ。
敢えて喋ることで気を紛らわしていた、だが彼の心は崩壊寸前まで追い込まれていたのである。
「・・・助けたかったからでしょ・・・みんな貴方がどういう気持ちだったか知ってた、だから助けた。それだけよ・・・」
イブリスは泣きじゃくる彼を黙って抱き締めた。
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